A KITE(カイト)

 ストーリー・凄腕の暗殺者として大都市に暗躍する少女、砂羽。彼女を育てたのは、何と検察医である赤井であった。しかし砂羽が同じ暗殺者の少年、音不利と出会ったときから、彼女たちを巡る運命が大きく変転し始める・・・・。



 ・梅津泰臣氏が「イエロースター」に続いて放った、エロティック・クライムバイオレンスの第2弾です。
 前作のバイオレンス部分を大幅にグレードアップしたような内容で、その作画密度はマジで原画マンが数人死んだんじゃないかと思えるほどです。とにかく気合いが入っています。
 しかし作品として面白いかと言われたら、やっぱりウ〜ンとなってしまいます。「バイオレンス」というより、何だか「バイオレンスごっこ」という感じがしてしまうのです。
 凄腕の殺し屋である砂羽がまずマヌケなイメージですし、黒幕の赤井や音不利少年も、クールじゃなくてクールぶりっこという感じです。
 クライムシーンを派手に見せたいのは分かりますが、緊張感が無くて全然役に立たないボディガードとか、人が上に乗っただけでブッ壊れる天蓋付き歩道橋とか、そういう細かい不合理さにばかり目がいってしまい、全然作品に集中できない。それはそもそも、オハナシがあまり面白くないからだと思います。
 砂羽たちの使う銃はオモチャみたいに軽量そうですが、サイレンサーが内蔵されている上、特殊な爆裂弾頭で人体を吹っ飛ばします。だけどあんまり格好良くない。大体あんな便利なモノがあるなら、誰も重たいハンドガンなんか無理して持ち歩かないと思います。
 勝手な想像ですが、梅津氏にはちょっと描きたい絵だとかイメージなんかが頭にあるだけで、ストーリーなどはあんまり考えてないんじゃないかという気がします。変なたとえですが、ちょっとリュック・ベッソンみたいな感じ。
 エロは最初からバイオレンスの陰に隠れてあまり目立ちません。そもエロにこだわっては作られていない感じがします。
 後にエロシーンをカットして海外版R指定バージョンが作られたそうですが、オイラは未見。「抜ける度」は1です。
(彩雲11型)


→戻る