淫獣家庭教師

 ストーリー・昭和初期の東京。夜の闇に紛れ、若い女性の肉体をミイラ化して殺害する「淫獣」なる魔物が徘徊する。女学生の美保は、自分につきまとう怪しい男が淫獣の正体ではないかと訝るが、親友の梓は、ハンサムな家庭教師、井上に熱をあげ、美保の相談にも上の空。しかしその梓までが淫獣の犠牲となって・・・。




 ・悠長なテンポですが不要な要素があまりなく、最短距離をゆっくり進んでいるという印象です。異世界のヤバい石のわりにあっさり入手します。弓道シーンがちらっとあるだけで戦いの最後のシーンが想像できます(他に伏線がないから)。淫獣の犯行は1回目導入・2回目ミイラ化と黒猫目撃で3回目(親友の梓)省略と、無駄撃ちがないです。2回犯った後なので3回目は悲鳴だけで何が起きたか伝わり、省略した替わりに人同士の絡みを入れて全体のバランスをとっています。
文明開化期風の世界設定は悠長なテンポに合っていてこれもバランスがいいです。淫獣がメディアに認知されているのは「淫獣シリーズだし他作との軽いリンクがあるのかな」と思って納得しましたが。
本作、タイトルとパッケージの片方がフェイクで片方がネタバレです。短編なので先にネタを明かすなとは言いませんが、
せめてスタッフ間の方針は統一してほしいです。
エロはもちろん(?)触手中心で、スピード感がもう一つですが絵が小ぎれいで声も悪くないです。ミイラ化という熱いフィニッシュまでつきます。熱いといえばヒロインの美保を抱いている淫獣が何故か気を失ったままだったのが最高に笑えました。お前の触手は別人格かよ!
そしてエンディングの最中に衝撃過ぎる追加シーンがあるので本編が終わっても消さないよう注意してください。最中に意識がない淫獣といい追加シーンといい、ネタなのか天然なのかスタッフの狙いがわかりません…
「抜ける度」2です。ミイラが苦手な人はミイラ化の直前に終わる技術が要ります(一言余計)
(eternal白)

 ・ピンクパイナップルによる、前田先生印でない、インチキ淫獣シリーズに列せられた作品で、あまりの御都合主義&支離滅裂な脚本に目眩がしてくる凡作です。
 
まあ何が御都合主義と言って、淫獣の力を極大にする魔法の石(?)がいきなり軽井沢に落ちていて、それを女学生がいきなり拾い、これはイカンと回収に向かった淫獣達は、何故かその女学生に近づけない。というのも、その女学生の友人が、魔法の石を無力化する逆魔法(?)の石を偶然(!)持っていたから・・・・なんて説明に、「そうかなるほど」などとうなづけるわけもありません。何だかなあ・・・。
 もっとも、エロアニメの脚本なんていつでもそんなもんだという御意見もありましょう。まあ確かにそうですが、それならそれで濡れ場だけはヤラしくしてくれればまだ許せますが、こっちも全然ダメだったり。
 とにかく全体に演出のテンポが悪く、
五秒で描けることをその十倍くらいかけてやってる感じです。エロシーンもその伝なので、何か見ていてダレるばっかり。ちっとも抜きたい気分にはなりません。
 細かい演出もヘンなのが多く、新聞にはいきなりミイラ死体の写真がデカデカと載っていて、「淫獣の仕業か?」などと大書してある。どうやらこの社会では淫獣って魔物が
キチンと認知されているらしい。ヘンな社会だなあ。
 女学生達の下着も妙に今風で、昭和初期の東京という雰囲気があまり出ていません。そもそもそんな時代設定にする必要は全くなかった気がしますが・・・。
 唯一本作独自の工夫というかウリとなる部分は、悪い淫獣ばかりでなく、ヒロインを助ける正義(?)の淫獣が登場するということでしょうが、せっかくのその設定も、あまり上手くドラマに活かされているとは言えません。
 ラストでは淫獣とヒロインとの間に何やら愛情が芽生えるのですが、ミイラ死体がゴロゴロしている惨状のど真ん中で、女の子と魔物が抱き合ったりキスしたりというシュールな画面には、感動すると言うより爆笑してしまいますなあ。
 そんな凡作ですけれど、作画はピンパイらしく丁寧で、エロアニメとしては及第レベルの絵と言えましょう。それと
女性が精気を絞られてミイラ化するようなシチュが好きな人には、そこそこにアピールする内容かも知れません。
 「抜ける度」は1です。
(彩雲11型)


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