ゲスリーナ氏・作


 ゲスリーナ様による短編エロパロです。

 御本人によると

 「女性向け恋愛アドベンチャー「絶対階級学園」のエロパロです。
ありそうでなかったので、書かせていただきました
結婚を強いられた主人公の藤枝ネリが…という結婚初夜の話です。
もしかしたら、こういう感じのifもあったかも?って作りました。
最後に、寝取られ要素も入れています。」

 とのことです。


これはある男に身を捧げた、一人の少女の物語。



藤枝ネリは、私立櫂宮(かいきゅう)学園の学園長・鏑木蒼一郎(かぶらぎ・そういちろう)の圧力に押され、結婚することになった。

絶海の孤島で、17歳の花嫁が誕生した。

白薔薇があしらわれた純白のウェディングドレスを着たネリは、まるでお姫様だった。

一部では、ネリの未来を案じる者もいたが。

ネリも本当は結婚したくなかったのだ。

でも、仕方がなかったのだ。ネリはそう自分に言い聞かせた。

そう、ネリはすべてを受け入れたのだ。



ネリは蒼一郎の待つ寝室に向かう。

「ネリ。待っていたよ」

夫に促され、彼のいるベッドに座る。

「…」

ネリは無言を貫く。



自分よりもかなり年上の男と結婚する。

日本では貧富の差が大きく開いており、住む場所が身分によって15段階に分けられている。ネリは10地区の出身。

昔、美人は高学歴になれなかった。今でも、10代の少女が結婚を強いられている。そんなことを思い出すネリ。

その先にあるのは、教育を奪われ、赤ん坊を抱え、夫の庇護のもとで暮らさねばならない自分の姿。



「愛しているよ」

蒼一郎はネリの肩を抱く。それを振り払ったりしない。

それが自分に対する贖罪なのだから。



どれほど見つめ合ったのだろうか。

蒼一郎はネリに口づけをする。

ちゅ、ちゅ、とリップ音が鳴り、寝室に響き渡る。

ネリも嫌がる素振りを見せない。



ネリの着ていた寝間着を脱がせる。

17歳の新妻の体をほぐすように前戯をする蒼一郎。

「君は本当に美しいね」

胸を揉みながら言う蒼一郎。

ネリは何も答えない。

嫌がらず、夫の愛撫をただ受ける。



嫌がらずただすべてのことを受け入れたネリは思考を巡らせていた。

自分の学園長との結婚を祝福していた萌花。彼女は本当は、ネリの事を可哀想だと思っていたのか。

学園の赤薔薇様・陸さんと白薔薇様・レイさんは、このことをどう受け止めたのか。

プレイボーイな演劇部の壱波くんは、レジスタンスのリーダー十矢くんは、いじめられっ子のハルくんは、このことをどう感じたのか。

陸さん、レイさん、壱波くん、十矢くん、ハルくんの中の誰かと、自分が結ばれる未来なんてあったのか。

なんだろう、この空虚感…。



「濡れてきたみたいだね。そろそろ入れるよ」

空虚を引き裂いたのは下腹部から来る痛みだった。夫の男根が、ネリを貫いたのだ。

「い、痛い…!」

破瓜の痛みに悶え、泣き叫ぶネリ。

不思議と怒りや憎しみは沸いてこなかった。

あるのは、何かを奪われた悲しみと喪失感。



先程まであった痛みは自然と消えていた。

蒼一郎もそこまで外道ではない。妻のことを配慮して、しばらく腰を動かさなかったのだ。

その代わりにあるのは、こすられた時の快楽だけだった。

質問したいが声が出ない。代わりに出るのは嬌声と夫の名前だけだった。

「そろそろ出すよ。子供のことなら安心してくれ。男の子でも、女の子でも立派に育ててあげるよ」

ネリは蒼一郎を強く抱きしめる。本能なのか、それとも…。

蒼一郎は、妻の中で射精をした。

その夜はそれだけで終わらず、何度もネリは絶頂に達した。



「藤枝さん?」

聞き覚えのある優しい声に、ネリは立ち止まる。

声の主は、鷺ノ宮レイ。学園の白薔薇だ。

横には、学園の赤薔薇、鷹嶺陸もいる。

「レイさん、陸さん…」

ネリは頭を下げる。

「私、もう、『鏑木ネリ』なんです…」

陸はネリの腹部を指さす。

「おい…お前、どうしたんだ、その腹!」

「陸…その言い方…!」

レイが陸をたしなめる。ネリは優しくお腹をさすりながら言う。

「赤ちゃんができたんです。蒼一郎さんの」

言葉をなくす陸。レイも顔から血の気が引いていた。

そんなことを気にせずネリは淡々と続ける。

「赤ちゃんができたら、だっこしてあげてくださいね」

もう聞いていられないという表情でその場を逃げるように去るレイ。

「お、おい、待て、レイ!」

陸も追いかけるようにその場を去る。



「…」

全部、私のせいだ。

一人自分を責めるネリ。

でも、子供の成長を愛しく感じていた。


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