ホワイトシャドウ

ストーリー・麻美(まみ)は明日の新体操の大会に向けての練習に励んでいた。その日の帰り、恋人の祥太(しょうた)に赤い宝石のついたペンダントをプレゼントされる。このペンダントが、これから始まる悲劇の発端になるとは、麻美も祥太も、その友人の一郎(いちろう)も、まだ誰も知らない。




・新くりいむレモン第二回作品。うるし原智志氏がキャラデザに作監までをやった作品ですか。ほぉ、今の絵柄からはまったく想像が付きませんけど。いくつか出ている氏の画集のには当時のイメージボードと共にそのような説明があったのだが、何故か「おぉっ!すげぇっ!!」とは感じずに「あぁ、そうだったんだね。」って思う程度。やっぱオレにとっては「くりいむレモン」の中の一本なので、うるし原智志氏のってイメージぢゃないんだよな。なお「フロントイノセント #0」に収録されている氏の仕事場拝見のコーナーにて、本作のVHSテープが棚に納まっているシーンもあるので機会があれば是非チェックして頂きたい…Bataって「新」シリーズでは出してたっけ?

・さて本作は87年の四月発売ですか。「うろつき童子1」が一月だもんな、時期が近いとやっぱキャラタイプのダブつきがあるのかな?両作品共にヒロインが新体操キャラだもんな。おまけに麻美の部屋の、ポスターに描かれている人物が「タッ○」のヒロイン「朝○南」にしか見えないんだが。まぁ、ポスターの方にそのキャラを描いたのは関連付けた「お遊び」だろうけど、この頃はまだそんな「お遊び」を堂々とやってたんだな。

 新体操シーンを見比べてみた…うろつきと。こちらの方がはるかに多くの時間を割いており、どれだけの差かと…計算してないよ、ただシーンの存在感において…残念ですと。テーマに置いていながら。多分、動きの所為だろう。確かに本作はそのシーンにおいて止め絵が多いけど、動いてないわけぢゃない。新体操らしく動いてるシーン、新体操キャラだと印象付けるシーンが弱かったのかな?ひょっとしたら道具も影響したのか?「うろつき童子1」の明美の場合はフープ(輪)を使っていてそれがアクション的に上手く行ったのだろう。麻美の場合はボール(球)だったが、このボールを選んだのが失敗だったの…か?マイナーな(?)道具を選んだというのなら目の付け所は面白いんだけど、それを活かせたかな?やはり新体操としての見栄えを考慮したら、リボンを選ぶべきだったろう。本編のストーリーをそこはかとなく暗示させるには、クラブ(棍棒)が良いはずだ…たしか、二本手にするんぢゃなかったかな…まさに最適。フープだったら、まさに作品を超えた新体操キャラのちょっと変わった対戦が見れて、それはそれで面白かったろう。ところで今回、道具を調べるのにウィキペディアを覗いてきたが…「縄」ってのもあるらしい…はい?なんです?それ?

・作ってるところの所為か時代の所為なのか、結構突っ込みどころが満載だ。学校の名前が「英愛学園」って、AICだからってそんな名前にしますかね…それから、前半でのお相手のあいつがあぁなっちまうシーンでは「うげっっスペース○ンパイアぢゃんか!」と、驚いたもんで…あの映画のあのようなシーン、実は結構トラウマになっててさ、それをアニメで…こんなとこで見せられりゃさ、あまり良いもんでもないね、それからあの夢の中に出てきた女の人、髪型とか、当時らしい(?)絵柄の所為もあって「おぉ!バ○ルガムクライシスの○リスが居るぞ!」とか…。

 麻美の声の所為もあって、この頃に放送していた某有名ロボットアニメで、同じ声にしか聞こえない人が一人二役でご出演なさってたために、そちらを見ながら「うわ!おんなじセリフしゃべってるよ!!」なんて、うれしいパニックをおこしたりしたもの。ちなみに実際には同じセリフどころか似たようなセリフも全くしゃべってはいない。それは結局、くりいむレモンシリーズ内では確かにあったその似たようなセリフと、その麻美のお声の方がテレビアニメの中で、そのようなセリフを言ってたために誤認してしまったようだ。どのアニメでどのキャラとを?それは自分で確かめて。

・表情、特にやろーのが余計な感じというか、凝れば凝るほどなんか変な表現に感じてしまうんだ、なんか変。実際にはそんな顔をするんでしょうけど、その表情のあるカットを見ると、「はぁ?なんじゃこりゃぁ?」ってな感じになる。アニメとしてどうなんだろう。まぁ、やろーがエロシーンの中に出てくんのは当たり前だから、多少のことでは影響出んけど、そこはかとなく表現のマイナスになっているように見える。実写的表現は、きついのかも。言うならアニメで見せるリアリティと、実写に近づけた表現の違いかな?同じようでいて、やはり違う事。多分それは、氏のこだわりのようなもの(?)かなも知れない…だとすると、もうこの頃から…か。

・オレ的にはヒロインがオナニーをするシーンが好き…っていうか、オナニーするキャラが好きというか、オナニーのシーンがしっかりしててそのシーンの長いキャラが好きと…いうかなんだけど、とにかくオナニーのシーンの出来栄え自体がある意味作品の価値そのものだったりもするわけだ。んじゃ、ヒロインがオナニーをやらん作品は無価値かっていうとそうでもないんだが。さて、本作でのそのシーン、欲張って言えばバスタオルを外す、あるいは外れるシーンを入れて欲しかったな…尺も短めなのでもう少し長くして欲しかった。イッちまうところでブラックアウトしてしまったので、イッてからふた息くらい置いてからブラックアウトして欲しかったな。ただ、肉感だけは結構いい感じだった、そう見ると及第点かね。んじゃ、オレ的に言えば本作はそれ以外は特に無くてもいい事にならないか?他のシーンはおまけみたいなもんぢゃないかね?だが本作での一番のお気に入りのシーンは他にある。

最後のえっちシーンでのバックでやってる時の、横からのアングルの数秒間が特に気に入っている。体位が好みか?おっぱいの揺れ方が良いからか?それとも肌の色合いと言うか、光の当たり具合なのか?シーン全体の色合いか?とにかくイイんだ。始めて見た時に何故か「おぉっっ!」てな感じで何かに感動したのは覚えている。それだからか、そのアングルのシーンでと言うか、その体位でのシーンで未だにこの数秒を上回ってるシーンに出会ったことは…無い。

・この段落、ネタばれっぽいことかなり有りマス。さて、今回のレビューを記述するに当たって、あっちやこっちのシーンを見直ししているうちに「おやっ?」と思えてくるシーンがいろいろと出てくるわけで、それらはもちろんあちこちに書きましたが…この話のストーリー自体が、実は麻美が主人公では無いのかもしれないと思うようになってしまった事。くりいむレモンなので、よほどの事が無い限り先ずは主人公は女性のはず。もちろん本作もそう思ってたし、多分そのように構成されていたはず。だけど初めに麻美が登場した時、彼女自体をあまり強調せずに…ぼかしたりはしないものの、やや背景キャラっぽい演出がなされ、祥太と一郎の会話に入った。その後に初めに登場したキャラがヒロインだと判る演出になってるようだった。あたかも少年二人が主人公であり、その二人にからみ、キーになるヒロインが麻美であるかのように…いや、むしろ麻美を含めた三人が主人公であり、祥太の持っていたペンダントに関わるようになった三人の、それぞれの出来事を表現し、25分作品に仕上げ…エロアニメだから麻美を主人公にしたような、だ。もしもあと10分、いや5分の尺があれば麻美以外の二人のシーンをさらに盛り込めば、この作品での演出したい事の最低限度のすべてを演出できただろう…麻美と祥太が恋人同士と言うには若干表現が弱く感じられ、むしろ友達同士に近い関係に思える。一郎に関して言えば、ただの脇役だ。麻美は彼の事も少しは好きだったらしいが、演出から言えば相当強引な仕上がりだ、後半ではメインを張ることになるがエンディングの事も考えると…キャラ自体の複線が少ない。…企画時に描かれていたストーリーが、オレの考えてるようなモノだったとしたらだがね。それはオープニングでペンダントの正体やら、いきさつをばらしておいて次に三人の日常を描き、ペンダントの力によって生じた事に三人が翻弄される姿…つまり本作自体を描くと言う編成。そちらでも所々に追加カットがあるようなやつかな。「このペンダントを決してうら若き女性に渡してはならない!必ずや不幸を招く!」なんてものだったとしたら、効果覿面だな…実はそんなものだったりして。そうそう、ラル2のとこに書いた事、この作品でもあるわけだから86年度、やっぱエロ以外の面できびしいかな。

・抜ける度は2。そのシーンだと判断できるのは四箇所あったね。シーンそれぞれの尺は短いめ…かな。う〜ん、そのシーンは今でも名カットだよ。それを超えてる作品あったら、教えて。是非見てみるから。さて、それよりも、やっぱしやろーのアップは要りません。ついでに、そのやろーのお二人さんとも、妙に体つきが逞し過ぎませんかね?もうちょっと体のラインがそこはかとなく細くなるはずだけど。

アニメとしてのお勧め度はちょっとおまけをして3。幾分ダークな感じ。これ以上書くと上記分もあり、相当ネタばれになる…ストーリーの全てを書く事になりかねないのでので書きたくないな。この頃は後のくりいむレモンスペシャルの「DARK」とかも含めて暗いとか、そんな作品が続くんだよ。

 入手に関して言えば、やはりアナログメディアであるVTやLDがより良い。だがストーリーを知りたいだけならば、やはりDVDだろう。「五時間目のヴィーナス」とのカップリングの単品のやつがあれば。売っていたとして、店によって値段はまちまち。許せる額でどうぞ。そう言やネット配信って、今でもやってるのかなぁ。クレジットカード契約とかがうっとうしいので手を出してはいないが。
(輝川流一)


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