ミネルバの剣士 邂逅(かいこう)の章

 ストーリー・(本文参照)




・ドリア国の王女ディアナは、城を飛び出し、変装して街に繰り出していた時、奴隷市場に売られた少女フィナ(注3)を救い出す、逃走の果てに遊牧民の土地に踏み込んでしまったディアナ達は、遊牧民の男たちに捕らわれて(注1)しまう。そして二人は…。

・ネタばれあります。むっちゃくちゃ有りマス。今回のレビューでは「ミネルバの剣士 邂逅の章」をベースに、少しづつ全シリーズ内のいろんなを摘んで、後の作品の中身などにも触れます。なお、先にも記載してはいますが、ぶっちゃけこの作品は、むっちゃくちゃ嫌いで…嫌いになったというべきなのでしょうな、おまけに見直すためにレンタルもしたくもないので若干、構成加減がヘンにもなってるかもしれない…「そこのシチュエーションは、そうではなくこうだろ?」といった部類は、すぐに見直せる人なら、でてくるでしょう。
 さて、どういう都合なのか結局この「ミネルバの剣士」シリーズは、大きく分けると三種類に分類(注5)できる…そりゃ、オレの直感的な分け方としてだけど。
 先ずは、美少女陵辱もの好きの方には自主規制R指定シリーズながらご一見いただきたい、この第一巻「邂逅の章」。 
 多少は古臭いノリを感じるものの、純愛ものとしてそう悪くない(こともあろうに、この一本だけならばオレは賞賛しただろう、脚本もあのセラムンの富田氏だ。)第二巻「黎明の章」。
 そしてこの「ミネルバの剣士」世界での価値観による(そう言えるのかも)勧善懲悪的と言うか、水戸黄門漫遊記的なノリを持った第三巻「羽化の章」、第四巻「風雲の章」、完結編の第五巻「払暁の章」の三本。
 しかし何故に五本もな。このころの主流は前後編型の全二巻構成だ。おまけに「プリンセスロード」の後編を出さずにこのレーベルは終えたのだから。どこから続編を考慮したのかは判らん、ただ、この「邂逅の章」と、第二巻の「黎明の章」との間に二年もの歳月が開いたという事は確かだ。後の三本は、わりと定期的だったはず。

・かっこいいヒロインが暴れまくって敵をばったばったと斬り倒しまくる作品…とを期待するならこの作品は…まったく違うので、そういうタイプのアニメが好きな方はこの作品の存在自体を忘れるか、あるいは縁の無いアニメとして、心の隅っこにでも留めて置いてくれ。…そして、ここまで読んでしまった人も、この先のレビューに目を通す事もやはり控えるべきだろうな。それ以外の人は、取り合えず読み進めてくれ。もっとも、それすらも必要に応じてと言うことになるだろうけど。
 まぁ、オレは中身を見るまでは、そういうカッコイイ系と思ってたんだよ、思い違いも甚だしいとはまさにこのことだが。パッケージにそりゃヒロインがかなりやばいことに…エロアニメ的にはあって欲しい展開になってるけど、それはヒロインの魅せ場と捉えてたので、むしろ展開を期待していたのは間違いない。初めて作品の存在を知ったのは、今はスポーツ系ショップと化した…さらに変わって、美容室だったかに…化したレンタルで発見した時だな。入り口近くの棚に置いていたので、まさかこんなトンデモ系列のものとは。「18禁」の文字が無かったし、自主規制15禁ではあったが、それすらこの時、書いてたかな?存在だけ確認。次にこの作品に再会するは、ビデオCD系の雑誌だな、発売日なども載せてくれる良心的な雑誌だった、そこで発見し「45分作品か…30分作品ばかりだったから、良い機会だ。」と、店へ。もっとも、誌面にある発売日となぜか食い違っており、それから直ぐに買ったのは「ドラゴンナイト外伝」であり、本作は来月分の発売での…違うな、来月分の入荷での購入となる。地方格差でも発生してたか、はたまた記載の間違いか、それともビデオCDゆえの冷遇か。

・もう二度と見るまいと…オレは誓ったはずだ。まぁ、結局部分部分でしか見直してないがな。だが、ビデオCD版だけは…それでもビデオCD版だけは、コレクターとしては今一度、コレクションに加えてやろうと考えてはいるが、それでも画質チェック程度で終える気でいる。この作品は…な。初めて見たのはビデオCD版を購入してだ。そちらのヴァージョンが出たのは95年ごろ。当時、ビデオCDプレイヤーを買ったが趣味に似合った作品、特にアダルトアニメやら40分以上の「長編」アニメに飢えていた身とすれば、45分作品ともなれば否応なしに期待も増すというもの。会社の昼休みに行きつけの電気屋のパソコンソフトコーナー(なんでじゃ!何故にビデオソフトコーナーではない!…後にビデオソフトコーナーに並ぶけど。)で売ってるのを確認、終業後(これまた何故に先程のの昼休みに買わなかったんだ?お前は!)に店に立ち寄り、閉店5分前に購入。税込み4000円弱か。安いが売りのビデオCDだもんな。画質はやや低い。でも、この値段で製品と言うものが手に入るのは良い事だ。「オレの趣味」を満たしてくれるだろう傑作と胸ふくらませて帰路に着く。その想いが間違いであり、絶望の序曲でしかないことに気づくのは…じっくり見ることになる数日後のこととは未だに知らずに…かわいそうなオレ様よ。

・はっきり言ってこの作品、見てて気分が悪くなったのだ。「うゎぁ…こんな酷いの…ウソだ!こんなのウソだぁぁ!」初見のあんときだってそう感じたけどさぁ、なんかさぁ、見てるオレが虐められてる気分なんだよね、これ。まぁ、内容なんて見なきゃ判らんもんだけど、趣味が合わなかったことがひとつ、もうひとつはこのような作品だと…自主規制R指定どころか内容的にはそこいらの18禁クラスよりも過激なことをやっちゃってる訳だから、つまり「見る覚悟」なしに見てしまったために、ショックが大きかったのだ。オレ以外も、いくらかいたんぢゃないかな?店舗の陳列状態によってはさ。ちょっとだけエッチなのを期待したら、トンデモになったりするからさ。

・それだけではないかもしれない。他のどのアダルトアニメを見てもこの作品ほど、そうは思わなかったさ。いや、思わなかったか?感じなかったか?声優さん方、あんたらはどんな気分でこの「ミネルバの剣士 邂逅の章」の音声を吹き込んだんだい?特にヒロインの声を充てた根○○智子さん…あれを上手い演技を言い切っちまえばそうかも知れない。だけど「キャラクターを通して私をいたぶり、陵辱して楽しんでいるのでは?キャラクターがそうされているのではなく、その体を通して私がされているのでは?」そうは思わなかったのか?18禁ではないから、スタッフ全員の名前がそのまま載るよ?だからこそさらに、その思いが強烈に。難○○一さん…ムチでいたぶった感想はどうです?気持ち良かったですか?楽しかったですか?ねぇ?答えてくださいよ、ねぇ?そーいやあんたのキャラ、二巻でどうやら敵の一団に惨殺されますよね。クククッッ…いい気味さ…自業自得さっ…バ〜カ!バ〜カ!!ッッップッハッハッハッ!ヤ〜イ!ヤ〜イ!!ざまぁみさらせぇ!!がぁぁ〜ッはっはっはっ!!!…んでキャラぶっ殺されて、その死体が発見されて、そこであんたの奴隷女といっしょに、あんたが死んだから、一緒に涙を流せ?はぁ?…アホかぁ?んなこた出来るかァァ!このアホんだらぁぁ!寝ぼけてんなぁ!あーゆー理由があったから、あんたがあいつの部下になったから、味方になったからと、あの陵辱行為を無かった事に?水に流せと?ッハッッ?何言う、オレには出来んよ、そんなの…当然だろ?…そうか、画面を通して視聴者を陵辱していたのか!…んっ?そう感じたのはオレ様だけだろ?そうかなぁ?

・エンディングのネタバレ、「遊牧民の男たちに捕まり、なぶりものにされたディアナ姫様は、その陵辱の真っ只中に現れた、数年ぶりに再会した旅の王子(ショウ)のもとに、彼らの手によって性奴隷(注2)として送られ、幸せにくらしましたとさ、おしまい。」18禁ぢゃないので声優スタッフもろだし(注4)でね。ショウがディアナを助けたわけぢゃないんだ、彼にただ、もらわれたのだ…遊牧民たちが捕らえ、その時点で彼らの財産と化したディアナをね。もちろんそれは、ショウが彼らに気に入られたからくれたのだけど。おまけにあれだ…ショウはディアナと二人きりになった時、相手がディアナと判っていながら「名無しでは不便だろう、お前に名前をつけてやろう…。」待てよ…ホント、なんだかなぁ。
 そんであれだ、エンディングロールなんて、一番上にディアナが入ってるでしょ?大体だな、下僕女に堕ちた時点で、あんたもう、主人公ぢゃねぇよ、一体なんだったんだろうねぇ。
 本作で受けたショックに比べれば、「オーキッドエンブレム」なんて、カスだよカス。

・でもね、もしもこの作品がビデオCD専用作品だったら、あるいは「ビデオCD最優先」作品だったとしたら、オレは喝采しただろうな…「素晴らしい!このようなマイナーハードのために、よくぞ創り出してくれた!あなた方のその勇気と心根に感謝するッ!」とね。ビデオCDが出た95年あたりと言えば、ゲーム機が16ビットCPU機から32ビットCPU機になった頃であり、一万円ほどの追加出費でゲーム機が事実上ビデオCD再生機とすることが出来た頃、普及のチャンスだ販売機会だ…逃がしたね、あちこちのメーカーさん。そりゃ、魅力と言うにはちょっと弱かったけどさ、ゲーム機がただのゲーム機ではなく、エンターテイメントマシンであるという事を広めるチャンスの、第一期がそこにあったんだけどね。別にエロで良いぢゃんか、広まってから考えても良いんだもんな、体面なんてよ。次の機会は…そう、ゲーム機でDVDが見れるようになった時。

・そーそー、ここって、「男装」キャラをいたぶるのが好きだねぇ…ってか、わざわざ男装させてから、男装するって事は、性別を偽るって事だから、とことん悪いやつだから、どんな目にあったも文句言えんみたいな?「ドラゴンナイト外伝」でもそだったけど、キャラごとに理由があって、やむなしなのに、そうするかね?

・(注1)について、明らかにその男たちよりも弱かったから捕まった…つまりは油断していたからとかぢゃない訳だが、奴隷市場から少女を救い出すだけの行動力はあるわけだ。彼女はたいして強くない、せいぜい戦いでの素人を超える程度だと見えるが、後の作品での彼女の戦闘時の活躍から照らし合わせて見る限りでは、「絶対に出くわしちゃならん、やたら強い強い遊牧民の男たちに出くわしてしまった。」との表現へと変わっている。ただ、本作のイメージが強烈すぎて、それらの表現はかすんで見えたが。

・(注2)について、正しくは「下僕(しもべ)」と言い、どの下僕もその立場を示す「首輪」と、質素な服が特徴。首輪は、よほどのことがない限り外す事はない。後のシリーズから見られる立場は「性奴隷および愛人」だが。ショウの父の持論では「一番大事な女性は下僕にするべき。」だが、それはつまり「一番大事な女性は下僕として、所有物としてそばに置き大事にし、決して妃として迎えてはならない。」と、いうことになる…結婚できないんだ。加えて遊牧民に伝わることわざに「良い下僕は金銀財宝に勝る」とあるらしいが…へぇ、全裸にして縛って皆の前にさらしたり、ムチでたぁっぷりいたぶっての「調教」とかしたりするんだ。
 後の作品では、たぶん冗談だろうが、ディアナに対して「お前は美しいから、高い値段で売れそうだ。」と言ったことがあった…おい。
 また、別のエピソードでは、ショウとの賭けチェスに負けた男が自分の下僕を賭けの代価としてショウに連れて行かれたために、後日彼の宿泊場を訪れ「幾らなら私の元に戻してくれるのだ。」と請うたりもした。彼とその下僕女は、本当に愛し合った仲であるかに見えた。
 遊牧民のボスの男、彼が後に草原に帰る際の理由と言うか、言い訳なのだろうが、「私の下僕が草原が恋しいと言うので、帰るのだ。」と言っていた。本作「邂逅の章」さえなかったら、それなりに受け入れられたエピソードではあるのだが。
 もっとも、あるエピソードでは、ショウがある男に下僕女を返す際に「この女の価値は銅貨一枚。」と、言っていた。その後すぐに、受け取ったその銅貨を手に「この銅貨をプレゼントしよう。この銅貨を首から下げさせ、自らの価値を見つめさせるのだ。」と、言ったようなことを言っていた…ンなむちゃくちゃなぁ。
 
・(注3)について、後に良いご主人様の元にもらわれて行きます。まるで、はじめから遊牧民の女であり、下僕であり、どこかにもらってもらう日を求めていたかのように。

・(注4)について、やがてスタッフ名は伏せられることになります。

・(注5)について、今回のレビューを記述の際に、「邂逅の章」と、他作品に分けて二つぢゃねぇの?」なんて思ったりもしましたが、販売当時のパッケージの違いなども、作品表現として備わってるものとみなすため、このわけ方を通しました。

・抜ける度は1〜2。見所と言えるのは、ディアナが…ムチでいたぶられるのとか、レズ調教されるのとか、本番とかがありますが、個人的にはディアナがレズ調教されるのが。飽くまでエロシーンの見ごたえにおいてね。…でも、シチュエーションが、ストーリー上のそれが、オレは結局、ぜぇ〜んぶ、大ッ!大ッッ!大ッッッ!!嫌いなのッッッッ!!!!…んだけど、このシーン、あからさまにアニメ的に手抜きも目立つよ…「画の見栄えだけが良い。」と言う人も出てくるかな。

・アニメとしてのお勧め度は1。主題歌は良い、確かにかっこいいい、でも、それだけ。で、お勧め度の対象としてそれぞれ一本ごとに「1」で。ただし先述した内容のため、五作品全てを見たところで、それぞれが趣味に合いますかどうか。己の趣味に合わせた作品のみを見て、それ以外は存在があることだけを留意し、あえて見ないのも一つの手段と言えるのかもしれません。それはつまり、この五作品全てが気に入る人がいれば、その人へのお勧め度の評価は「5」になる訳だが…。
 入手に関して言えば、可能ならレンタルテープで済ませるのが。なお、テープのパッケージには確認しただけでも二種類あります。初版版と、再版版。たしか第三巻か四巻あたりが発売された時に、同時に再販された一巻と二巻のパッケージデザインのフォーマットが、三巻以降のものと同じものに切り替えられた事を、当時確認しています。よって、タイトルはしっかり読みましょう。うっかりダブって借りるような事は…レンタルならば損害は低いですが、もしも中古のテープ販売などがありましたらば、それらを持ち帰ることにもなるわけですから、お気をつけて。
 …んで、「ミネルバの剣士」って、どういう意味だったの?
(輝川流一)


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