夜勤病棟 Karte. 6
ストーリー・比良坂を殺した七瀬は警察に捕まった。そして彼女は刑事の取り調べを受けていた。黙秘を通していた彼女であったが、刑事の執拗な質問攻めに屈し、とうとう根掘り葉掘り比良坂との因果関係を語り始めた。比良坂のおぞましい人体実験の数々が明らかにされる瞬間であった。
・夜勤病棟シリーズ、第2部の初巻。公的に第2部という言い方はされていないことに注意してもらいたい。Karte. 5以前を第1部とすると、Karte. 6以降を第2部と便宜的に表現できるので、私は勝手にその用語を使わせてもらった。 私が初めてこの作品を見た時、私はこういうアダルトアニメを心の底から望んでいたのだと感慨にふけったことを覚えている。これぞまさしくアダルトアニメの王と言えるだろう。30分の物語は、おおまかに3つのパートに分かれている。そしてこれらのパート全てをクライマックスと呼んでも、全く差支えが無い。それぞれのパートに1回ずつかなり力の入った脱糞描写がある。第1部では脱糞描写が基本的に1作につき1回のみで、しかも手抜き描写が多かったことを考慮に入れると、いかに製作者が今回のテーマを 脱糞にしぼりこんだかが分かるだろう。これでは確かに見る人を選んでしまうが、アダルトアニメにおける通念的な表現形式を見事に打ち破った勇敢さと脱糞描写を巧みに表現できる実力を私は惜しげもなく称えよう。 鬼畜王、比良坂はここへ来て、さらに非道さにみがきをかけたように思われる。彼は手加減もせず、七瀬の腹部を蹴り上げる。そして種々の器具を用いて、彼女の体をもてあそぶ。画力及び声優の演技力が彼の残虐性を増長させているのだろう。彼はエロ行為においてただセックスをするだけではなく、たくさんの道具を使うのが特徴的だ。これは残虐性を際立たせるのみならず、エロさも増大する、まさに一石二鳥のやり方である。 Karte. 6のメインキャラクターは、第2部初巻とあって、もちろんヒロインの七瀬である。私は彼女を好かないと以前のレビューで述べたことがあるが、この巻の彼女に関してのみは、非常に好印象を持っている。ここでは、比良坂に反抗する彼女が見られる。初めて彼に犯されたKarte. 1以上に、彼女は彼に反抗的な態度を示す。私の七瀬に対する今までの印象は、比良坂に何をされても嫌がるそぶりを全く見せず、常にエクスタシーを感じている変体痴女であった。これではまさしく感情の起伏のない、比良坂 の言うところの肉人形そのものである。従順な淫乱女が性欲にまかせて、ただただ男の体を欲するシチュエーションばかり見せられても、視聴者は間違いなく飽きる。反抗的な態度あるいは恐怖に対する怯えを上手にちりばめることができるアニメこそ優れた鬼畜系アニメと呼ぶべきである。Karte. 6の七瀬は今までになく色々な表情を見せてくれる。特に、2つ目のパートにおける大量の浣腸液を腸内に流された彼女の苦悶の表情は悲愴感が漂い、必見である。その後の脱糞描写は実に細かいところまでいきわたっている。彼女はジェット噴射のように糞をぶちまけ、しゃがみこんだ。そして放尿した。この一連の描写は非常にリアルだ。尿意と便意、両方とももよおし、我慢の限界に達している時、どちらが優先されるか、間違いなく便意であろう。糞をしている時、自ら小便がでてしまうのも人間の排泄の原理に適っている。こういった気の利いた描写が、手抜きかそうでないかの境界に大きな影響を与えることは言うまでもないだろう。 どんな偉大な王であっても、全知全能の神にはなれない。この作品にも実は欠点がある。最後のパートで少し盛り下がってしまうのだ。これは前の2つのパートがすごすぎたということもあるので、贅沢な意見なのかもしれない。最後のパートでは、Karte.1と同様に拘束された大川、比良坂及び七瀬の3人が登場する。ここで、比良坂は興味深いことを言う。「お前(大川)は恋に愛してるって言われたいだけで、自分の愛する者の糞さえ食えない単なるヘタレだ!」彼のセリフを間に受けるとするならば、アダルト アニメの主人公の大半はヘタレになると私は思う。当の彼も第2部後半ではかなりのヘタレになってしまうわけだが、ここではあえて言及しない。毎シリーズのうち彼のセリフの少なくとも1つは面白く、何かと考えさせられるとつくづく思う。そして彼は言葉の勢いにまかせて、大川を蹴り飛ばす。最初のパートの七瀬を蹴飛ばすシーンといい、彼は見かけによらずなかなかの武闘派である。大川はあの時拘束されていなかったはずである。彼はプロボクサーで、例え足に怪我をしていたと言えども、比良坂は彼の反撃を恐れなかったんだろうか。やはり彼は本当に武闘派なのかもしれない。その後の比良坂と七瀬のエロシーンは実は第1部の使い回しが目立つ。これが盛り下がる最も大きな原因の一つである。比良坂と七瀬の愛し合う様子を前面に出してしまったのも失敗だったと私は思う。製作者はこの偽善的な恋愛描写を以後ずっと引きずり、第2部後半をとんでもない方向に導き、夜勤病棟シリーズを迷走させてしまった。最後に、抜ける度は間違いなく5である。(りぷとー)
|