YU-NO(全4巻)

 ストーリー・高校生有馬たくやはユーノから謎の指輪を受け取り並列世界を移動する術を身につける。継母亜由美を案じて異世界へ旅立った彼はそこで所帯を持ち平穏に暮らすが、さらわれた娘を追って敵地へ乗り込む。そこで彼を待っていた鉄仮面は義理の兄。滅びゆく世界を救う巫女(たくやの娘)は父親を認知しないまま儀式の装置の光の中で叫んだ。「きちんと責任とってよね」そうだよ責任とってよ!




 ・剣野ゆきひろがエルフから放った伝説的ゲームのアニメ(黒歴史)です。
原作キャラ二人の役割を一人に任せ血縁関係を書き換え(要はリストラ)シーンをつぎはぎした傷だらけの作品で、意味深そうなフレーズの羅列が目眩を誘います。「運命は自分で決める」とか安易に連呼するのはおとぎ話とアイドルの歌だけで十分です。
ストーリーは自己完結しない・原作の要約でもない・面白くないと三拍子そろっています。夢に現れてユーノが「待ってる」「逢いたい」と呼びかけるのに、たくやは異世界に旅立つとき
「あなたの助けを待ってる人がいます」
「亜由美さんか」
と、継母の名を口にしていきます。そのせいかいざユーノに逢うと認知されないばかりか剣を向けられます。事実を説明しても「彼のことは思い出せない」ってお前、4巻やってきたことを全否定する気ですか?ちなみに夢の中の二人の会話
「君は誰?」
「それはパパが自分自身で見つけなきゃいけない答えだよ」
…普通に考えて娘ですね(パパだし)
さらに異世界に発つたくやに「また会えますよね、きっと」と別れを惜しみ見送った連中は全員異世界に来ます。こういう黒歴史も並列世界の一つという苦しい解釈もできますが、むしろスタッフが並列世界の概念を理解していないと考えるのが妥当です。絵里子の「歴史は不可逆ではない」というセリフは完全に剣乃にケンかを売っています。2巻スタッフロールは「原作 エルフ(剣乃ゆきひろ)」なのに3巻以降「原作 エルフ」のみになるのも、本人やファンから抗議があったせいかもしれません。
巻が進むにつれ脚本・作画とも乱れていきます。最終巻は何を勘違いしたか女性キャラが全員半裸で緊張感のカケラもありません。原作で異世界に来ないキャラの服のデザインとかそもそも服を描くことがめんどくさかったのかもしれませんね。
これだけ露出してエロくないのは逆にすごいです。2〜4巻で「抜ける度」1。2巻はまだ絵がきれいなだけマシですが、それでも食玩のお菓子程度の存在感です。露骨なエロがないからかユーノ役のこやまきみこだけSS版と同じ声でした。
結論、YU-NOファンの人は観ないほうがいいと思います。ファンじゃない人は別に観なくていいと思います。DVDにもなったのにあまり店で扱われていないのでそこは安心です。
(eternal白)


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