陵辱の都市

 ストーリー・舞台は中世ヨーロッパのパラレルワールドである。弱小国の王女ベアトリーチェは人身御供として大国の国王に嫁いだ。しかし、胸をときめかせる彼女を待っていたのは、常軌を逸した肉欲にとりつかれた背徳の国であった。




 ・作画は全て韓国人が担当している。よって、画質は悪い。顔形は萌え系とはほど遠く、体の形はおかしい。物理的に有り得ないような格好でセックスが行われるシーンがある。このようなことから、エロ目的でこのアダルトアニメを見ることは無謀である。しかし、ストーリーはなかなか良い。30分という短い時間できちんとまとまっている。エッチシーンのほとんどが強姦であるため、このアニメは恥辱系に分類されるのだろう。恥辱系の作品の多くは悲劇に終始徹しきれず、無理やりハッピーエンドに持ち込むことがしばしばある。しかし、この作品はそういう中途半端なストーリー展開をしない。最初から最後まで悲劇を首尾一貫して貫き通す潔さがある。
物語の舞台となる国王、フランチェスコが治める国では、驚くべきことに強姦が合法である。ヒロインであるベアトリーチェが教会で祈りを捧げていたところ、突然老いぼれた神官が現れ、彼女は彼に犯されてしまう。絶体絶命の彼女の前に若い兵士が現れた。彼は何の躊躇もなく、神官の首を剣で落とした
。彼の名はエリックと言った。彼はこのいかれた国を変えようとせむ革命の志士であった。しかし、彼の行動はすぐに筒抜けとなり、彼は国王に捕らえられてしまう。彼は謀叛の罪で断首刑に処せられた。
地面に転がった生首の表情からは彼の無念が伝わってくる。この一連の流れは、時間の都合により急展開しすぎではあるが、ドラマチックであり、意外性に富んでいるように思われる。一般的なファンタジー系のストーリーでは最後に正義が勝つことが多い。このストーリーではそうではなく、悪が最後まで栄えるのだ。フランチェスコは反乱分子粛清の後、勢いに乗り、ベアトリーチェの国を征服する。彼女の父は殺され、彼女の母と妹は捕虜にされてしまう。フランチェスコは彼女の妹の容姿が相当気に入ったらしく、ベアトリーチェを捨て、彼女の妹を代わりに后にする。捨てられたベアトリーチェは兵士たちに斬殺されてしまう。彼女の血しぶきとともにこのストーリーは終幕を迎える。この救いようのないストーリーは最近のヌルいアダルトアニメのそれとは確かに一線を画するものがあると私は思う。
この作品は抜くためには全く使えないが、悲劇を見たいのならば、一見の価値がある。「抜ける度」は1である。
(りぷとー)


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