サマーウインド

 ストーリー・青年「陽(よう)」は、去年無くなった恋人を想い、海に来ていた。そこで不思議な少女「美奈」と出会う。やがて肌を重ねあう程に急速に二人の仲は近づいて行く。この海を去る日の前夜、美奈と離れたくない陽は、一緒に来て欲しいと頼むが断られてしまう。彼女には、一緒に行けない重大な秘密があった。




・新くりいむレモン第六回作品。「サマーウインド 〜少女たちが運んだ夏〜」と、記されることが多いのだが、タイトル画面や当事のVTケースにはサブタイトルはないので「サマーウインド」とだけ記するものと。発売当時は見ておらず、その2〜3年後に一度借りて見たっきりと記憶している。それすらもやや曖昧、それほど当時は印象の薄い作品だった。前作の「ゆめいろBunny」についで男主人公なので、それが最優先で敬遠した理由かもしれないが、やはり絵柄だろうな。あれは…ダメだ。くりいむレモンとかぢゃなくって、エロアニメらしくないデザインぢゃ…いやいや、一般アニメだとしても、どうかね?それなのに、なぜか発売されていた小説版だけは持っていて、何度か繰り返し読んでたのさ。なぜだろう?せっかくの本命たるアニメも、この本の記憶をなぞって見てただけなので初見時は、なんか演出面で物足りなさを感じた…不思議なもんだね、本来はアニメ…それだけを見たいのだが当時の個人的な都合から、小説版のほうが身近で手軽だったんだ。レンタル代よりも若干高い…いやいや、店によってはまだレンタル代の方が少し高い、それを買って読むほうが。そしてそちらに書いてあることが、アニメの25分作品の中で全て表現してくれていて、さらに輪をかけ良いものだと思ってたのが、いろいろと感じた物足りなさの原因だ。まぁ時間を10分位足して、その小説版にある表現可能な全ても描けば、とってもいい感じな作品になると思うが、そのとき、肝心のエロシーンがくすんでしまうのだろうか、それとも際立つのか。

 フィルムコミックスも持ってたんだ。何故にこの作品のそれを求めていたのかは今では。しかし、この「新くりいむレモン」シリーズのフィルムコミックスは、脚本が載っているため、それと資料を求めていたのかもしれないな。

 ビデオCD版を買って見たのは97年頃だな、オレの計算が合っていれば。まぁ、そちらでもなんとなくだが見てたんだ。買ったからにはどれも一度は見てたんで。んで、後半のえっちシーン…何故か妙にオレ好みの良い感じになってきて「うゎぁ、なんかきれい…」って、つい、おどろいたと言うか、感動したというか…そりゃ、そのとき見たテレビはそれなりに大きかった…から、その大きさによる迫力のためか?けどなんで、その時になって?何故に初めに気付かなかった?ホワイトシャドウのときみたく一発で印象付かなかった?小説版のファーストイメージ、大きすぎたのかな?それを忘れたから気付けたのか?今となってはなんともね。でもモザイクのぶ厚いビデオCD版でも、良さに気づけたんだな。良いもんは、良いもんだよ。

 ならばDVDは?ある事情から買わなかった。買う前から文字通り判りきってたこと、当時は価値を見出せなかった。無論、今でもってことになるだろうが、あれば…値段次第で買うかな?


・今見れば、イメージイラスト群も、なんか良い感じだね。そのまま一般のOVAの物として使える感じのするのがたくさん。それら、当時は良さが判らん頃には、どう思っていたか。やっぱゆるめな感じかな。好きになった今でもやっぱし弱い。絵柄、やっぱまずい。


・今さら気づいたことなんだが、陽の部屋のカレンダー、それが初めに映ったカットでは、「8月」と書かれていたが、アップになったカットでは、6月だった。ミスだよね…だからさぁ、発売から20年以上経ってから、ナニを言っとるんだね?オレは。当時、何人の人が気づいていたのか、気になるな。


・ウリのキャッチコピーが「刺激的City派ラブ・ストーリー」なんだけど、City派ってナニ?わかんないんッスけど。とある砂浜、その側にあるモーテルの二ヶ所が舞台なのに…あっ、そうそう、モーテルって、モーターホテルの略で、自動車やバイクでの旅行者向けにガレージを設置してるホテルをそう呼ぶんだってね、初めて知ったよ。気にしなきゃ永遠に判らなかったね。…本題にもどるとして、そうそう、Cityもへったくれも無いでしょ。んで、結局は「City派」って、何を示してる訳?絵柄?感性?まぁ、当時から流行には疎いんで、そこいらは判らんわけだけど、なんとなくだが、「わたせ せいぞう」の「ハートカクテル」での線や色使いに似てなくもないし、たまたま残ってたあの頃のカセットテープのラベルに使われてたようなそれにも似てなくも無い。結局…「City派」って…何?


・気になった点を挙げれば、陽のエロテクだろうな。前半でも後半でも、ここを触るときはこのように、あちらはこのように…と、今回の資料本として使った紹介本に書いてあるように、確かにどっかに書かれてたベッドイン入門とかみたいな愛撫の仕方の方法を意図的に使ってるって見えたのがいくらか目立ったね。まぁ、前半ではそれが特に目立ってやり手のプレイボーイ的な表現に。後半でもそれっぽさのあるカットがあったが、あれはストーリーの流れを考慮すると「感じさせてあげる」よりも「君と居たい、離れたくない」を、えっちで表現するべきぢゃなかったかな?美奈と離れたくない、夢中になってしまっている、それを表現仕切れていれば、エンディングにつながる上で、どれほどの名シーン…まぁ、このままでも一応は十分にいい感じなんだけど…に、なりきれたかと思うと残念でならん。


・前半のえっちでは、明るい部屋の中だった所為か、デザインによる色合いやら、余計な室内の装飾だのがあってか、肌の色があまり映えてるようにはない。後半では幾分、肌が月夜に浮かぶ表現になってたためか、映える感じがした。その「印象付け」も、良い雰囲気を感じるのに、絡んだものと思われる。月夜に二人きりとか、夏の夜に静かな砂浜とか…実はエロを盛り上げる鉄則だったりして。


・そーいやラストシーンでラジオから流れてると思われる「梅雨明けが発表されました。」は、どういう意味だったのだろう?単にそういうニュースが流れてただけなのか、それとも梅雨明けにかけてなんか意味があったのだろうか?陽の心境とかを、ニュースの形で入れたのなら、それはそれで良い。でも、単にニュースを入れてたとすればヘンだな、陽が訪れていたのは確か九州地方のはず。だったら、何でわざわざ関東周囲が梅雨明けに…ってのを、それに選んだのか?そう言や陽は美奈に「どこから来たの?」と聞かれたとき、「東の都」と言ってたので、まぁ、普通は東京当たりになるよね。たぶんそれだと思うが、まさか大阪や兵庫…そこよりも東と言うなら、広島でも、遠く離れて北海道でも、良い訳だけど。んで、どーゆー意味だったんだろ?


・結局、オレにとっての物足りなさの原因は、半端な陽側の話だけで、美奈側の話が無かったためか。小説版だと、両方の話が…そして、美奈側の話としてだけなら、さらに違ったものになっていただろうにな。陽のセリフの中で、内容的に小説版の美奈側の話の内訳まで解って言ってるような言い回しもあったためか、「そこの言い回しは、アニメに無かったのに?」と、後々疑問を感じる部分もあった。どちらかに確実に絞ったつくりにすれば、それできれいにまとまったのかもしれないな。美奈側の話だけで作っていれば、絵柄はともかく当時、何とかして見ただろう。陽側の話だけとしても、前カノとのえっちでも…そうなんだけど、サブタイトルに「少女たちが運んだ夏」とするのなら、前カノの印象が薄すぎたからな、そこを推して行くべきだったんだろう。


・抜ける度は3。おまけだけど。このしっかりとした作りは良いもんだ。同じキャラでのえっちシーンが続くってのは、くりいむぢゃ珍しいんだな。今見ても、やはり後半のシーンの方がそそる。雰囲気が良いんだよ…これが。やはりヒロインの存在感がかなり大きく…ってのか?前半のは陽が一人でがんばってる感があったが、後半では二人で…感があり、それもよい感じに見えた。


・アニメとしてのお勧め度は3。絵柄の都合から、イマイチ手が出にくくなるのは仕方のないのでは?よって、いくらかやる気を振るい立たさないと、手が伸びない…?

 入手に関して言えば、VTレンタルがあればもちろんそちらを。DVDでは「ゆめいろBunny」とのカップリングの単品の奴を。ですがこの一本、明らかに見た目から「はずれ」になる可能性は高い。DVDの分厚いモザイクでも、その絵柄の所為か案外影響が薄く感じられるので「先ずはVTを見てから…」とまでムリに切り込む必要は無いと。VTやらLDは、もしこの作品が気に入ったときに、改めて購入などを、考えても遅くはないでしょう。
(輝川流一)


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