オフィスレディー明菜ちゃん

 

 ストーリー・郵便局員の「ごんだわら・まさひこ」は、配達の途中で見かけた美人の女性に気を取られて配達でヘマをしてしまう。その日の夜、友人の「ののむら・よしお」と居酒屋にいるところで、彼の片思いにして配達中に見かけたその女性「なかがわ・あきな」と出会う。彼の片思いを後押しするつもりであきなに近づいたまさひこだったが、次第にあきなとの仲が深まって行く。(上の画像は輝川流一様提供)




・何故にこの作品を見る気になったのだろうか?発表当初も、その数年後に何処かの書店で2000円程度で売られていたときも無視していた。あれは今年の、2010年の5月下旬頃だったな。とある家電量販店に行って、なんかめぼしいもんでも…改装工事前なので何も無かった。次に、レンタルの中古でくりいむレモンシリーズあたりを…誰かがごっそりと買って行った後で、その日に欲しい物はすでに無し。ただでさえその店が遠いので、余計に疲れてしまった。だが折角なので、帰りのルートをちょっと切り替え、普段行かないアダルトビデオショップに行ってみることにした。店内には何故か中古マンガだの、写真集だの、中古なのか新古なのかわからんPCソフトやらフィギュアやらを置いている、何処か時代の流れに残されたような、時間のよどみの様な店だ。もちろん普通にエロDVDとかは売ってたりするんだが。その店の中を適当にぶらぶらしてたら、海賊版なのか正規品なのか不明な「テレパシスト愛Q315」だとか、再販版の「なりすスクランブル」とかが目に付いた。それらに混じって「明菜ちゃん」の名前が。「ネタとして見てやるか。」そんな気分になっちまった、なにせ250円だぞ?どうせ海賊版だろうけど、今更こんなんが見れるんだから文句は言わない。そしてレジに直行した。もう一本のめぼしいエロアニメの、明らかに海賊版だと判ってるそれも併せて。

・発売は84年か、この頃にあった「レッツ」って言うメーカーさんの作品、正式名称は「オリジナルビデオロマンスアニメーション オフィスレディー明菜ちゃん」で、Part2と銘打ってるからにはPart1になる作品もあるわけだな、結局その店では見つからなかったそれは「女子大生・聖子ちゃん」だ。発売年からして如何にもだけどさ。エロアニメメーカーとしては、エロアニメ初期に数本出して自然消滅したようだ。その最初期の作品群の一本がこれだ。

・もし偶然にも以前見ていたとしても内容は覚えていない、なお見ていたとしても友達がダビングしたのを一緒に見ていたのだろう。このメーカーのビデオ作品の一本に、予告としてこの作品のシリーズのものがあり、それを見ていたので、予告の感想を言えば「アニメとして、ちゃんと作ってるのかなぁ。」だった。いわゆる止め絵ばっかりで、セル画のバックでセリフとかをしゃべってたりするだけの「紙芝居風作品」になってるのではないだろうかと思ってしまえるほど、その予告は酷いものだった。…ので、ぶっちゃけこの「明菜ちゃん」本編を見たときに「おっ、ちゃんと作ってるなぁ…」とは思ったが、それでも酷い作品だ。予告編と本編の両方を見て何となく思ったことは、そりゃオレはそれらのモノ、機材をいじったことは無いけど「アニメ制作機器の扱い自体、まともに身についていないのではないか?」だった。そこはかとなくぼけた映像、かなり小さめで雑音の混じって感じる音声。今回購入した本編のVHSテープだが、もしも海賊版でないにせよ、もしこれが本来の正規品テープだったとしても、オレは信じる。その予告編の、これより酷い画質で作られた、静止画のみの予告編を、キャラクターの配色すらも定まっていなかった静止画を乱発させまくられた予告編を見てきたからこそ、オレは信じてしまう、画質はどうにもならんだろうという事を。もしこの作品が現代のデジタル技術で作成されたならば、配色はケバケバしくって音声は耳障りなギンギン音になっただろうとも、ふと考える。

・いざ視聴。激ヒドの予告編を見てから見れば、そりゃ割とまともに作ってるように見えるのは見えるが、それは飽くまで予告と見比べたらのこと、そこから予測される紙芝居程度の作品と思ってたものに比べたらのこと。実際にアニメとしてみたら、OVAとして…ほぼ最低点と言っても良いだろう。前述した、なんだか撮影機器の扱いすらまともに出来て無いのではないかというその画質も含め、色の塗り分けなんてやって無い、まともに動かしてるシーンもあれば、中割りもまともに入ってなく、コマ飛びになるシーンはしょっちゅうで、中割りどころか間のセルを抜いてるんぢゃなかろうかと言うほどあいだの抜けたカットもあった。人物対比も滅茶苦茶で、まさひことあきなが二人でバイクに乗ってるシーンでは、ヘルメットで顔が隠れてるのは仕方ないが、どう見てもやろー二人がバイクに乗ってるようにしか見えなかったりと言った作画自体の問題も。おっ、そうそう、一瞬画面が変にちらついたので、コマ送りで見てみると、ワンカットだが、セルが無くって代わりにセルの元の下書きの絵が撮影されていたってのもあった。

・まぁ結局のところ、あの頃の芸能人をモデルにすることでインスピレーションが沸いて作られたエロパロアニメなんでしょうけど「あぁ、あの人がモデルだな。」っていえるのが色々出てくる。あきなの友人なんて「やくまる・ひろこ」だもんな、たしか産婦人科医が「たけやぶ」なんだけど、その人が、あきなとの会話の中で「男と女の関係なんて所詮、赤いきつねと緑のたぬきのばかしあいなんだよ!」なんて言ってたけどまぁ、どう見たってあの人がモデルにしか見えませんからね。

・抜ける度は1か。こんな絵柄では起たぬ、使えぬ。

・アニメとしてのお勧め度は2。ただのネタです、いろんな意味で。その、ネタにするための「2」で、あります。ストーリーの根幹は意外とまとも?かも知れんが、いかにも古臭い昭和しまくった感のあるやつってやつかな。当時のOLって…仕事帰りに酒飲んで、パチンコもしたのか…知らなかったぞ。入手に関して…ですか。今回のはこういった事情から入手したけど、普通はレンタルで生きてたらそれだけで十分でしょう。たとえ正規品の保障があったとして、あなたのコレクションとして、どうなのでしょうか。あの頃のエロアニメを片っ端から集めたいと言う人以外には、勧められない。
(輝川 流一)


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