淫獣 ねらわれた花嫁(前、後編)

 ストーリー・郷田三四郎藪川家に住み込みで働く書生だ。令嬢の百代に想いを寄せつつも、身分違いと諦めて悶々とする日々。しかし百代の結婚が決まった頃から、邸内では怪事件が次々と起こり始めた。




 ・ピンクパイナップルから1999年に頒布された作品で、同レーベルによる一連のオリジナル淫獣シリーズに連なるモノです。
 内容的には、大正時代っぽい世界観の中で、名家の令嬢と彼女に恋慕する書生、そこに出現する淫獣による残虐劇というもの。暗〜いゴシックホラーエロスとでも言えばいいのでしょうか。
 特徴としてサスペンス味が強調されていることがあり、淫獣の正体は何なのか、誰が生き残れるのかと、視聴者をハラハラさせるように工夫がされています(ミエミエだけど)。
 またビンに閉じ込められたコガネムシを主人公の妄執の象徴として繰り返し描くなど、一種の文学的表現が脚本に多く盛り込まれていることも味となっています。
 こうした、チープながらもキチンと文芸を組み立てようとする制作姿勢は、最近のエロアニメが失ってしまった職業倫理の一つとも言え、その折り目正しさは評価されるべきでしょう。
 難点は、ピンパイ淫獣モノの常ですが、ちっともエロくないことです。
 文芸がシッカリしているのは良いとしても、それにエロシーンが埋没してしまっている感があるのはやはりマズイでしょう。「ここで抜かせる!」という強いこだわりは、ポルノにとってとても大切なモノのはずです。
 メイドが主人のチンチンをしゃぶったり、偏執的なボンボンがオバハンを鞭打ったり、触手がヒロインを嬲ったりというシーンはありますが、どれもおざなりな印象で、抜くのには使いにくいと感じました。
 「抜ける度」は1。
 もう少しエロアニメとしてのバランスに配慮すれば良作になったように思えて残念です。
(彩雲11型)


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