清純看護学院(全三巻)

 ストーリー・青葉台総合病院付属の看護学校で実習にいそしむナースの卵、朝倉祐未ちゃん。天然で要領の悪い彼女だけど、持ち前の素直さとガッツを武器に、襲い来る試練を次々とクリアしていくのだッ!負けるな祐未ちゃん!立派なナースになれるその日まで!




 ・ディスカバリーレーベルはたまにこういう傑作をものしてくれるから好きなんだ!と快哉を叫びたくなっちゃう作品。すごく面白いです。
 元々はANIMというメーカーさんから発売されていたPCゲームが原作だそうで、その時は「陵辱看護学院」というタイトルだったらしいですが、アニメ化に際して「清純・・・」と変更されました。倫理コード上の問題とか色々あったのかもしれませんが、細かな経緯は分かりません。
 ジャンルとしてはフツーのナースもので、ストーリーは新人ナースが患者にハメられちゃったり院長にハメられちゃったり同僚看護婦に百合開発されちゃったりという、ありきたりの事件の羅列に過ぎません。
 しかし本作が非凡なのは、そうした「エロとしてのナースもの」、もっと言えばポルノというエンターテイメント自体を嗤うというドラマツルギーによって、全体が強く貫かれていることです(原作からしてそうなのかは知りませんが)。
 つまり我々がポルノを消費してして常に意識させられる不合理・・・どうしてヒロインはまるで白痴のように振る舞うのか、どうして登場人物全員がセックスのことしか考えずに日々を送っているのか、どうしてそういう者どもがそこら中で終日やりまくっていても社会は何ら支障なく運営されているのか・・・云々ということを、バカですねェ〜、エロっていっつもこんなアホらしいノリですよね〜と視聴者にアピールしながら見せているわけです。
 言い換えれば作品としてノリツッコミをやっているようなものでありますが、しかし同様にエロというものを外から見て作っている「臭作」のようなイヤミさは本作にはありません。「アホらしいけど、でもエロってやっぱ楽しいですよね?」というフォローがキチンと為されているからで、それは端的にはエロシーンに愛があることで分かります。単にエロを嗤うだけならば、エロシーンもぞんざいに作り飛ばせば済むことですから。
 本作のエロシーンは非常に多く、それぞれに濃厚で、かつまたアングルをはじめ丁寧な作り方が際立っています。エロを嗤いつつ、しかし抜くためにもちゃ〜んと使えるのです。素晴らしい!
 特に2巻目の百合開発シーンはノリが良く、女の子達が次第に感極まっていく描写が興奮必至。とてもイヤらしくてグッドです。
 また各キャラの立たせ方も巧みで、特にヒロインである祐未ちゃんの可愛らしさは出色。まあ言っちゃえば大バカなんですが、その純真さに触れて周囲の人々が次第に邪さを洗い流されていくというドラマを上手く支えています。エロ版「巨人の星」という評価もあったようですが、オイラ的には「ポリアンナ」の方が近いように思いました。
 「抜ける度」は3。絵柄的には多少好みが分かれるかもしれませんが、しかし見てみてまず損のない良作と言えるでしょう。
 ちなみにラストに付いているオマケのスゴロクシーンは何だか切ない味で、不覚にも感動してしまいました。最後まで丁寧に作品を包装しようとするスタッフの誠意は実に尊いと思います。
(彩雲11型)


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