失楽園(全2巻)

 ストーリー・エリカとアキノは陸上部に所属する友達同士だ。ある真夏の日、彼女らが校舎の屋上で涼んでいると、突然空が強烈な光に覆われる。そして・・・・




・2008年にバニラレーベルから2巻構成で頒布された作品です。
 どうやら原作マンガやゲームなどの存在しないオリジナル企画のようで、監督の
三村惣月氏が脚本から作画までを全て務める、個人作品的な色合いが強くなっています。
 ためか「作家性」のようなモノが強く出ており、
三村氏が言いたいことを存分に語っているような印象も受けます。なのでその「語り」にノレるかノレないかで、見る人の評価はまず二分されるかもしれません。
 オイラ的には、ストーリーはなかなか楽しめました。
 平和な生活を送っていたヒロインらが、天空を覆う閃光を目撃した直後、何処か分からない収容施設に閉じ込められ、散々に陵辱されるという導入部はミステリアスでワクワクしますし、世界に何が起こったのかが次第に明かされる後半部分も、叙情があって悪くないです。
 ネタバレになるので詳しくは書けませんが、本作は一見現実世界を描いているように見せながら、実は天国(あるいは地獄)へ至る途中の「踊り場」のような異世界のオハナシであり、ヒロインらが自らの生を見つめ直すという構造になっています。
 そこには当然、後悔や憎悪の念もあるわけですが、しかし逆に、充実感や他者への感謝の念もある。その描かれ方がなかなか切なくて、オイラはホロリとさせられてしまいました。
 かよう、ストーリー部分がまずまずなだけに、エロ部分は何だかジャマな印象です。
 エロアニメなんだからエロがあるのは当然ですが、女体をモノとしてなぶり尽くす、非常に陰惨な描写が多く、そういうのが苦手なオイラはイヤーな気分になってしまいました。
 もちろんそれは、そういうエロを見せようという確信犯的な演出であり、ストーリー上も必要ではあるのですが、エロいと言うよりもムゴイという絵面ばかりが続くので、見る人を選ぶ作品ではあると思います。
 「抜ける度」は1.5。
 エロとしてはともかく、こうした味わいのあるオリジナル企画を世に問おうというレーベルさんの気概を讃えたくなる力作です。
(彩雲11型)


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