eternal白氏・作

 eternal白さんのオリジナル(だろうなあ)エロ小説です。

 唐突に男所帯へと侵入してきた姪ッコを、酔わせて舐めてイイ気持ちにしちゃって自分もエ〜気持ちという、ラブコメ風の作品です。ルームメイト井上涼子をハメてしまうような小説と言えましょうか。全然違うでしょうか。


姪からの手紙だ。

『両親が新大陸発見の船旅に出てしまって、この隙にかねての希望であった東京暮らしをするためしばらく厄介になることをお許し下さい。近いうち挨拶に伺います。かなみ』

会社帰りに1階の郵便受けから取り出した封筒の中身だ。姉さん夫婦と娘のかなみは俺の故郷である島島(しましま)といういいかげんな島に住んでいる。

??

ドッキリ?

読み終える頃エレベーターが降りてきた。夜遅くなると防犯対策のため各階停止で運転しているのだ。エレベーターに乗ると、俺の頭の中で急速に計算が行われる。

―――俺という男が今、このマンションに1人で暮らしている。そこへ1人の女がやって来る。数式に置き換えれば1×1だ。1×1ということは、控え目に言っても答えは1だ!

…おいちょっと待て、なんか飛躍してるぞ。そんな事ある訳ないだろ。いくら月に3本のペースでギャルゲーを消化している俺でも現実と虚構の区別はついてるつもりだぜ。

4Fでエレベーターを降りる。ドアノブに手をかけた時、何か予感がした。いや、室内がいつもと違う気配がした。(ゲームで鍛えた)勘でわかるのだ。

恐る恐るドアを開ける。

……。

どうしたことだ、部屋が片付いている!

「…そうか!」

俺は重大なことに気がついた。犯人は…俺だ。今朝掃除したし。

どうも最近朝早く目覚めてしまう。あの件といい老化の始まりを感じずにいられない。それで今朝は若さをアピールするために柄にもなく掃除してしまったが、もし来客があるならこれも無駄にならない。

…1×1=1、か。1に1をかければ1つになる…。この算式の意味は、ことのほか深い。





翌朝、カラスの鳴き声で目が覚めた。カラスのさえずりも慣れればそう悪くない。いつものように寝ぼけたまま顔を洗い歯を磨く。居間に戻ると腰掛けて、テーブルの上にあった納豆をかき混ぜる。かなみが味噌汁を運んできた。

「はいどうぞ」

「おう、サンキュ」

俺は味噌汁をすすった。まずまずだな。磨けば光るものがあるぞ。リモコンを取り、かなみがテレビをつけた。キャスターが貼り出された各新聞を追いながらコメントしていく。俺はこの、テレビで新聞を読むという行為がわからない。たとえばテレビの野球中継で、野球中継をしているラジオがずっと映っていてもつまらないだろう?

「NHKにしないか?」

「うん?いいよ」

かなみはチャンネルを変えて食事を始めた。朝食はわかめの味噌汁とご飯と納豆と梅干しだ。和だ。

「あれ?なんでかなみは梅干し2個なんだ?」

俺は1個なのに。

「お肌にいいから」

「そうか、それじゃ仕方ないな」

「……」

……。

……って、

「お前いつからいたんだよ?!」

「お、さすがに東京人はツッコミが激しい」

「いや東京は関係ないよ。一体どういうことだよ!」

「んだから、手紙けえた通り、東京さ見に来たんだっちゃ」

「無理矢理訛るなよ!語尾は出典が違うぞ」

「まあまあ。早く食べないと会社に遅れるわ」

俺はハッとして時計を見た。7時4分。

「あ、慌てなくても大丈夫だ」

「そう、良かった」

俺は梅干しを口に運んだ。本当にコレ肌にいいのかな?

…じゃなくて、

「何落ち着いちゃってんの?!」

「ちょっと私低気圧だから」

「血圧だろ!お前は熱帯低気圧か?それでもって『かなみ旋風を巻き起こすのよ!キャハッ♪』とか言うつもりかよ!」

「おじさん、恥ずかしい上に意味わかんない」

「意味わかんないのはこっちだよ!学校はどうしたんだよ?!」

「友だちに出席シート書くの頼んであるから大丈夫」

「…そ、そうか。それなら大丈夫だ」

俺は仕方ないから会社へ行くことにした。





非常事態なので、金曜だったが酒の誘いは断ってまっすぐ帰った。

かなみはどこから見つけ出したのか、サターンでセングラをやっていた。

「おかえりー。ねえこれ島島も登場しないかなあ」

「あんなマイナーな島出ないよ。…あっ、何お前俺の名前でプレイしちゃってんの?!」

「本名プレイの方が感情移入度高まるじゃん」

「俺の本名だろ!俺の気持ちになってプレイしてくれなくていいよ!」

「てゆうかさあおじさん。ゲームばっかしてないで生身の女に触れた方がいいよ」

一緒に出てきたと思われるサターンソフトが机の上に積んであった。

状況から言ってその発言はかなり自殺行為なんじゃないかと思いながら俺はスーツをかけた。

んー。

俺とかなみの地理的距離を考えると、張り倒して捩じ伏せるまで6秒、その後ああやってそんな感じにして一発やるのに……いかんいかん、何シュミレーションしてるんだ。

…これが煩悩ってヤツか。

昨日は酔ってたせいかかけることばかり考えてた気がするが、仮にも姪である。血縁である。

あれ?でも従兄弟は確か結婚できるんだよな。従兄弟は4親等だから…そうそう、関係ないけど初めて聞いたとき親等と頭身がごちゃごちゃになってて「俺にとってじいちゃんは2頭身?」とかパニックに陥ったことがある。

…すまんホントに関係ないな。

「それで」俺はあぐらをかいてカッターシャツの襟を緩めた。「ここで暮らす気か?」

「よろしくお願いします」

かなみはセングラ中だ。一日中やっていたのだろうか。

「ところで晩飯は?」

「食べたいですね」

「俺もだ。今日はゆっくり料理する気分じゃないからラーメンで済ませよう」

「ピザなどが食べたいですね」

「いや、ラーメンで済ませよう」

ちゃっちゃっとインスタントラーメンを2人前こしらえた。腹が減っていたらしくかなみは一旦サターンから離れた。我が家の机は学習デスクとこたつのみなので、後者が食卓の役目をこなす。季節がら蒲団は外してあるが。

「親は上京のこと知らないんだろ?」俺たちはディナーを開始した。

「知らないけど…驚かないと思う。そそのかしたのは父さんだし」

「…!」

何考えてんだ義兄(にい)さん…親類んとこに挨拶なしで娘預けちゃうとかいう次元の問題じゃない。殆ど男と女の問題に昇華している。まあ確かに、俺とかなみの間には3親等という厚い壁が、いやそれ以前に俺が既に打ち止めという事実が横たわって…まさか義兄さん、それを知ってて?

…いや、そんな筈はない。何が災いしたか知らんが、年齢的には俺はまだまだ働き盛りだ。街角で「この人は不能だと思いますか」アンケートとかをやったら100人中95人はNoと答えるだろう。

という事は―――父親公認ラブ?

…いかん、ラーメンがのびる。

「驚かないと思う、けど父さんと母さんにはナイショね」

「家出かよ」

「ホームステイと言ってほしいわね」

「じゃあ俺ホストファミリー?」

「誰がホストよ。おじさん自意識過剰なんじゃない?」

…ダメだ、真面目に相手するのはよそう。しかしそそのかしたと言っても深い意味は無いのだろうが、一緒に暮らしていれば若さゆえの過ちの1つや2つある筈だ。俺の側に過てない事情があることはひとまず忘れる。

「それで、東京来てどっか行きたいとこでもあんの?」

「え?強いて言うなら…秋葉?」

「なんでだよ。浅草とか上野動物園とかあるだろ」

「観光じゃなくてホームステイに来たのよ。日常を生きる事に意義があるんじゃない。ネコよけのペットボトルつくるとか」

「もう誰もやってないと思うぞ。それに秋葉は東京人皆が日常的に利用する場所じゃない」

「おじさんは?」

「日常的だ」

……。

「暮らすったって、学校は島だし…することないだろ?」

「大学に行くわ」

「お前高校生じゃん!」

かなみは高2だったと思う。

「バレないバレない。でね、家事引き受けるから定期買って下さい」

「そんな真剣に通うの?!ま、でも家事というのは…」

悪くない相談だ。ホストファミリーも家事はやるしな。

「よし、乗った!」

「ごっつぁんです!」

かなみは俺より先に食べ終わった。だが―――

ごちそうになるのはこっちの方だよ、かなみ。





翌日、休日だというのに俺は早々に起きて小道具集めに街へ出た。電車に揺られながら、いかにしてかなみをやりくるめるか考えた。最もシンプルな方法として強行突破があるが、これは難しいかも知れない。何故って、今朝挨拶がわりに「おじさんと一発やらないか」と言ったら指を折られてしまったからだ。この借りは返す。

さて力で負けるのなら、大人の力を使うという方法もある。買えばいい。

……。

そんな訳ないだろ!そんな悲しい援助交際なんてしたくないよ!人間(俺)の尊厳にかかわるじゃないか。

残る方法は1つ。夜襲だ。

もっとも、今後もかなみ及び姉さん夫婦と健やかな人間関係を続けるためには、かなみには苦痛なく存分にお楽しみ頂かねばならない。そのために小道具を調達しておきたいのだ。

簡単な道具を数点入手すると、思い立って帰り道にアルコール類とおつまみのスナック菓子を買った。

「ただいまー」

「おかえり。洗濯しといたよー」

かなみはサターンでPiaキャロ2をやっていた。

「おう、サンキュ」

シャツ類がベランダに干してあった。女物の服が干してあるというのは感動的だ。

「ねえあずさが落ちないよー」

「かなみ、あんまりインドアなのもわざわざ来た甲斐がないだろ」

「そう?休日だからいいじゃん。今日は早めにご飯にしてゆっくりしようか」

…な、馴染むの早ぇー。

夕食はオムライスが用意されていた。1品だしあり合わせだし味も並だが、もちろん満足している。

リアリティを疑うほど満足している。

だから食事中にかなみが「家事は疲れたから今日で卒業」とか言っていたことはひとまず忘れよう。夕食後シャワーを浴びて、俺は一杯やりながら野球中継を観ていた。ちなみに浴槽は共用という訳にいかないので後に入る人が使用権をもつことにした。

二本目の缶ビールを開ける頃、かなみが風呂から出てきた。

かなみが風呂から出てきた。

かなみが風呂から出てきた!

…すまん取り乱した。風呂上がりは水がしたたって普段よりきれいに見えるものだ。

「ああいい湯だった」

かなみは定番過ぎる台詞を言いながら長い髪をていねいに拭いている。俺は自分の早過ぎる現役引退を嘆かずにいられなかった。ああ何故です神様?!(神の名はエロス)いつもスキンする気配りは欠かさなかったのに!歳末たすけあい募金とかもしてきたのに!

…まあいいか、血縁だし。

「一緒に飲むか?」

今は彼女に天国を見せてやることを考えよう。

「おおお」

「どっちなんだよ。もう友だちと飲んだりするだろ?」

「うん。でも家では飲めないからお風呂上がりに飲むのは初めて」

「そうか」

素朴に気分が良かった。かなみは衣類を持参しているが寝巻まで気が回らなかったのか、Tシャツにジャージという身なりだ。惜しい。彼女が眠ったら真っ先にジャージを脱がせよう。Tシャツはポイント高いんだけどね。

「あ、サターンやるならテレビ使っていいぞ」

今年は中日が独走だろうし。俺はカールを開封した。いわゆる「パーティー開け」だ。

「んーどうしよ。とりあえず乾杯だ」

かなみは缶ビールのフタを開けた。彼女の耐性やいかに?

「東京(アーバン)ライフに」

「華のあるライフに」

『乾杯!』

俺のは飲みかけだったので、残りを一気に飲み干した。

「高校出たら、こっちに来るつもりなのか?」

『考えてる。今回は下見も兼ねてるの」

「そん時はアパート探すんだぞ」

「そりゃそうよ。誰がおじさんなんぞの所に」

だよな。

「でもね、島を脱出した数少ない冒険者の話を聞きたくて来ちゃった」

「…なるほど」

ようやく合点がいった。義兄さんが俺の体験談を聞くといいとか言ったのをかなみがいいように解釈したんだろう。彼女自身の好奇心が後押しした訳だ。

「おじさんはさ、どうして東京に出ようと思ったの?」

表情は変わらないが、かなみはゆらゆら頭を回している。少し眠そうだ。

「…はっきりしたことはわからん。今思えば、ありふれた反抗心だったのかもな。自分と何かを対置することでアイデンティティーを育てていく、その何かが俺の場合環境そのものだった。大学からこっちだけど、そんなに高校の成績が良かった訳でも、まして向上心があった訳でもないしな。でも後悔してるかって言われると、……って、寝るなよお前!」

机にうつ伏しているかなみの肩を揺さぶる。反応がないから身体を起こさせると、眩しそうに薄目を開けた。

「アルコール弱いのか?」

かなみはカクンと頭を垂れた。眠っただけなのだろうが、その動作のとおり答えはYesだ。

あっさり寝たな…。かなみの飲みかけの缶を持ってみると、まだ半分近く残っているようだった。拍子抜けだが…

いちおう、念のため。

「かなみ!まだ少し残ってるぞ!」

叩き起こして流し込むように残りを飲ませた。かなみが机から滑り落ちるように床に転がったので、隣りに布団を敷いて布団の上へとかなみを転がす。彼女は今花畑で蝶なんかを追いかけていることだろう。

「さて」

……。そうすぐに寝られてもこちらにだって心の準備というものがある。夜もまだ浅いことだし野球中継が終わってからでも遅くはなかろう。

そうだな、試合が終わり次第決行することにしよう。9回に向けてモチベーションを高めていくのだ。よし、阪神が勝ったらローターを、負けたら按摩器を使おう。





俺は当初の予定の通り眠っているかなみのジャージを脱がせて洗濯機の中に放り込んだ。

「よし、これで邪魔者はいなくなった」

ここからが腕の見せ所だ。彼女が抵抗できなくなるまで一気に攻め立てねばならない。やれないことはないと思う。ただ、相手は初心者だ。俺の血を流れるフロンティアスピリットをいかんなく発揮しなければ彼女の中に新たな世界を切り拓くことはできないだろう。

最悪のケースは、中途半端に中断されてしまうことだ。その時は姉さんに縁を切られるかもしれないが、身内だし死ぬほど謝ればなんとかなるだろう。

かなみを布団に仰向けに横たえた。下はあと布切れ一枚だ。

パンツに手をかけようとして、一瞬考えた。

「パンツはそのままでいいんじゃないのか?」

そこへ天使が現れた。

天使「いけません!脱がすのです。着けたままでは濡らしてしまいます!」

負けじと悪魔も現れた。

悪魔「おいおい、お前はパンツを穿いてる女一人喜ばしてやれないのかよ」

天使「脱がさないと肝心のものがはいりませんよ!」

悪魔「そうだけどな、入れたら痛がると思うぜ。それにバージンは恋人に残しておくのが大人のマナーだろ?」

天使「下着の上からじゃ感度が落ちますよ。そうしたら落ちませんよ」

悪魔「いや、穿いてないと緊張してかえって身体がかたくなるもんだ」

天使「もう、優柔不断な人ですね…それでもノーパン主義者ですか?!」

俺「違うよ!いつも穿いてるよ!」

天使「バージンかどうかだって、見てみなきゃわからないじゃありませんか!」

悪魔「な、何言い出すんだよお前…」

俺「そうだよ。相手はかなみだぞ。高2だぞ(多分)」

天使「あーもうこれだから引退したおじさんは…」

俺「引退じゃない、勇退と言えよ!」

しかし…。

「まさかな」

結果的にパンツを脱がした。少し緊張しながら股を割る。

…無い。

……。

「コイツ不良だよ不良!」

天使と悪魔に叫んだ。高校生でロストバージン?マジすか?

だが島の文明化も進んでいるしな…。不良とは限らんなあ(酒飲めないし)

まあよかろう。まずは王子(叔父)の口づけでお目覚め頂こう。

かなみの脚は開いたままで足の方から股に顔を埋め、かなみが起きても逃れられないよう両手で腰を押さえた。

王子の口づけか…。

ある考えが浮かんだ。昔話で、王子の口づけで姫が目覚めるなんてシチュエーションがあるが、王子なんてのは世継ぎ問題に頭を抱えている。そして目の前で美しい女性が眠りについている。

あり得る話じゃないか。

王子は持ち前の技巧で姫の眠りを解こうとする。「眠りが覚めたらテイクアウトだ」そんなことも知らない小びとたちは姫のあらぬ姿に見て見ぬフリ。

で、自信満々でこれを提出したら童話倫理委員会の検閲にかかってお叱りを受け、仕方なく一般的なほうの口に口づけた、と書き改めた。

…自分の推理力が恐くなってきたぜ。

とりあえず口づけよう。今この瞬間、俺は世界一王子な男だ。

優しく口づけて、そのまま感触を確かめるように深く沈んでいく。

「んんっ!」

ヤバい、もう起きちゃったの?!

「…。…な、な……!」

かなみはすぐ異変に気づいた。

「ちょっと、何やってんのよ!」

両手で俺の頭を離しにかかった。俺も必死にしがみついたまま、舌を這わせ始めた。

「きゃっ!ちょ、ちょっと、本当に怒るわよ」

かなみは両手に力を込めた。だが離される訳にはいかない。離されたら、負ける。それでも焦らず、ていねいに口づけながら舌で刺激していく。

「や、やめなさいってば」

押しつけるのをやめた両手で、ポカポカ俺の頭を殴り出した。

―――やめろ、集中できないだろ。

口に出して会話はしない。このままじゃ喋れないし、話せばそれだけお互いに意識がそれる。

かなみの殴り方がほんの少し弱まったのを感じて、いよいよ舌を挿入した。

「やっ!」

かなみは一瞬硬直した。それからまた殴り始める。俺は舌をゆっくり引き上げ、先端だけそっと何度も出し入れした。

「どういうつもり?何とか言ってよ!」

焦らされて威勢のよさが長く続かない。今度は殴る間隔が開いていくのがあからさまにわかった。すぐに奥まで舌を入れる。

「ふあっ!」

さっきより声が艶やかだ。かなみは硬直した後もう殴り始めず、最初のように俺の頭を押し離そうとした。だが力の入り方は弱まっている。今度は舌を抜き取らずに蠢かしてやる。舌を押さえつけられるのを感じながら負けじと蹂躙していく。

「ううっ!んん…んんんっ!」

瞬間的に力がはいるが、かなり抵抗力は抑えられた。それでも声を殺そうとするのが健気だ。それくらいでなくては、こちらもやりがいがない。

一旦舌を抜くと、かなみも力が抜けたのか起きかけた上体を沈ませたようだ。一瞬だけ顔を上げてかなみの様子を見た。いい感じで汗をかき始めている。すぐ頭を下げ、満を持してクリトリスに舌を絡ませた。

「ひゃああっ!」

もう俺を突き放そうともできないで、ぎゅっとシーツを握りしめる。こうなれば俺の独壇場だ。さらにクリトリスの根元をつっつくようになぞっていく。

「い、いやっ!ダメっ!…あああ!!」

さて。仕上げにと改めて顔を潜り込ませると、興奮したように膨らんだクリトリスを口唇で挟み込む。極上のリップサービスだ。

「あうぅっ!!」

かなみの身体が跳ねて、よじった上半身が左に寝返った。身体を丸めるようにして、震える手でただシーツを握りしめている。

「あアッ!!あああぁッ!!やっ、も、もう…っっ!」

ここで俺は口を離し、顔を上げた。

「はぁ…はぁ…?」

かなみは何が起こったかわかっていない様子でまばたきを繰り返している。そして実際のところ、何も起こってはいない。かなみの息が整う前に俺は作業を再開した。反応を見ようと、まず表面をそっと舐めてやる。

「っ…!」

電気が走ったようにかなみの身体が震えた。慟哭する直前にそうであるように、ささいなきっかけでとめどなく溢れ出す前ぶれなのだろう。これなら逃げられることもあるまいと顔を離し、右手を股にあてがったまま身体をかなみの上半身の方へ移動した。かなみが熱っぽい目で何か訴えている。

「もう夜なんだから大声出しちゃ近所迷惑だろ?」

そっと左手でかなみの口を塞いで、右手は指を遊ばせる。かなみが戸惑いの表情を見せた。遊んでいる右手の人差指を突き立て、根元まで一気にかなみの中に挿れた。

「んッ!!」

…そのつもりだったが、内側から押し返されて完全には入らなかった。かなみは開いたままの脚をヒクヒクさせている。閉じ合わせようとしないのはプレイ続行のサインと受け取ろう。指が圧迫されて出し入れできそうにないので右に左に回転を加えてやる。

「んんウっ!ううッ!うんんッ!」

かなみは悩ましげに瞳を閉じていた。ちょっと驚かしてやろうと、余っている右手の親指でクリトリスを弾くようにしてこすってみた。

「んん―――ッ!!ンッ!うッ!ン――!!」

口を塞がれたままかなみは忙しく首を左右に振った。これもプレイ続行のサインと受け取ろう。もう指が回せない。理詰めで親指をクリトリスの先端に添えて、小さな粘土を丸めるように転がす。

「んくううッ!!ふはっ、ああああ!!アアアッ―――んッ!んんっ!!」

脚を痙攣させて、かなみの身体が弾んだ。その間一時左手を離れた口から声がこぼれた。

頃合いを見て親指を休め、彼女の身体から少しずつ人差指を引き抜いた。かなみはしばらく余韻に浸っていたが、やがて潤んだ瞳で見つめてきた。俺も視線を合わせた。

「…どうして」

「?」

「…どうして、…やめるの?」

「やめる?」

「どうして最後まで…しないの?」

それは望み得る最高の反応だった。

「え…ああ、シーツが濡れちゃうから」

とは言え、この段階で既に十分に濡れているのだが。

「ね、ねえ。私が洗う…から、その…最後まで、してくれる?」

「でもかなみが嫌って言ったんじゃないか。今だって首振ってたし」

「いや、だから…反射よ、反射!」

「じゃあしっかり押さえとくけど、途中でやめろなんて言うなよ」

俺だって寸止めばかりじゃつまらない。かなみが抵抗しにくいように、膝の上に腰を下ろした。

いよいよ始めるに当たって、何となしにかなみの顔を見てみた。

不定期に島へは郷帰りしているから彼女が生まれた頃から見てきているが、ここ数年はご無沙汰だった。

「可愛くなった」

そんな言葉が自然と出てきた。

「え?い、今言うかな…」

それもそうだな。照れたようにしているかなみの股座に顔を埋めていきながら、気づかれないよう低い位置で右手をズボンのポケットに向かわせる。

右手はポケットの中のローターに到達した。今夜は延長11回、赤星のホームスチールで阪神が劇的なサヨナラ勝ちを収めた。

「目をとじて」

顔を少しだけ上げて呼びかけた。かなみは2、3回まばたきをして、言われた通り目を閉じた。素早く取り出したローターのスイッチを入れて、クリトリスのてっぺんにそっと重ねた。これだけでイったんじゃないかと思える程かなみの反応は鋭かった。

「んあああああッ―――!!なっ、やあああっ!!」

それこそ反射的に俺の手を振り払おうとしてくるのを左手で制して、右手はローターをぎゅっと押しつける。

「いいいイッ!んウッ!!ダメ!ああダメぇ!!」

「反射だな?」

「ち、ちが…あぁっ!ああッ!!タ、タイム!たいう!!」

明らかにかなみのキャパシティーを超えているのだが、フロンティアはこんなところでは立ち止まらない。かなみがローターを振り払うのをやめた。というか、動けないのだろう。シーツを握りしめるというより、シーツにしがみついている感じだ。

「いやぁっ!!ひっ!アアアッ!!やめてぇぇッ!」

やめたらやめるなっていうくせに。まあ…今回は言わないかも。

かなみの体力がもちそうにないので、ローターの振動を激しくしてやった。

「ひイッ!!ダメ!…はっ、あっ、うッ、ああッ!アアアアッ―――――!!」

逃げ場を失って、かなみは白い恍惚につつまれた。





脱力しきっているかなみを残して台所へ行き、コップにお茶を注いでストローを差す。それを持っていくとかなみは頭だけ起こしてすぐに飲み切った。

「足りるか?」

考えているのかかなみは少し俺を凝視していたが、何も言わず頭を寝かせて大きな息をついた。

「もっと欲しいって言ったら?」

「そりゃ、まだあるから入れてくるけど」

「入れてくるって…あ、お茶?!」

「ま、嫌ならビールもまだあるぞ」

かなみが何か気まずい顔をした。

「ああ、ジュース類置いてないから、あとは豆乳くらいしかないけど…どれがいい?」

「……たまご」

「へ?」

「だから…その、それよ」

少しだけ頭を振ってかなみが示したのは、濡れて光沢を放っているローターだった。

たまごねえ…。

「振り払おうとしてたよな?」

「ら、乱反射よ!」

「適当なことを言うなよ。それより休まなくて大丈夫?」

惑ったような怒ったような顔で見てくる。日本語に訳すと「言わせるな」か?

「ハイ、じゃあ脚を開け」

これでは命令したのかされたのかわからない。表情を変えずかなみは立ち幅程度に開脚した。隙間から覗いたシーツの方に目がいってしまう。これってシーツ換えるべきか?

「なあシーツは…」

目で訊いてみるがかなみは黙ったままムスッとしている。

「…大洋ホエールズだったかな。まあいいや」

まあいい、俺が全権を握る。

かなみの足の方に回り込み、左足を開きながら膝を立たせる。次いで右。

「今度は俺は押さえないが途中で脚を閉じるなよ。閉じたら止(や)める」

かなみが頷いたのを確認してローターのスイッチを入れる。左手をつけ根のあたりにかけ右手のローターでクリトリスをこすると、かなみの膝が震えた。

「準備はいいか」

散髪後にバリカンで微調整するように、かすめていく感じでクリトリスを刺激していく。

「ふぁっ、んっ、はっ、はあっ!あん!んんっ!」

続けて膝を震わせているが、閉じないよう踏ん張っているのを感じる。刺激する間隔をバラバラにしてみた。

「いっ!…あッ!ね、ねえ…やん!その…ギュッて、やっ!ぎゅって、ね?」

「何のことだよ?」

はは、俺ってじらす習慣があるかも。

「ああん!だから…ねえ、早くぅ…はぁっ!」

「こうか?」

お望み通りローターをえぐるようにすりつけると、かなみは仰け反って勢いよく膝を閉じた。

「ひううううッッ!!」

足元は踏み留まっているから大目に見よう。左手で割り直してさらにローターを突き立てる。

「いああああぁ!あん、やあぁ!ひいいいっ!!」

御膳立ては十分だな。ローターでまさぐり続けながら、昼間購入したバイブを鞄から取り出した。

アレ?これ思ったより太いな…。

しかもMADE IN CHINAじゃないか。くそう中国め、男の武器で諸外国を威圧しようって訳か。

「あアアッ!ちょっ、強い、強いッ!」

だが中国製とはいえ、彼は俺の代役なのだ。何か俺の名残を託したい。ほら、野球選手がケガで戦列を離れているチームメイトのバットで打ったりするアレだよ。震災の後オリックスのユニフォ−ムに「がんばろう神戸」って文字が刻んであったアレさ。そういやオリックス今年いっぱいで合併されちゃうんだったな…。何か、かなしいもんだろう?

俺の想いを乗せる依り代…そうだ、この前間違えて一人で撮ったプリクラがある!

「ふああっ」

机へ向かうためローターを離しても、かなみはしばらく慣性で膝をガクガクさせていた。バイブの基底部に俺の写真(プリ)を貼ってかなみの元へ。

すぐにローターを戻しつつ、開口部にバイブをあてがう。

「ああう!んっ!んんんッ!!」

水気は十分だろうが、やっぱり太いかなあ。かなみを見た。陶酔しながらもかなみはこちらを見て2回頷いた。

…わかった。四千年の歴史の重みを受けてみろ!

押し込む力の割にスムーズにバイブは飲み込まれた。

「くはああっ…!あふっ!太…」

痛みは弱そうだが念のためローターの振動はMAXにしておこう。

「ひやああああッ!!あ゛あああ!ダメぇ―――っ!!」

ローターを離すと同時にバイブの躍動を開始する。一瞬間があった後、かなみは勢いよく腰を浮かせた。

「あはアッ!なっ!くううッ!!…っ!」

弓なりにした身体を震わせていて、表情からも正直いいのか痛いのかわからないので、訊いた。

「抜いた方がいいか?」

ゆっくり首を横に振る。それだけの仕草も簡単にできないようだ。

「あ、ン、でも…」

「?」

「脚は…はアん、閉じ、ても…いい?」

そう変わらないと思うが…くすぐられてるようなもんかな?

「ダメだ。閉じたらすぐに止めるからな」

「そんなぁ!あアっ!お願いだからあッ!」

そんな風に言われたらいじり回したくなるのが普通の感覚だよな。

俺は腰と共にもち上がっているバイブの根元を握ると、遠慮なくかき回した。

「うあああウッ!!なああぁ!あアはっ!!」

俺の手から逃れようとかなみは腰を踊らせる。それでも足元を動かさないよう努めてるせいでたいした動きはできないため、悠々追いついて好きなようにいじれる。

「ひはッ!!やん!あひいいっ!!んああ…」

一度バイブを先端だけ残して引き抜く。かなみが脱力して腰を落とすとすぐに再挿入する。

「ひッ!」

そのままの状態でかなみが俺を見るのを待つ。目が合った。

彼女に口元だけで笑みを送り、バイブの出し入れを開始した。ゆっくりと、輪をかくように。

「ん…ふうぅっ……んあっ、うああ!」

少しずつバイブの出入りを激しくしていく。かなみが油断している所を、空いている左手でクリトリスをこね回す。

「さ、さわらないで!!」

身体をよじってかなみが悲鳴をあげた。今更これくらいで騒ぐでもないだろうに。だがさわるなというならもう少しさわっておこう。


「ダメえええッ!!」

かなみが悶えている隙にバイブをフル稼働にする。…こっちが効いたのかな?その都度入射角を変えながら乱暴にバイブをえぐりこんだ。

「あアアッ!!きゃっ!いいッ!!い、いやあっ!」

爪を立てるようにシーツを握りしめてかなみが…

…やべっ、泣いてる。

「ごめん、痛かったか?!」

俺は慌てて手を止めた。

「あ…やめないで」

「でも」

俺は自分の右目の端を指さした。

「えっ?…あっ、やだ!これはその…眼瞼閉鎖反射よ!」

「なんだよそれ。大丈夫なんだな?」

「大丈夫だから、早く!」

早く、か。

入れっぱなしのバイブの向きを真っ直ぐにして、俺は立ち上がった。右手と左手でかなみの両足をそれぞれ持ち上げると右足を股間のバイブに乗せ、その両足をぐっと手前に引き寄せた。

「くぁッ!!」

気持ちよくめり込んだバイブをさらに蹴り入れる。

「ひああ!く、来るッ!来ちゃう!!」

ここへ来てずいぶん子どもっぽいやり方だが、構うか。

なんかムカつく。

バイブの根元に足を掛けて力の限りかき混ぜた。

「ひイイイイッ!!ああっ!!ダメ!ダメえ!やああっ!」

「中国のヨガ・パワーを思い知れ!」

「いや、アアッ!!あうっ!!ひっ、あっ、ああ、いやああああッ―――!!」





眠ってしまったかなみからバイブを引き抜くとき、気づいてしまった。

俺が一生懸命踏みつけていたのは、俺の顔だ。

彼女の身体を拭いて、シーツも取り換えてからパンツを穿かせる。

……。

ああ、やっぱり穿いたままの方がよかったかも知れない。

悪魔「だよなー。時代は今下着だぜ!」

俺「うん。チャイナドレスのスリットと下着のタッグ」

悪魔「お前レイファン派?!」





(完)


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