花と蛇 THE ANIMATION(全三巻)

 ストーリー・遠山静子は若き実業家の後妻だ。暮らしは豊かだが、先妻の娘である桂子との仲が上手くいかず、思い悩む毎日だった。そんなある日、桂子を誘拐したという電話が入る。驚いた静子は、身代金を持って犯人との交渉に臨むが・・・・




 ・2006年にティーエムシーというメーカーさんが三巻構成で発売した作品です。
 原作は、ポルノが好きな方なら知らない人はいないでしょう、団鬼六氏による、今や古典となった小説です。
 かくいうオイラも、「花と蛇」という作品名は知っていても、内容については「富豪の奥様と娘さんが凌辱調教されちゃうオハナシ」という程度のボンヤリした知識しかなく、ですからそういう有名作を、アニメという今日的なメディアで再び世に問おうという壮図は良いと思いました。
 しかしいざ見てみるとガッカリ。「ショボイ作品だなあ」という印象しか持ち得ませんでした。
 本作のマズイ点を具体的に書きますと、
 (1)世界観やドラマが現代的に上手くシェイプされていない。
 (2)ビジュアルが非常にチープ。
 という2点が問題です。
 まず(1)について。
 本作は古典小説が原作ですから、その舞台を現代(新世紀)に置き換え、今の若い人に分かりやすく見せようという演出意図は分かります。
 しかしどうせやるならば、携帯電話等の新しいガジェットを使ったり、茶髪のチーマー共を出したりというセコ技だけでなく、ヒロインや敵役というメインのキャラから大胆に改変しても良かったのじゃないかと思います。
 やたら貞操にこだわる和服の奥様とか、政界の黒幕とかいう大時代的なキャラなんか今さら見たくないですよ。
 どうしてもそういうキャラでいきたいなら、原作を忠実に再現し、時代設定も昭和にして、本格的に古典のアニメ化に取り組むべきでしょう。つまりは中途半端なワケです。
 次に(2)について。
 作画は非常に悪いです。
 ジェイ・チャンという人が作画監督としてクレジットされていますから、海外委託なのかもしれません。
 とにかく垢抜けず、モッサリとしか動かず、女体もブサイク。これではねえ・・・
 楚々とした和服美人というのも、ビジュアルが良ければ迫力があるでしょうが、この作画ではそこらの公園主婦に無理やり着物を着せたみたい。
 かよう、見ただけでウンザリしてしまうような絵ヅラですから、濡れ場にたどり着く前にイヤになってしまいます。よってエロとしてもダメダメ感が・・・
 天狗の面を着けた調教師とか、三角木馬にムチなんつーダサセンスも、今日日もう勘弁して欲しいなあ・・・
 「抜ける度」は2。
 原作のファンにはチープすぎる出来が不満でしょうし、原作を知らない人には単なる時代遅れのアングラ作でしょうし、いずれの視聴者にもアピールをしにくいと思います。
(彩雲11型)


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