誘惑(全二巻)

 ストーリー・星峰女学院の臨時教師である綾部博之は、ある日教材倉庫でマスターベーションにふけっている琴原蛍を目撃してしまう。彼女は彼の視線に気付き、そして彼に自分とセックスをして欲しいと頼む。彼は自分の性欲に負け、彼女とセックスし始める。これが何者かの罠であるとも知らずに・・・




 
・このアニメは痴漢の要素があるので期待をしていた。しかし痴漢の要素は少なかったと言える。
 最初学校で女子が1人オナニーをしていた。主人公の教師はその女子をのぞいていた。そして2人はセックスをする。
 するとそのセックスを女教師にビデオ撮影されていた。女教師は主人公を脅迫していろんな女子をレイプさせていった。そして女教師は女子たちを男に売り渡していった。
 ある日主人公は主人公を好きな女子とデートをした。しかし女教師はその女子もレイプしろと命令した。
 主人公はその女子を痴漢して指で処女を奪った。そして悩んで歩いていると車にはねられてしまう。
 主人公は病院に入院した。そこに主人公が調教した女子たちが集まった。そして看護婦をレイプした。
 主人公は退院すると、主人公を好きだった女子に謝った。そして2人はセックスをした。
 しかし主人公は最初は良い心を持っていたが、最後は女教師の手下のようになっていた。そしてこれからもレイプをしていくと言う。そこで終わり。
 このアニメは痴漢の要素は少ししかなかったがかなり興奮できるものと言える。ストーリーがわかりにくいと思ったが良いアニメと言えるだろう。
 抜ける度を3くらいに感じた。
(みのり)


 ・この作品の主役は男教師である。女教師モノのアダルトアニメはしばしば見かけられるが、男教師モノは案外少ない。バニラ作品には男教師モノが比較的多く見られ、例えば、「懲らしめ」などが挙げられる。この作品のディベロッパーは夜勤病棟で一世を風靡したAT-2 PROJECTである。AT-2 PROJECTのアニメは、夜勤病棟以外は思いのほかに凡作が多いが、質が良いことで知られている。だから、この作品における女の子の表情や女体の色っぽい描き方は全アダルトアニメの中でもトップレベルである。しかし、ストーリーやエロのシチュエーションには不満が残る。
このアニメのストーリーはかなり端折られている。原作のエロゲーをプレーしなければ、とてもじゃないがストーリーを把握できない。これは1、2巻合わせて合計60分弱でストーリーをまとめなければならないために生じた弊害であり、ある意味アダルトアニメの宿命であろう。しばしば見かける、ストーリーのつじつまを合わせることに重きを置き、エロシーンをなおざりにするアダルトアニメよりは数段ましではある。そうは言っても、あまりにも省略しすぎている部分が目立つことも確かである。主人公、綾部博之は、危なげな組織と密接な関係をもつ女教師、恭本真咲に謀られて、彼女の片棒を担ぐことになる。なんとストーリー中で、この組織の説明はほとんど無い。真咲が博之に彼とセックスをしている女子生徒のビデオを撮影するように頼んでいることを考慮に入れると、その組織の正体はヤクザ絡みの援交ビデオ販売業者かもしれない。これはあくまでも推測である。ストーリーの終盤でも結局彼らは詳しく言及されず、私は肩すかしを食わせられた。
主人公、博之の心理状態の変化はあまりにも唐突で、違和感があった。これは端折られたからではなく、描き方が悪かったからかもしれない。彼は女の扱い方がうまい。ターゲットにされた女はすぐに彼の虜になってしまう。彼は非常にハンサムであり、きっと学生時代にはたくさんの女にもてていたのだろう。ここまでは理解できる。しかし、性的なテクニックにまで長けているとはどういうことか?彼のセックスキャリアはとても数日とは思えない。彼はたじろぐことなく、女をいかしてみせる。彼はセックス中困惑したり、冷や汗をかくそぶりを全く見せない。彼は組織に加わるまでは顔が人並以上にかっこいいだけの普通の男という設定じゃなかったのか?それとも隠し設定として彼には人には言えぬ淫らな過去があるのか?組織に加わる前と後での彼の豹変振りはかなり異様に見えた。こんな展開にするくらいなら、彼を最初から組織のメンバーにしておけば良かったのだ。こっちの方が、どれほど違和感が無かったことか。
彼の善意はすっかり彼の中から消えてしまったように見えた。ところが、ある日彼は突然自分の立場を憂慮し、まるで自殺でもするかのように道路に向かって歩き出し、車にはねられてしまう。そして入院中、彼は今までに付き合ってきた数人の女を呼び出して、乱交騒ぎを引き起こす。この流れは理解に苦しむ。なぜならば、意気消沈する彼と乱交を行う彼とを結びつける描写が全くないからである。だから、彼は二重人格者のように見えてしまう。そもそも、病院内での描写はなにもかもがおかしい。以下にその描写を簡潔に書き下す。彼は車にはねられた後、病院内で意識を取り戻した。そこには女医と一人の女子生徒がいた。後に、彼は、その女医が自分をひいたことを突き止める。彼が彼女を訴えようとした矢先、彼女の親友である看護婦は彼に口止め料を払うことを誓った。この一連の描写において、まず、彼は車にはねられて大怪我を負ったはずである。普通なら、彼は集中治療室に入れられ、面会謝絶になるにちがいない。それにも関わらず、彼は一般病室で目を覚ます。この理由として、彼の怪我が思いのほか軽かったということが考えられる。現に、彼はすぐに歩くことができるようになる。だから、こ
れに関しては百歩譲って良しとしよう。次に、女医に対する訴訟についてであるが、人身事故であるから、訴えるもなにも警察の方から勝手にこの事件に乗り出してくるだろう。しかし、この場面で警察は一人も出てこない。このアニメの世界での警察機構は一体どのようになっているのだろうか?最後に、いくら親友と言えども、自分の資産を犠牲にしてまで友を守る人間がいるのだろうか?彼女達はよほど固い友情で結ばれているのだろうが、彼女達の関係はストーリー中で親友であるということ以外描写されていないので、この展開には非常に違和感があった。アニメは、現実とは違うのが当然で、むしろその傾向が強い方が喜ばしいことが多い。ただし、リアリティーに関して押さえるべきところを押さえておかないと、とんでもなく滑稽に見えることがある。まさしく今述べたことがその場合である。
エロシーンに関しては、とりわけ1巻目において過激さが足りない。博之は必死になって女とのセックスシーンを撮影する。後で援交モノAVとして売り出すためであろうか。実写AVでは女優の人権やその他もろもろで過激な描写がほとんど無い。このアニメは過激さが無いという点でリアリティーがある。はっきりいってこれは必要の無いリアリティーである。ターゲットにされる女のほとんどは、博之が手をつける前から性的に堕落していたであろうと容易に想像がつくような淫らな者達ばかりである。淫らな女との普通のセックスシーン、このシチュエーションはエロさも悲愴感もなく、私をしらけさせることが多い。
2巻目の冒頭で、組織の正体を探ろうとした女子生徒、琴原蛍が真咲に見つかり、お仕置きを受ける。その時の蛍はブルマ姿のまま、縄で拘束される。これはすごくエロそうなシチュエーションに見える。しかし、実はたいしたことがない。なぜならば、これは夜の出来事で、画面が非常に暗くて見づらいからである。なぜ真咲はエロシーンが見やすくなるように明かりをつけなかったのだろうか?夜な夜な学校で背徳行為をしていることをだれかに気付かれることを彼女は恐れたのか?このリアリティーはエロさにとって無益である。真咲はどうどうと明かりをつけ、蛍を虐げれば良かったのである。
彼女はそれから組織の一員であると思われる理事長をこの部屋に呼び出す。彼の容姿は醜く、まるで妖怪である。私はアダルトアニメにしばしば登場する女みたいな容姿の女々しい男を嫌う。だから、私はこの手の醜い男を歓迎するが、妖怪の域に達してしまうと、さすがに絵にならないと思えてくる。加えて、彼は重大な欠点をもっている。こういった男はドスをきかせた声で女に対して言葉責めをするべきである。しかし、彼は「アヒャ、アヒャ、フフフー!」といったような奇声を発しながら、蛍とセックスをするだけである。要するに彼は知恵遅れなのである。言葉責めの無いレイプはエロくないということを私は実感した。セックスに満足した彼は最後に意味ありげなことを言った。「この娘を買おう。」と。この組織はひょとしたら援交ビデオ販売業者などという生易しいものではなく、人身売買の業者なのかもしれない。日本で人身売買を行うことは簡単ではあるまい。ましてや普通の女子生徒を売り買いするような大胆な行動を取る者はおそらくいないだろう。このアニメはリアルにすべきところをリアルにせず、リアルにしなくても良いところをリアルにする傾向があるように私は思えてならなかった。
2巻目の中盤の病院での乱交シーンは最も注目すべきところである。嫌がる看護婦を博之と女達が協力して陵辱するシーンはストーリー中で最も抜ける。全てのエロシーンがこのように過激であったならば、この作品は偉大なる傑作になっただろうに。
最後に、このストーリーのヒロイン、染井桜について述べる。彼女は無垢な性格で、純粋に博之を慕っている。私はこういう無邪気な女を好む。彼女は信頼していた博之に痴漢行為をされ、悲しみの涙を流す。こういったシーンは、エロさの度合いは別にして非常に胸に応えるものがある。最終的に、彼女は彼に心を許し、彼に自分の身を委ねる。その時の彼女の幸せそうな表情は最後に意味をもってくる。博之は彼女を騙していただけだった。彼にとって彼女は援交相手の一人にすぎなかったのである。この展開は非常にせつない。アダルトアニメにおける悲哀感は、エロいかどうかは別次元の問題であるが、どんな残虐描写よりもこのように心清らかな少女が悪意のある男に騙され、汚される時に感じられるものだ。
所々端折られ、矛盾の多いストーリー及びエロのシチュエーションの淡白ささえなければ、このアニメはAT-2 PROJECT作品の名誉ある傑作として歴史に名を残せたものを。抜ける度は3.5である。
(りぷとー)


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