独占(全二巻)

 ストーリー・高校生の響一は、下級生の美少女・つむぎと付き合うことになった。響一の幼馴染みである雪乃は激しく動揺するが、彼への想いを押し殺して応援する風を装う。しかし思いがけないトラブルが彼らを待ち受けていた!




 ・バニラレーベルから2002年度に頒布された作品で、PCゲームが原作となっているようです。
 本作を特徴づけているのは、何と言ってもその文芸がシッカリしていること。
 一般にバニラ作品には、陳腐なりに真面目にストーリーを構成し、かつキチンと完結させるという美点がありますが、本作も脚本、演出ともカッチリしていて好印象。
 ヒロイン2人のインタビューシーンによって導入部とラストを締めるなど、ちょっと社会派風の凝った構成であり、そのまま実写ポルノとして劇場にかけてもおかしくない気がします。
 いい加減に書き殴ったような脚本も多いエロアニメ界にあって、こうした制作者の真剣さが伝わってくるようなお仕事には賛辞を送りたいです。
 一方で難点は、「抜く」ためのエロとしてはほぼ使えないことです。その理由は2つ。
 一つ目は、キャラのビジュアルが独特で、みな首が太くて寸胴という、全く可愛くない絵であること。
 この作品の暗いドラマにはそれが合っているという見方も出来ますが、やはりエロ「アニメ」なんですから、「可愛いな、この娘とエッチしてみたいな」と視聴者にアピールするような絵でないのは難かもしれません。
 二つ目は、とにかく陰惨なドラマ内容であるため、エロい気分になる前に、イヤ〜な鬱状態にされてしまうこと。
 特にエロシーンではそれが顕著で、女の子を顔が腫れるまでボコボコに殴り、蹴りつけ、血まみれにしてレイプしたりする。それでは余程バイオレンスの好きな視聴者以外は引いてしまうでしょう。オイラも思わず目を背けてしまいました。
 かよう、エロアニメとしては困る部分も多い本作ですが、こういう文芸先行の異色作というのもたまにあって良いと思います。何かしんみりとさせられるラストもイイ感じでした。
 「抜ける度」は1.5ですが、本作にそうした評価は無意味かもしれません。
(彩雲11型)


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