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 ストーリー・ファミレス「ハングリーベア」に勤める大久保純は妻の美里を交通事故で失った。美里の妹、美香は、純を以前から慕っていたことを打ち明け、姉の代わりに自分を愛してくれるよう懇願するが・・・




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ディスカバリーレーベルから三巻構成で頒布された作品です。
 
PCゲームが原作なのだそうですが、監督の南澤十八氏が別に手がけている「清純看護学院」が非常に面白かったので、本作にも興味が湧いて見てみました。
 まず一巻目を視聴した感想は、実にアバンギャルドな作品だなあということです。
 
「清純・・・」でもそうでしたが、背景美術をまるで抽象画のように描き、本作を夢幻の中でのオハナシのような印象に見せています。市松模様で表現される床や壁は、ちょっと「キューティーハニー」も彷彿とさせますね。
 また喘ぎ声には極端に多い猥語表現を入れ、それをいちいち「ピー」音で消すことによって、逆にインモラルな雰囲気を強調しています。
 等々、意欲的な演出が多々盛り込まれているのは良いのですが、それがやや空回り気味と言いますか、演出意図が十分に活かされていないもどかしさも覚えます。
 例えば夢幻を思わせる画面演出ですが、それ自体は非常に美しくても、キャラの存在感や、あるいはエロティシズムそのものまでをも阻害してしまっている感があるのは残念です。ちょっと美術が自己主張しすぎちゃってるわけです。
 またやたら「ピー」で消す猥語表現も、試みとしては面白いのですが、実際見ていると単に五月蠅いだけのようにも思えます。(オイラは猥語表現自体がキライですのでなおさらそう感じるのかもしれません)
 ストーリー自体やキャラもあまり面白いとは思えませんでした。
 主人公は人としての欲望とか野心とかいったものの彼岸にいるような男で、つまり世の中の何がどうなろうとどうでも良いというキャラなので、見ていて感情移入というのは全く出来ませんし、濡れ場でも彼のリビドーというのが想像できないのでどうもノレません。
 ヒロインも最初からこのゾンビみたいな主人公を慕っているので、彼女の心情がどう終着するのかという興味も持てません。
 お兄ちゃんがスキスキ!変態プレイとか羞恥プレイとかイヤだけどお兄ちゃんのためならガマン出来るのだから美香を愛してお兄ちゃんああ〜んイクイクいっちゃう〜!とかのべつに喚かれましてもああそうですかという感じです。
 エロシーンはほぼ全編に渡るのですが、上記のような理由で興奮というのはちょっとしにくいですね。故に1巻目の「抜ける度」はオイラ的に1.5くらいかな。
 ちなみに作画は非常に上質で、女の子も可愛く描けているのは良いと思います。
(彩雲11型)


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