初犬(全2巻)

 ストーリー・深谷と藤乃は恋人同士だ。藤乃は美少女だが、全く喋らず、しかもバイブが大好きという淫乱ぶり。これで付き合っていると言えるのかと深谷は悩むが・・・




 ・2007年に
ピンパイさんから2巻構成で発売された作品です。
 原作として人気コミックがあるそうで、不思議ちゃんなヒロインと、彼女に翻弄されるダメな主人公を描いた学園エロコメディになっています。
 原作を未読のオイラからしますと、何とも評価しにくい作品。
 出来は悪くないのですが、どうも今ひとつドラマに入り込みにくいです。
 ちょっと的はずれかもしれませんが、涼宮ハルヒと長門さんの立場を逆にしたような作品という印象を持ちました。
 つまり無口で感情の起伏に乏しい女の子がヒロインになっており、イケイケで仕切り好きの女の子が脇役となっているわけです。
 しかしそうしたドラマ構成が、まさに上で書いたように「入り込みにくい作品」となってしまった原因であるような気がします。
 何故なら、本作のヒロインは、「無口(ていうかほぼ喋らない)で超淫乱でマイペース」という具合にキャラこそ立っているものの、その心情が皆目分からないため、ドラマ自体が上手く成立しなくなっているのです。
 視聴者は彼女を見て、「ああスケベなんだな。いつもヤッていたいんだな」ということは分かりますが、その彼女と主人公との交流に引き付けられることはありますまい。バカップルがのべつに交尾っているだけなんですから。
 むしろサブヒロイン(つまりこの場合はハルヒっぽい立場の娘)の方が、バキバキ心情を吐露しながら主人公に迫ってくるため、視聴者はそちらの方に興味が行ってしまいます。
 「この娘はこんなことを考え、こんなことをしたいのか。主人公はどう対処するんだろう?」という具合にです。それでこそドラマを見る意味があるというものです。
 確かに人気マンガや人気小説には、往々にして魅力のある脇役が登場します。長門さんもそうでありましょう。
 しかし彼女らの魅力は、まさに脇役であるからこそ光って見えているのであり、それをそのままヒロインにしてしまうのは、試みとしては面白いけれど、少なくとも本作では失敗しているように思いました。
 ちなみに作画は高品質で、女の子たちはビジュアルも仕草もとても可愛く、それだけを見ていれば良作なのに・・・という勿体ない感が漂っちゃうのは残念です。
 「抜ける度」は3に少し足りないくらい。
(彩雲11型)


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