螢子(全三巻)
ストーリー・母の故郷である孤島へやって来た天涯孤独の少女、涼。そこは旧家の当主によって支配される島だった。奇怪な因習、そして徘徊する物の怪に恐怖し、戸惑う涼。やがて島の狂気は涼をも犯し始めて・・・
・グリーンバニーレーベルから三巻構成で頒布された作品で、原作は例によってPCゲームのようです。監督は金澤勝眞氏。 内容的には、因習が支配する孤島で起こる怪奇事件を描くもので、生贄を捧げたり、それによって奇形児の肉体を補完したりという、諸星大二郎の妖怪ハンターを強く想起させるようなストーリーが展開します。 しかしそのストーリー自体は迫力や牽引力に欠け、適当にスプラッタシーンを散りばめただけのコケおどし的構成になってしまっているのは残念です。伏線や思わせぶりのセリフもまともには回収されません。 一連のプロデュース作品を見るに、どうも金澤氏は、プロットをキチンと組み上げ、物語そのものを構造として視聴者に示す才覚を欠いているようです。故に毎度、淫靡、陰惨な雰囲気はそこそこ出ているものの、ただそこで留まってしまい、面白い作品を見たなあという視聴後の満足感が得られないのは困ったものだと思います。ストーリーをまともに語らないのなら、最初から、孤島だとかそこで起こる事件だとかいう舞台設定など用意しなければ良いのに・・・ エロシーンは各巻を通じて多いですが、大抵はヒロインのオナシーンだったり、脇キャラによるおざなりなSMシーンだったりしてテンションは低いです。また多くのエロシーンにスプラッタ描写が絡んでおり、つまり行為が終わった後に刺し殺されたりバラバラにされたりというシーンが続くため、そういう味の苦手な人は引いてしまうでしょう。 オイラ的には、二巻で演じられる、ヒロインとメガネっ娘の百合シーンが良かったです。 このメガネっ娘は清楚で心優しく、しかし最後はヒロインに裏切られて殺されてしまうような描写があるのですが、その描き方が曖昧で思い切りを欠くため、彼女の運命の哀しさ、儚さというのが今ひとつ印象的でなかったのはガッカリしました。 「抜ける度」は2。(彩雲11型)
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