サイコの軍払い下げインターセプターが、森の木を二、三本へし倒しながら着陸した。
もう何度もこんな場所に着陸しては休んでいるが、未だに地球の激しい気候の変化には付いていけていない。
サイコの生まれ育った星は、昼は生暑く、夜は薄ら寒いような、そんな状態が一年間ずっと続く。
季節の変化と言う物が無く、一年中ずっと同じ獲物、同じ狩猟、同じ行動を取り続ける・・・
サイコの種族はこの環境により、変化、進歩と言う物をあまり重要視しなくなった。
賞金稼ぎやボディガード等と行った、狩人以外への転職などは彼ら自身が喜ぶ所だったが、
社会体制の変化や、銀河連邦への加入時の宇宙総法協定への参加などへは、相当渋っていた。
そして、サイコ(出身星での名をバリコーン)と言う、異種愛病者の存在。
異種愛病は、ただの変わり者以上の問題でもある。
サイコの種族の生殖方法では、他の種族に危害を与えかねない。
まるで男と女の戦闘の様に、激しく行われる。
・・・この点、サイコの行為は他の者より大人しかった。
双頭舌から進化した触手を酷く叩き付ける訳でも、胸(らしきもの)を食い千切らんばかりに
むしゃぶる訳でも無いのだ。
しかしそれでも勿論サイコは脅威だった、それにその気になれば彼等のやり方を行う位・・・
サイコは色々、モヤモヤした事を考えながら、船のソケットからコードを伸ばし、
エアバイクへのエネルギー充填を始めた。
〜〜〜
春名ヒロ子は、友人達と共に、キャンプに来ていた。
もちろん、ハムスター達も一緒に。
ヒロ子の父親、春名ユメ太郎の運転するバンは、高速を降りた。
「いやあ、ETCって便利だ」
子供達を二日間もキャンプ場に置いて行き、自分は不倫相手の所へ行く。
ユメ太郎の計画にぬかりは無かった。
「ロコちゃん、夜の花火、楽しみだね!」
「うん!」
岩田カナは昨日から花火の事ばかり口にしている。
編み籠の中では、ハムスター達は、隙間から見える車窓を眺めていた。
「広い原っぱが見えるのだ!」
「キャンプって楽しいのかしら?」
「もちろん!」
〜〜〜
サイコは、ステルスプロテクターも付けずにエアバイクに跨り、辺りを散策していた。
突然、森の木々の間から広い原っぱが見える。
「廃人ヶ原キャンプ場 第二テント設営地」
もちろんそんな看板はサイコには読めないが、地面に所々あるゴミ等からして、
此処がこの星の原住民の良く訪れそうな場所と言う事は理解できた。
「ホホウ・・・」
レーダーを見ると、まさに何人かまとまった連中が、この近くの道路を伝って近づいている所だった。
サイコは急いで森の中に戻った。
〜〜〜
「じゃあお父さんはもう行くからね、今日と明日、仲良く過ごすんだよ」
「はーい!」
「じゃあね」
ユメ太郎は子供と荷物を降ろすと、そのまま元来た道を戻っていく。
キャンプ場には、ロコ、カナ、太一、ロベルト、そしてハムスターたちが残された。
「・・・さて、じゃあテントを張ろうぜ」
「うん」
「そうしましょう」
この開けた空間には、この子供達しか居なかった。
どうにか苦心して男女一棟ずつのテントを建て終え、
火を起し、バーベキューの準備が出来た頃には夕方になっていた。
「夕日を見ながらバーベキューの晩御飯・・・良いねえ」
「そう言って、お肉全部食べちゃうんでしょう」
「それはお前だろ?」
「何よ、キーッ!」
ロコとロベルトが喧嘩してる間、ハムスターたちは籠から抜け出し、森の中へ探検に向かった。
〜〜〜
辺りは暗くなり、空には月が輝いている。
ロコたちがバーベキューをしている頃、ハムスターたちは森の奥まで来ていた。
「怖いですう」
「良いじゃねえか、こんな経験町じゃ出来ねえ」
「そうだぞ、タイショーくんの言うとおりだぞ」
「でも、もう暗いし、戻った方がいいんじゃn」
そう行った矢先、りぼんちゃんを何かが踏み潰した。
「あっ!」
「な、何が」
次に、ハム太郎とタイショーが踏み潰された。
「うぎゃ」
「う、うわあああああ」
こうしくんとのっぽくんが最後に残り、急いで逃げだしたが、今度はFK-50ブラスターで打ち抜かれた。
ハムスターほどの小さな動物を、しかも夜中の森林で打ち抜く位、サイコには何でもなかった。
殺した小動物の一匹(それはハム太郎だったが)を摘み上げ、サイコは良く観察した。
「・・・フムム」
そしてそのまま口に放り込み、良く噛んだが、良い味はしなかった。
「ウーム・・・マズ」
サイコはレーダーを見て、何かがあの原っぱにやはり来ている事を知ると、
口直しでも無いかとそちらに向かっていった。
〜〜〜
バーベキューも終わり、花火を始めていたロコ達。
水も用意せず、原っぱの真ん中で堂々とバチバチ音を鳴らしながら遊んでいた。
そこへ、おっかない連中がやって来た・・・時代遅れのようなオープンカーに乗った暴走族である。
キャンプ場に猛スピードで入ってくると、ランプをギンギン輝かせ、エンジンを吹かしながら
ロコ達の前に進んできた。
「おうおう糞ガキども、誰に断ってここに居るんだ?」
「え・・・」
「え、じゃねえよ!ここは俺達の場所だぜ!」
サイコはその時、ステルスプロテクターを付け、誰にも見えない状態で
既にキャンプ場に入り、ゆっくりとロコの後ろに迫っていた。
「何を言ってるの、私たちは前から此処にいたのよ」
「なんだとお!?糞ガキィ、廃人ヶ原のサイコライダーズをしらねえのかぁ!?」
バイクや自転車ではなくオープンカーに乗っているのにライダーズと言っている事を
ロベルトはおかしく笑ってしまった。
「何を笑ってやがる!」
「ハハハ、だって車に乗ってるのにライダーズ・・・ハハハ」
「この野郎!くたばれっ!」
小学生相手に、暴走族は怒り出した。
そして、コーラのビンを投げつけた・・・
それは、サイコにとって予想外だった。
ロベルトでは無くロコに飛んでいったビン。
ロコは幸にも避けたが、その後ろの誰にも見えていないサイコに当たり、
それも、ステルスプロテクターのスイッチに直撃した。
「あ・・・」
「う、うわわわ」
空間が歪み、サイコが現れた。
「うわあああああああああああ!」
「何を怖がってるのよ!」
ロコ達は、背後に姿を現したサイコに気づいていなかった。
暴走族は急いで逃げ出そうとしたが・・・
サイコはライフルを取り出し、最大出力でオープンカーを撃った。
オープンカーは爆発し、暴走族は全滅。
この時やっとロコ達は背後の存在に気付いたのだ。
「きゃっ、きゃああああああああああ!」
「うわああああ!」
サイコはまず太一の頭をレーザーブレードで撥ね、次にロベルトを殴り殺した。
ロコとカナが綺麗に残ったのは、サイコが既に狙いを付けていたからである。
〜〜〜
「きゃあああああああああ!
「キシャアアアアアア」
「ロコちゃん、にげっ・・・きゃあああ!」
サイコはまず片手でカナを捕まえ、片足で(サイコにしては)優しくロコを押さえつけた。
カナの衣服を裂くと、白いスポーツブラとショーツが露わになったが、サイコはそれも破り捨てた。
そして、口の中から触手が出てきたのだ。
「ひっ、ひいいいいい!いやああああ!」
問答無用で、片手で吊り下げられたカナの秘部を触手が嘗め回した。
「あっ・・・いやああ!ああっ・・・」
しかし、サイコは、この女には後一歩何か足りない気がした。
どうも、する気が起きない。
そこで、地面に転がっていた小さな打ち上げ花火の筒を秘部に突っ込んだ。
「あっ、ひいいいい!ロコ・・・ああああ」
サイコは、その筒が何なのか知らなかったので、火も付けずにそのままにしていた。
それよりロコである。
〜〜〜
「ホホウ・・・」
「いや、やめて・・・ハム太郎!パパ!ママー!」
この時ハム太郎は既にサイコの腹の中、パパはラブホ、ママは海外旅行中となれば、誰も助けに来ない。
「いっ、いやあああああああ!」
サイコは先程の少女のように、ロコの服を剥いてやった。
「やめて、触らないでっ!」
「フハハハハハ!」
勝ち誇ったサイコの笑い声の中、触手が再び伸びてきた。
胸が、秘部が、サイコの妙な色の触手に犯される。
ロコは必死に快感に耐えていた。
「いいいいっ・・・ああ・・・止めて・・・」
そして、サイコの気圧服の前面が開くのが見えた。
凶悪なそれが姿を現した。
「なっ・・・やっ、やっ・・・」
ロコは足をくねらせ、それを受け付けまいとするが、無駄だった。
ズブリッと音がしたと同時に、悲鳴が響いた。
「いやああああああああああ!」
激しく動く。
触手も同時に胸を脇を攻めてくる。
「あああっ・・・ああ!きゃあああああ!」
ロコの股間が裂けんばかりに、サイコはピストン運動を繰り返した。
そして、果てた。
プシャアとロケットの様に放たれ、ロコは地面に転がったのだ。
「フムム・・・オワリ・・・」
サイコは気圧服を身に着けると、帰りがけに、ロベルトの頭をロコの前に蹴飛ばした。
ロコは暫く身をくねらせていたが、急に気が戻ったように顔を上げた。
そして、そこにロベルトの頭があるのを見た。
「・・・ふふ・・・ふふふ」
カナちゃんが、股間に打ちあげ花火を挿したまま気絶している。
「・・・あなたが悪いのよ、私を助けなかったから・・・カナちゃんが私を・・・」
ロコちゃんは、まだ燻っていた種火で木の棒に火を付けると、
カナの股間のそれに火を付けた。
「ふふ・・・さぞ綺麗でしょう?」
爆発音と同時に、空に一筋の光が過ぎった。
サイコのインターセプターか、それとも命の光か。
〜〜〜
ユメ太郎はバンに乗り、二日前の同じあの廃人ヶ原キャンプにやってきた。
「子供達だけで上手くやれたかな・・・まさか男友達が娘に手を出してたり・・・」
変な妄想をしながら、バンはキャンプ場の入り口に入った。
しかし、いつものように他に車は見当たらない。
「まあ、寂れているからこそ此処に決めたんだが・・・」
さらに車を進めると、何かピンク色の塊がボトボトと落ちていた。
「おや、ピーチクリームか?・・・でも香ばしい臭いがするな・・・」
そこから車を降り、原っぱの真ん中へ進んでいくと、何か異変を感じた。
この前は無かった、焼けた車がある。
「な、何だ・・・」
ユメ太郎が更に近づくと・・・
「あっ」
ロコは、撥ねられたロベルトの頭部に何かを押し付けながら、ヘラヘラ笑っていたのだ・・・
「ロベルト、おいしい?お肉おいしいよね・・・あはは」
カナの物と思しき肉片が口の中につめられている。
ユメ太郎は、数歩後ずさりし、気絶した。
(おわり)
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