遺作

惨劇一「里香」、惨劇二「琴未」、惨劇三「美由紀」(全三巻)

 ストーリー・高校生の健太は、ある日差出人不明の手紙によって旧校舎へと呼び出された。ここでは過去に忌まわしいレイプ事件があり、今は閉鎖されているのだ。驚いたことに、旧校舎に呼び出されたのは健太1人ではなかった。クラスメートの男女数人や女教師も集められていたのだ。戸惑う一同に、やがて恐るべき陵辱の罠が襲いかかる!・・・




 ・エルフによる大変な人気ゲームを原作としたアニメで、「臭作」等の続編も大ヒットし、長いシリーズ化によってピンパイの代表作となった感もありますが、恥ずかしながらオイラはキチンとシリーズを視聴したことがありませんでした。「臭作」の何巻目だったかを斜めに見たくらいで。
 どうして敬遠していたかというと、やはり遺作のような汚いオヤジキャラというのを見たくなかったからだと思います。
 ファンの方にとっては、あのキモイオヤジが少女達を存分に汚し、征服していくというのがエロのキモなのでしょうが、オイラは百合とかが好きなヘナヘナエロ屋ですので、あまりグロテスクなのは見たくないんですね。つまり単純に好みじゃなかったということです。
 今回最初のアニメ化作品である無印「遺作」を一気に見てみましたが、わりとエロくて良いんじゃないかなという印象を持ちました。スゴク見たい!というシリーズではやはりないですが、食わず嫌いでいることもないなという感じでした。
 三巻分通した感想を書きますと、一巻→三巻と進むに連れ、ストーリーはどんどんつまらなくなっていくのですが、反面エロはぐいぐいテンションが上がっていくなあと思いました。
 一巻は導入部として良くできていて、原作を知らない者としては、ドラマの謎めいた感じがとても良いです。
 遺作の真意は?何故宗光たちはあんな行動を取っているのか?久美先生は何を隠しているのか?美由紀の妹は誰にレイプされた(殺された?)のか?
 それらの謎がドラマに躍動感を与えていて、見ていて「う〜ん、どうなるんだろう?」と引き込まれてしまいます。上手い。(アニメのストーリーは原作とは異なっているとも聞きますが)
 しかしそのストーリー性やドラマ性は巻が進むにつれてどんどん散逸し、ラスト近くでは完全に破綻してしまいます。
 宗光らの行動にはろくでもない説明が付けられ、女教師久美の行動や心理は結局説明されず、また美由紀の妹に関する背景が全くドラマに絡んでこないなど、それなら最初から思わせぶりなどしなきゃ良いのにという不満点が多々ありました。
 逆にエロ度は三巻目が一番濃く、美由紀がネチネチと犯され、汚されていく様がたっぷりの尺で描かれて迫力があります。シチュ内容としても、縛りあり、各種言葉責めあり、スカあり、百合風味ありとまあまあでしょう。
 全巻を通して評しますと、原作ファンの「動く遺作が見たい」という欲求には上手く応えているサービス作品だと思いますが、アニメ単品として見ると、シナリオとエロが上手く噛み合っていないもどかしさを覚えます。
 原作ファンとしては大勢キャラが出てきた方が嬉しいでしょうが、アニメは別物と割り切って、もっとシェイプした作り方をした方が良かったと思います。
 例えば、上で述べたようなシナリオの欠点を直すことは大切でしょう。何を描いて何を描かないのかをキチンと決め、最初から必要な伏線とドラマだけを盛り込むべきだったでしょう。
 同じ伝で、キャラももっと整理するべきだったと思います。
 男性側では宗光と
陣八は役割がかぶるわけですからどちらかを切る。
 女性側は、それぞれのファンには残念でしょうけど、キャラ的に
琴未とかぶる里香は切る。また明美と美緒はどちらかを切るなどしてシェイプし、その分それぞれの濡れ場を濃密に描けばずっと締まった作品になったと思います。もちろん原作ファンがサービスとして見れれば良いという考え方もありますから、ここは好みの問題でもあるでしょう。
 それにしても健太はどうしてああ役立たずなのかな。ハラハラすると言うよりアホらしくなってしまうのではドラマ上マイナスだと思うのですが・・・。
 三巻を通しての「抜ける度」は2.5です。
(彩雲11型)


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