Unbalance(アンバランス) menu.3

 ストーリー・藤宮律子は裕福な家庭に育ちながら、浮気ばかりしている父に反発し、「ハングリーベア」でバイトをしている。父は、いや男はみんな不潔なのだという不信から逃れられない律子。そんな彼女の空虚な心に付け入るように、大久保純が接近してきた。直裁にデートへ誘う純に律子は戸惑うが・・・




 ・三部作の完結編です。
 一巻、二巻の女の子たちは大人しく控えめな印象でしたが、この3巻目のヒロインはタカビーお嬢様であり、それを屈服、隷従させていく、いわゆるツンデレ系のお話しになっています。
 故に当初は主人公に対して「アンタってバカじゃないの?」という態度を取っている律子ちゃんが、次第に彼に依存せずにはいられなくなっていく過程がエロく、三部作中では群を抜いて面白い仕上がりとなっています。言ってみれば、最初から「堕ち」状態となっている前2作のヒロインたちには、そもそもドラマを支えるだけの力がなかったのだと思います。
 さて律子ちゃんは父親の荒淫ぶりを激しく嫌悪し、そんな父親が憎いと純に吐露するのですが、悪魔のような純は当然それが真逆であることに気付いています。
 律子は父親が憎いのではなく、父親を深く愛しているのでしょう。父親が真にキライなら、彼が何をしていようと気にならないはずです。愛しているからこそ彼の不誠実さが許せないのであり、つまり重度のファザコンなのです。
 彼女が「男はみんな父と同じで不潔だ」と言いながら純の誘惑にフラフラ乗ってしまうのは、自分もそんな風に汚れれば、あるいは父に愛してもらえるかもしれないという潜在意識のなせる技なのかも。
 実際彼女は一旦純に犯されるやズルズルと官能に溺れてゆき、最後は自宅で散々犯されて猥語を大音声、父の前で自らのモラールが転倒したことを表明するというオチになっています。なかなか迫力のある文芸で感心させられました。
 さて全三巻を通して見ますと、同じディスカバリーレーベルの佳作である「清純看護学院」や「奴隷市場」に比して、シリーズを貫く力強い構成が無かったのが残念です。
 しかし美しい作画や美術によって、ビジュアル的には見所満点の仕上がりとなっており、前衛的な演出の数々をチェックする意味でも、一度見てみて損はないかもしれません。
 この3巻目の「抜ける度」は3です。
(彩雲11型)


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