ストーリー・違法ドラッグや正体不明の魔物によって治安悪化が甚だしい近未来の日本。この状況に対処するため、警視庁長官神崎は、特殊能力を持つ者たちによる特別捜査隊を発足させる。そのメンバーである山田耕司は、とある連続殺人事件の手がかりを得るため、これもメンバーの1人である深見沢純とベッドを共にする。純はセックスを介して死者の残留思念を読みとることが出来るのだ。やがて耕司らの前に出現した犯人とは!・・・
・世紀末にセピアコーポレーションという会社から発売されたシリーズで、前田俊夫先生が原作のみならず製作総指揮に当たっているそうです。
内容的には前田先生お得意の魔物の絡んだサスペンスアクションですが、ストーリーやキャラ描写がムチャクチャ面白い!オイラ的に前田先生印ではイチバンの出来なのではないかと思います。
まずストーリー自体は特に目新しさはないですが、次に何が起こるのかというサスペンスの盛り上げが上手く、見ていてグイグイ引き込まれてしまいます。犯人の正体や、犯人を取り巻く人間模様の描き方もドラマとして(ステレオタイプながら)上手くできています。
また犯人が正体を現し、特殊捜査官らと対峙、対決するシーンのカタルシスも良いです。サスペンスからアクションへの緩急の切り替えが上手なわけです。耕司が変身してモンスターと組み合うシーンなど、完全にヒーローものとかロボットもののノリでカッコイイ!
キャラ描写も良く、それぞれに苛酷な履歴を持っているらしい捜査官達の陰陽がクッキリしたパーソナリティーと、彼らが反目しあったり助け合ったりして敵に挑んでいくドラマは、いわゆるチームものの面白さが良く出ています。「力を合わせて頑張れよ!」とハラハラさせてくれるわけです。
特に主人公である耕司と、彼に恋情を抱いてしまうヒロイン純とのドラマは、耕司が行方不明の恋人をウジウジ想っているだけに、視聴者としてはついつい純に感情移入させられて見てしまいます。上手い。
また耕司がモンスターに変身するクライマックスは何か妖怪人間ベムを彷彿とさせて楽しいですし、チームの最高責任者である神崎がメンバーを監視したり何事か奸計を廻らせているあたり、初期のワイルドセブンのような雰囲気でワクワクしますね。
弱点はエロ描写でしょうか。
いえ量的には十分なボリュームの濡れ場がありますし、それぞれ濃厚ではあるのですが、どうもストーリーを語る上での「繋ぎ」的なノリで、今ひとつ強烈なリビドーが感じられないのが残念です。萌えアニメ全盛の昨今に、劇画調の作画なのもエロとしてのアピール上不利かも・・・。(作画そのものは非常に良好ですが)
それが災いしたのかどうか知りませんが、セールス的にはどうもあまり良くなかったようで、事件を1つ解決した3巻目でシリーズは中断(?)されているみたいです。実に残念!フォローされていない謎や伏線が山盛りなので、是非続きを作って欲しく思います。
「抜ける度」は1.5としておきますが、エロ付きの痛快ヒーロードラマとして十分以上の出来なので、機会があったら見てみることをお勧めします。
ちなみに耕司が変身するのはカッコイイと書きましたが、変身した姿はもう少しヒーロー調に振っても良かったかなと思います。あれはあれでデザインとして面白いんですが、変身してハゲるヒーローって初めて見たもので。(^^)(彩雲11型)
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