夜勤病棟 Karte.5

 ストーリー・比良坂の看護婦、4人に対する調教は、彼自身が絶賛する程、円滑に進んでいた。そんなある日、医局長、神宮寺が意気揚々な彼を自分の部屋に呼び出した。彼らが対面したその瞬間、今まで驚くべきほど噛み合っていた歯車がとたんに狂い始めたことを比良坂当人は知るべくもなかった。




 ・Karte. 5の感想を一言で述べるとするならば、退屈という言葉が最も似つかわしいと私は思う。Karte.5は今までのシリーズの良い面をほとんど欠いているように思われる。Karte. 5では、シリーズの節目ということもあり、七瀬、新城、藤沢及び児玉と比良坂の犠牲になった看護婦が全員登場する。そして各々にエロシーンが用意されている。30分という短い時間に4人のエロシーンを詰め込むことには土台無理があり、それぞれのエロシーンの内容は薄く、盛り上がりに欠ける。すなわち、Karte. 5にはクライ
マックスがないとさえ言える。
物語は、比良坂と七瀬がレストランで食事をしているところから始まる。このシーンは非常に展開がゆっくりで、私が初めてこの作品を視聴した時、こんなにのんびりしていて、はたして上手く結末をまとめることができるのかと心配であったことを覚えている。比良坂と七瀬のこのほのぼの恋愛シーンはなんと10分弱も続く。その中で行われるエロ行為はなんとフェラと放尿だけだ。
初っ端から盛り下がった所で、次は便所での新城とのフェラシーンが始まる。もうフェラはいいと心の底からうんざりし、次の展開こそはと期待をしたものの、何の面白げもない、藤沢との和姦が始まった。私はこの手抜きシーンを見て、製作者は確実に藤沢を冷遇していることを確信した。彼女も一応主要登場人物のうちの一人だから出しとかなきゃなという製作者の冷淡な思惑がみてとれるシーンであった。
次に比良坂、新城及び児玉の3Pシーンが始まる。製作者はおそらくこのシーンをクライマックスに設定したのだろう。しかしながら、私はこのシーンに高評価を与えることはできない。このシーンの冒頭に、逆さづりにされた状態で浣腸液を流されていた児玉の脱糞描写がある。文字で表現すると非常にエロそうなシチュエーションだが、実のところ、単なる手抜き描写だ。Karte. 4の脱糞シーンの力の入れようがまるで嘘であったかのようだ。この後、3Pシーンに入るのだが、最初に比良坂が非常に興味深いことを口にした。「(児玉)ひかる、新城君の顔に糞をぶちまけてやりなさい!」私はこの言葉に胸が躍った。結局、脱糞直後で児玉の腸内がからっぽだったということで、これは実現しなかった。もし、このシーンが実現していれば、他のシーンの出来がどんなに悪かろうと、Karte. 5を神認定にしたのだが、非常に残念である。このシリーズ初の3Pシーンの出来に関しては、残念ながら閉口せざるをえない。
3Pシーンをアニメで表現するのは本当に難しいことであると実感した。なぜならば、3人に対して同時に激しい動きを与えなくてはならないからである。よくよく考えて見れば、満足の行く3P描写を達成したアニメを私は今までに見たことが無い。
3Pシーンの後に、この物語は締めに入る。医局長室で比良坂と神宮寺の会話が長々と続く。ここで展開は二転三転するが、書くと長くなるので、あえて言及しない。結果的に、精神の壊れた神宮寺が毒を飲まされた比良坂をメスでめった刺しにし始める。毒により彼の足どりはおぼつかないが、彼はなんとか病院の屋上まで逃げ出した。しかし、彼はとうとう彼女に追い詰められた。彼女はメスの一振りとともに、彼を屋上から突き落とした。これは後に分かることだが、彼女は彼を突き落とした後、自刎し、彼の後を追ったらしい。この展開はここまでは評価できる。神宮寺は以前比良坂の雌奴隷にされたことがあり、彼に殺意を抱くのは、ある意味当然である。比良坂にしても、女に対してあれだけ非道なことをやってきた男にふさわしい死に様だ。しかしながら、この物語にはまだ続きがある。比良坂は奇跡的に助かった。目の覚めた彼の前には、彼にもてあそばれた4人の看護婦たちがいた。その中の3人が病室から退出した後、部屋には比良坂と七瀬のみが残った。そして悲劇が起こった。七瀬が比良坂の首元を隠し持っていた刃物で掻き切ったのである。悪運が強い彼もついに事切れてしまった。私はこの展開に納
得がいかない。比良坂の奇跡的復活以後の描写ははっきり言って蛇足である。もしあの時比良坂が神宮寺とともに死んでいれば全てが丸く収まったはずである。病院側は言うだろう。「あの2人には過去にしがらみがあったらしい。今回の事件に関しては全てそのことが原因だ。我々には何の関係も無いことだ。」と。しかしながら、七瀬が彼を殺したらそうはいかない。比良坂はもはや単なる変体野郎ではない。聖ユリアンナ病院の暗部を知る最重要人物だ。悪は滅んだ、正義は必ず勝つではすまされない。身近な所で言うと、新城に関しては、芋づる式に彼女が犯した医療ミス、これは比良坂が脅しのネタに使っていた、がばれてしまうだろう。藤沢に関しては、藤沢製薬のスパイ疑惑、これは比良坂が勝手にでっち上げた、が発覚して、この事件に全く無関係な藤沢製薬にまで火の粉が降りかかるかもしれない。さらに大変なことに、神宮寺を中心とした雌奴隷計画に関わった上層部は責任を取らされ、全て総入れ替えになるだろう。確か神宮寺は政治家とも接点があったはずだ。とんでもなく大きな事件に発展してしまう可能性が出てくる。当然、上層部が入れ替わった所で病院の評判がすぐさま回復するわけがない。
この病院は客入りが悪くなり、つぶれてしまうかもしれない。そうなると、この病院に勤めている無実の医者や看護婦は路頭に迷うことになる。児玉あいは姉、ひかるの好でかろうじてこの病院に入院させてもらっている。彼女たちの両親はすでにこの世になく、もしこの病院がつぶれてしまったら一体彼女たちはどうなってしまうのだろうか?以上のことを考えると、七瀬は社会秩序を乱す相当の極悪人である。私が彼女を好かない理由の一つにこれがある。これは彼女の責任ではない。このような展開にした製作者が悪いのである。そもそも、七瀬が比良坂を殺す以前に、瀕死の彼を聖ユリアンナ病院の医者が助けるわけがないのだ。手術の前に上層部からこういう指令が下るだろう。「奴は色々なことを知りすぎた。どうせ奴はほかって置いても死ぬんだ。手遅れに見せかけて、殺してしまえ。」と。ストーリーの破綻を顧みず、あくまで七瀬を殺人者にすることを欲する製作者の意図が理解できなかった。抜ける度は2である。
(りぷとー)


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