遺作 Respect(全三巻)

 ストーリー・健太、琴美、美由紀、明美、理香、美緒及び久美の7人は用務員の遺作により古びた旧校舎に監禁させられた。遺作は少女達を凶器で脅し、次々と犯していった。彼らにはもはや明日は無いのだろうか・・・




 ・私は遺作という作品に対して特別な感情をもっている。なぜならば、私は原作の遺作をプレーしたことがあるからだ。私はエロアニメをしばしば鑑賞するが、エロゲーをめったにプレーしない。私はあの時なぜか遺作を衝動買いし、そしてそれをプレーした。その内容は陳腐なアドベンチャーだった。肝心のエロシーンは非常に少なく、私は遺作を傑作とみなせなかった。それでもやはり、老舗のエルフだけあって、キャラ立てだけはしっかりしていた。私は個性のある個々のキャラクターを未だに良く覚えている。そういうわけで、私はこのエロアニメの原作を良く知っている。原作を知っていると、時間の都合で所々端折るしかないストーリーを脳内補完できる利点があることを私は実感した。
さて、原作の話はここまでにして、このエロアニメのレビューに移る。この作品はあらゆる点で奇異である。たとえ奇異であっても、エロくて面白ければそれでいいが、この特徴がこの作品をとんでもなく駄目にしてしまっている。この作品では全ての男キャラが全くしゃべらない。メインキャラである遺作及び健太すら全くしゃべらない。私はここまで男キャラを徹底的になおざりにする作品を今までに一度も見たことが無い。男キャラがしゃべらないために当然物語の所々に綻びが生じる。そして時として展開が非常に滑稽に見える。例えば、遺作により刃物で衣服を引き裂かれた琴美や美由紀が、「いやー、こんな姿にさせられたことをみんなに知られたら・・・」といったようなことを平然と言う。良くもまあ彼女達は自分自身に刃物を突きつけられた危機的状況下で世間体を気にする余裕があることか。ここで、遺作が「おめーら、こんな状況でまだ助かると思ってんのか。おめでてー娘どもだな。」という的確なつっこみがあればまだ救いはある。しかしながら、遺作は無言のままである。この作品では男キャラがしゃべらないために女キャラがその倍しゃべる。だから、彼女達は、たとえ刃物を突きつけられていても口数が多い。セリフ数をかせぐために、彼女達は前の場違いのセリフを言わざるをえなかったのかもしれない。人は恐怖で怯えている時、無口になるということを完全に無視しているこれらの描写では、差し迫ったシーンを巧みに表現できるわけがないと私は思う。
もう一つの滑稽なシーンとして、理香が、琴美が遺作に犯されている様子を詳細に解説する。しばしば格闘漫画には解説役が存在し、彼は我々が頼んでもいないのに格闘家の繰り出す技をわざわざご丁寧に解説し始める。まさかエロアニメでこれらの類の解説役に遭遇することになろうとは、私は夢にも思っていなかった。
この作品は男キャラがしゃべらないということだけで十分に奇異なのに、さらに美緒と久美は出演するだけで全くしゃべらない。どうして製作者はセリフすらない女キャラをわざわざ登場させるのか。彼女達は確かに原作には登場するが、エロアニメにおいてセリフすら与えられず、全くと言っていいほど活躍しない。彼女達をここまで酷く扱うくらいならば、製作者はいっそのことアニメにおいて彼女達の存在を消してしまえば良かったのだ。現に男キャラの陣八と宗光は本作で見事なまでに消されている(正確に言うと、陣八は回想シーンに少しだけ登場する。)。私は理香と久美の2人を製作者にけずってもらいたかった。理香は眼鏡娘である。私は眼鏡娘を好かない。久美は年増の、予想以上に若いのかもしれないが、グラマー女教師である。私はグラマー女をあまり好かない。
エロシーンは物語全体を通して豊富にある。しかし、ピンクパイナップルらしくその密度は低い。浣腸シーンにおいて女が脱糞する場面をきれいさっぱりカットしてしまうのもピンクパイナップルの常套手段だ。動画の動きや人体の描写は、人件費を大幅に節約したと勘ぐられても仕方が無いほど汚く醜い。
物語の終盤にある動きの少ないかつセリフの無い女達の放尿シーンは笑うべきところであろう。
遺作は最後に謎の死を遂げる。そして健太を始めとする被害者は普通の生活に戻る。この唐突な展開は一体何だろうか。原作のようにハッピー(?)エンドにしたければ、健太が遺作を殺し、バッドエンドにしたければ、女達を犯し、楽しむだけ楽しんだ遺作がこれらの証拠を消すために健太たちを殺す展開にした方がよっぽど違和感がなかった。そもそもアニメの健太は相当のヘタレだ。彼は一人で便所に隠ようとするわ、小柄な理香に階段から突き飛ばされて気絶するわで、醜態をさらけ出す。
臭作、遺作及び鬼作は鬼畜三兄弟と呼ばれている。しかし、私は言いたい。とりわけ、アニメにおいてこいつらのどこが鬼畜だと。臭作はただのヘタレ、鬼作は気さくなギャグオヤジとして描かれている。
原作において犯した女は必ず殺す次男坊の遺作が唯一の鬼畜野郎であると言えるが、彼はアニメではセリフすら与えられず、終いには意味もなく突然死させられてしまう。彼ら3人はアニメにつくづく縁がないと私は思う。最後に、抜ける度は2である。
(りぷとー)


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