大江戸四十八手(全三巻)

 ストーリー・江戸城大奥・・・男子禁制のはずのそこを、悠々と闊歩する男がいた。彼の名は嬉良。新参女中の世話役であり、同時にその仕置き役を務める。何故彼は大奥に出入りを許されているのか?・・・




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2007年から2008年にかけて、White Bearレーベルから3巻構成で頒布された作品で、タイトルは「大江戸ふぉうてぃえいと」と読むそうです。
 ゲーム原作ものなどではなく、どうやら独自企画らしいですが、オリジナルのエロアニメ不毛と言われるこのご時世に、それも本格的な時代劇エロスを制作したレーベルさんの気概、チャレンジ精神には、心から拍手を送りたいです。
 文芸もなかなか硬質で、キチンと時代劇になっているのは素晴らしい。
 キャラはそこそこ今風ライズされていますが、それなりに時代習俗に則った行動を取りますから、パッケージだけが「江戸」という、「なんちゃって時代劇」ではありません。この時代設定でドラマを作る意味が、ちゃんとあるのです。
 
またタイトル通り、濡れ場に四十八手を盛り込んで見せていくというカタログ的な作りも楽しく、そうした細かな工夫には作り手の誠意を感じます。
 一方で難点もあります。
 まず、複数出てくるヒロインらの描き分けが、ビジュアルとしてイマイチであること。
 と言いますのも、全員時代劇風に髪を結っていますから、皆いきおい同じような外見に見えてしまい、それが引いては、ストーリーや人間関係をも分かりにくくしている恨みがあるのです。
 時代劇としての雰囲気作りにこだわったのは分かりますが、そこは一つアニメと割り切って、せめて髪の色だけは緑やピンクという今風の色分けにしても良かったかもしれません。
 また、濡れ場も時代劇っぽくて悪くはないのですが、それで抜けるかというと話は別で、視聴者のリビドーに訴える力は弱めです。
 濡れ場自体の尺や数はもう少し少な目でも良いですから、一発ドカンとスゴイエロシーンを入れて欲しかった気もします。
 
そうした点が災いしたのかどうなのか、セールス的には振るわなかったようで、物語は尻切れトンボに終わってしまいます。制作が中途打ち切りになったのであれば残念です。
 「抜ける度」は2。
 
しかし抜けるかどうかは別として、その壮図を讃えたい作品です。(彩雲11型)


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