新体操(仮) (全4巻)
ストーリー・体育教師の肉助は冴えない風貌で生徒達から馬鹿にされている。そんな彼に、理事長の娘であるトモミはコッソリあることを命ずる。それは「闇の新体操部」という怪しげな計画を実行に移すことだった・・・
・この作品は一般的に世間で評判が良い。絵柄が現代的な萌え系だからだろうか、あるいは動画の動きが比較的良いからだろうか。しかしながら、私はこの作品が良作であるとはとても思えなかった。ストーリー展開はエロシーンを除いて、ほとんどおちゃらけムードで進んでいく。キャラクターはしばしば馬鹿顔を見せる。最近の流行なのか、驚いた時の枠線の太い白丸の目は一体何なのだろうか。私はこういうふざけた表情を好まない。対照的に、エロシーンにおいては強姦が大半を占める。この中途半端さはいただけない。ギャグものならばギャグもの、鬼畜ものならば鬼畜ものに統一するべきである。ピンクパイナップルの作品には純粋な鬼畜ものはほとんど存在しない。鬼畜を貫く勇気がなく、自主規制をしてしまうのだろう。よって、おちゃらけがシリアスなシーンに突然挿入されて、お茶を濁されてしまうのだ。 肝心のエロシーンの出来はさほど良くはない。身の毛のよだつようなハードSMが展開されるのだが、それを上手く表現できていない。とりわけ、おおざっぱな顔の表情には違和感を覚える。紅潮した顔、涙及びよだれを大げさに表現することにのみ終始して、細かい表情の変化はほとんど割愛されている。だから、調教される女たちが感じているのかそれとも痛がっているのかさっぱり分からず、彼女たちの表情からはエロさが伝わってこない。アングルに関しても決して良いとは言えず、せっかくの束縛シチュエーションがだいなしである。 キャラクターに関しては、ここでは肉助とトモミについてのみ言及しておく。肉助は不細工、デブ、中年と三拍子揃ったキャラクターである。色男が多い、エロアニメ界においてこういう存在は貴重であり、その点は評価できる。しかし、鬼畜系キャラの割には残虐性が足りない。もちろん、強姦時においては、彼は鬼畜系キャラとしてそれなりの態度を示す。それにも関わらず、彼がおちゃらけキャラに見えてしまうのは、やはりこの作品がエロシーン以外ギャグアニメだからであろう。ラストシーンにおける彼のヘタレ具合には哀愁さえ漂う。彼は調教していた女たちの逆襲にあい、立場が逆転して性奴隷にされてしまう。この展開にはデジャビュを感じた。そう、同じくピンクパイナップル作品、愛姉妹と良く似た結末なのである。ピンクパイナップルはどうやら女が男を蹂躙するラストがお好みのようだ。 トモミはお金持ちのお嬢様である。お嬢様系の性格は一般的に高慢ちきか世間知らずのいずれかであることが多い。彼女は断然前者である。ただし、お嬢様のくせに言葉使いがかなり汚く、著しく品位を欠いている。彼女は最終的に肉助に犯される。そして脱糞までさせられてしまう。ピンクパイナップル作品にしては珍しく糞をちゃんと描写しているが、ディスカバリーの夜勤病棟のクオリティーを期待してはならない。糞がちゃんと茶色に描かれていることだけは評価されるべきかもしれない。肉助に犯された後の彼女は、プライドが高かっただけに自我崩壊でもするかと思いきや、一夜明けた後、「ふっかーつ!」と叫んで、ステーキをバクバク食べ出す。肉助の彼女に対する酷い仕打ちがまるで嘘であったかのような描写である。いくら雰囲気を和らげるためとはいえ、この展開はいささか強引すぎやしまいか。 この作品の続編である新体操(真)はなぜかピンクパイナップルではなく、ディスカバリーから発売されている。あの会社はなかなか革新的な作品を作ってくれる。最近はずいぶんと保守的になって以前のような勢いが感じられないものの、ピンクパイナップルよりは期待できそうだ。ちなみに、この作品の抜ける度は2にしておく。(りぷとー)
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