妻みぐい(全2巻)

 ストーリー・マンションの管理人をしている悟は、住人の1人である千穂のことが気になって仕方ない。千穂はごく若くして夫を亡くした美しい未亡人なのだ。千穂の方も悟を意識しているようなのだが、悟は自信が持てないのであった。そんな折、新たな住人として、豊満な肉体と美貌を持った人妻、香苗が入居してきた・・・・




 ・アリスソフトというメーカーさんのエロゲーが原作だそうで、このアニメ版はピンパイが販元になってます。制作はその後独立した「ひまじん」さん。
 内容的にはエロ付き「めぞん一刻」という感じで、未亡人×ダメ男&個性的な住人が、マンションを舞台にドタバタ劇を繰り広げるというコンセプトです。
 上手く作れば面白そうな内容なんですが、如何せんこのアニメ版について言えば、ノリの悪い、退屈な印象です。何と言いますか、アニメとして中途半端な感じがします。
 どう中途半端かと言いますと、コメディを作ろうとしてコメディになっておらず、しかしエロとしても弱いという感じなのです。
 本作をコメディとして作る場合、主人公と人妻2人との交流が眼目とならなければいけません。千穂が好きなのに香苗が気になり、互いの間でフラフラしたり、誤解をされたり、キスしてるところを見られてヤキモチを焼かれたりというシチュを散りばめ、視聴者をヤキモキさせないとラブコメではないでしょう。「ああ、何やってんだよバカだなあ!」と視聴者をドラマに引き込まないとイケナイわけです。
 しかし本作では尺の制限もあってそういう展開はほとんどなく、すぐに人妻2人と本番が出来てしまいます。これではつまりません。
 またエロと割り切ってコメディ要素を排し、とにかくハメまくるという作り方もあると思いますが、本作の場合はそうもなっていません。エロシーンはそこそこありますがどれも散漫で、うわぁエッチだなあという気分にはなりにくいです。つまりコメディにもハードエロスにもなっていないということになり、そこがいかにも中途半端です。
 コメディにするのであれば、もっと尺を使い、せめて4巻構成くらいでじっくりと登場人物の心理を描くべきでしょう。またエロに徹するなら、キャラを整理し、もっと迫力のあるエロシーンをどんどん叩き付けて視聴者を圧倒するべきでしょう。その思い切りの無さが残念です。
 また千穂さんはじめキャラのイメージはとても可愛いですが、作画があまり良くなく、キャラが生かし切れていないのも気になりました。スタッフロールを見ると作画は国外スタッフ担当らしく、それがネックとなっているのかもしれません。いずれにせよ、良い素材を上手く料理できなかった凡作という印象なのが勿体ないです。
 抜ける度は2としておきます。
(彩雲11型)


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