夜勤病棟参 Experiment.2

 ストーリー・美しき院長・御影麗佳から新薬の被験者になって欲しいと依頼された男・空(そら)は、それを承諾し、特別病棟に移ることになる。担当ナースの八神優が、本館の仕事のため、暫くの間、空のもとから離れる事を麗佳から聞かされた空は少しうかない様子である。被験者になったからと言って、特にすることも無く、院内をぶらついていた空は、ライブラリー内で熱心にパソコンのモニターを見入ってるナースの如月ひよりの姿を発見する。ひよりの方に近づき声をかける空だったが、なんとひよりはアダルト動画を見ていたのである。そしてひよりは空に対して「私の実験に付き合って欲しい」と言い出す。
特に断る理由も無かった空は、実験に付き合うことにするのだが……。




 ・私は夜勤病棟参 Experiment.1(以下、夜勤病棟参1)のレビューで以下のことを書いた。
「今回エロシーンこそお預けだったもののロリキャラ、如月 ひよりは、言葉遣いをはじめとして私にとってかなり壺にはまりそうだ。ただのウザキャラと化した児玉 ひかるとは雲泥の差で愛着をもてることが期待される。駄作Krankeシリーズに比べれば、夜勤病棟参は綺麗にまとまりそうだ。[ママ]」この文章を全撤回する。理由は後程述べるが、Krankeシリーズよりもましだなんてとんでもない思い違いであった。夜勤病棟参 Experiment.2(以下、夜勤病棟参2)を鑑賞した後、夜勤病棟参シリーズは、Krankeシリーズすら凌駕する駄作中の駄作であると思うようになった。復活後のディスカバリー(新体操(真) etude.1(2006年6月)発売以後)には本当にろくな作品がない。ディスカバリーはどうせ風前の灯であったのだから、パンチラティーチャー第2話(私はこのシリーズをなかなかの秀作とみなしている。)発売後、清く散るべきであったのだ。末期になってすいぶんと醜態を曝け出したものだ。
 夜勤病棟参シリーズは、作画レベルに関しては謙遜のない出来となっている。ただし、特に、夜勤病棟参2に関してはエロの内容が全く良くない。私は夜勤病棟参1のレビューでこうも書いた。「昨今のアダルトアニメには、個人的にあまり食しがそそらないと。その理由は、近年のバニラ作品の傾向である程度説明可能なように思われる。バニラ作品は発足当時からそのクオリティーの低さから、バニラクオリティー等、様々な表現でののしられてきたが、近年色々な意味でそれにさらに磨きがかかっているように思われる。これについての詳細は、バニラ作品のレビューでいつか言及したいと思う。[ママ]」昨今のアダルトアニメの傾向を嫌う理由、そしてバニラ作品を罵る理由をまさか夜勤病棟参シリーズのレビューで説明することになろうとは私は夢にも思わなかった。私が最も毛嫌いするエロ描写、それは逆SMである。近年のバニラ作品のほとんどは何らかの形で必ずと言ってよいほど逆SM要素を含んでいる。例えば、縄で束縛されて、女キャラに足コキされて感じているマゾ男を見かける(処女オークション 出品編(2005)、痴漢物語後編(2006)参照)。私はこれらのシーンを見て、身の毛のよだつ思いに駆られた。私は夜勤病棟参1のレビューでSM物を好むと書いた。ただし、ここで追加説明させてもらうが、私が好むSM描写において、M役は女限定である(S役はできれば男のほうがよいが、女でも別に構わないと思う。)。私がアダルトアニメを見る上で最も重要視しているのは、言わずもがな女体のエロさである。私がSM描写を好むのは、M役の女の苦悶と恍惚の表情や縄等で拘束された屈辱的な格好が女体のエロさを向上させると信じているからである。つまるところ、私はSM描写を女体のエロさを向上させる効果的な一つの手段とみなしているわけである。SMにおける私の考え方では、M役が主役であり、S役はあくまでM役のエロさを引き出すコーディネーターである。逆SMでは、男キャラがM役 = 主役となり、彼は全裸にて縄で縛られたり、時にはアナルプレイを強いられたりするときもある。こんなものを見て興奮できる男は、ゲイしかいないというのは言いすぎだろうか。
 アダルトアニメと全く無関係で恐縮だが、SMの話に関連して、自分の趣味のウェイト・トレーニングについて少々語らせてもらう。実は、筋肉は驚くほどのマゾである。筋肉はウェイト(バーベルやダンベル等)を用いた高負荷な運動で痛めつけない限りほとんど発達しない。この場合、脳がコーディネーター = S役となり、種目、レップ数、負荷強度を決め、筋肉 = M役を痛めつける。脳と筋肉は見事なSM関係にあるといえるのではないだろうか。ちなみに、筋肉はすごく嫉妬深い。ちょっと相手にしないと、要するに、鍛えていないと、その部位はすぐにか細くなってしまう。もう一つ、ウェイト・トレーニングでSMを連想させてしまうのは、腰ベルトやリストラップ、エルボーラップの類である。これらはトレーニング時、腰や特定の間接部位をぎゅっと圧迫させる道具であり、高負荷のウェイトを扱う場合には、ほぼ必須である。もちろん、これらを用いる理由は、性的快感を得るためでは決してないわけであるが(笑)真面目に語ると、これらの役割は、腰ベルトの場合、腹圧を高めて腰痛を阻止することにあるし、各種ラップに関しては、運動時における間接の動きを制限させて、間接のひねりやねじれを防ぐことにある。
 さて、話を夜勤病棟参2に移す。製作者は夜勤病棟参2のエロシーンの大半を逆SMに割いており、計2つの逆SMシーンが用意されている。言うまでもなく、主人公、空がM役であり、今回のヒロイン、ひよりがS役である。前半の逆SMでは、空はひよりに手錠と足錠をかけられ、鞭打たれる。そして足コキと続き、フィニッシュでは、なんとうなぎをけつの穴にぶち込まれる(このシーンはさすがにカットされている。)。後半では、またしても、空は手錠と足錠をかけられて束縛され、そして電気プレーに移行する。フィニッシュでは、ひよりが空の顔面に放尿して、お互い絶頂に達する。今思い出すだけでも吐き気がするプレーの応酬である。空はなんとも情けない男で、ひよりにかかる屈辱を受けても、「気持ち良かったからまあいいや。」とほざいているだけである。夜勤病棟Karte.2の比良坂竜二のように、一度女に虚仮にされたら、必要以上に執着し、虚仮にした女を陥れずにはいられない、SMアニメの男主人公とはまさしくこのような性格が理想的だと私は思う。
 脱糞描写は、夜勤病棟参2に存在する。なんと空がひよりに浣腸され・・・というのは冗談で、七瀬恋の脱糞シーンが見られる。どうして夜勤病棟参と無関係な無印夜勤病棟のキャラが出てくるのかというと、ひよりがSMの研究のために借りてきたエロビデオが無印夜勤病棟であったという設定だからである。ひよりが見ているビデオの中ではこんなシーンが展開される。竜二は自分の体の半分もあると思われる特大浣腸器を恋の肛門に挿入する。そして浣腸された恋は引っ切り無しに脱糞するのであった。この一連のシーンは全く評価に値しない。作画が適当なのは、もちろんのことだが、特大浣腸器や絶え間なく続く糞のジェット噴射等の非現実的な描写から喚起されたのは、製作者の脱糞描写に対する不真面目さと不誠実さである。ディスカバリーはどうやら無印夜勤病棟の過去の栄光を辱めずにはいられないらしい。懐古主義者である私としては、お願いだから過去の思い出は美しいままにしておいてくれと言いたいところだ。
 近年のアダルトアニメのトレンドは逆SMであり、夜勤病棟参2はそれに乗っかったというところか。こんな調子ではもうアダルトアニメに関しては、過去の数少ない名作をただひたすら懐かしむという日々が来るのもそう遠くはなさそうだ。抜ける度は、マイナスをつけたいところだが、ルール違反なので、1とさせてもらう。
(りぷとー)


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