廃人の廃人氏・作

 廃人の廃人さんによるオリジナルエロ短編です。

 御本人によると「一部は私が見た夢、一部はいつものALIENのノリで構成されている、ただ惨いだけの、あまり論理性のないお話」とのことですが、なるほどどこか夢幻のような、不思議な味わいの作品となっています。


木目の壁の家々が並ぶ一角。

その隅の家で、ギイギイと音を立てる木製のドアを飛び出し、
砂利敷きの道路へ飛び出す少女。
黄色いブラウスに、赤い吊り下げスカートを履いた、おさげ髪の小学生だ。
今さっき学校から帰って来たばかりのようだが、もう別の場所に行く様だった。

「ミチコ!どこ行くの」
「友達の場所!」
「あんた今朝の新聞見たでしょ!外は・・・」

ドアの奥からの母親の声を無視して、ミチコは通りを駆けた。

「明日はお祭り・・・嬉しい!」

そう独り言を言いながら、家と家の間を抜け、小さな通りへ出る。
床屋から、外国語の音楽の放送が聞こえている。
ギターがボロンボロンとなって、男女がデュエットで歌っている様だが、ミチコには分らなかった。
ミチコにはそれよりも聞きたい音があるのだ。

はっぴを着て原付に乗った酒屋の爺さんとすれ違った。

「やーミッちゃん、こんちわ・・・」
「こんちわ!」

すれ違ってすぐ、酒屋の爺さんは注文者の家の前に原付を止め、振り返った。

「今日は子供一人で大丈夫かねえ・・・」

駆けるミチコは何にも目をくれず、友達の場所なんてあやふやな場所の事は考えず、
そのまま突っ走った。
砂利道が終り、簡易舗装の道へ入った。
ビニールサンダルがギュギュと音を立てる中、T字路でミチコを誰かが呼び止める。
同級生のサチエだった。

「ミッちゃん、どこ行くの」
「小山の上よ」
「あたしも行く」
「サチエはダメ」
「どうして、あたしも行くよ」
「もうだめ」
「今日は外で遊ぶのあぶないって・・・あっ、まってよ」

ミチコはそのまま、また駆け出した。
サチエは、ついて来なかった。

ブロック塀とトタンの間の路地を掛けて、徐々に上がる勾配も何とも思わず進み、
やがて周りは藪と空き地と放置されたゴミばかりになった。
藪、藪、藪。
最後にすれ違った掲示板には、祭りの日程が、日本語と外国語で書かれていた。

かすかなゴミの臭いを振り払い、ミチコはどんどん進んだ。
途中でぐるりと道が曲がり、そこで道らしい道が無くなる。
あとは少し開けた藪の隙間と言った感じだ。

「ここ・・・ケンジの基地かな」

基地と言うそれは、藪の中の隙間に、どこからか持ってきたトタンで仕切って
菓子のゴミやらコーラの瓶やらが放って置かれた場所、つまり子供の秘密基地だった。
トタンの上の方には、これまたどこから持ってきたか分らない、どこかの国の旗の微妙な切れ端が掛かっていた。
仕切られた空間の真ん中には、ボロボロの板が置かれ、ペンなどで落書きされている。
男児たちが時々ここでタムロするのだろう。

ちょっと息を切らしかけたので、その仕切りの中に入って一息ついた。
その時、仕切りと藪の間に、キラリと光る物を見つけた。

「ホイッスル・・・」

オモチャではない、何やら本格的なホイッスルだった。
手に取ると少し重く、銀色に光る物のその下部には、アルファベットが刻印されていた。

ホイッスルを拝借し、吹く部分を服の端で執拗に拭きつつ、ミチコはさらに山を上った。
百メートルも無い、山とも言えない山だが、勾配が緩いのでてっ辺までやや遠く感じる。

てっ辺に着くと、藪が開けて、やや下方に急に町が見えるようになる。
町のずっと向こうには、柵で囲われた広い空間とかまぼこ型のいくつも並んだ建造物が見える。
子供達は近付かない様にいわれている場所だ。

町が見える場所は絶壁の様で、誰が置いたか、工事現場の注意柵が端に置かれていた。

ドンドン・・・ドコドコ・・・♪

公園で行われている、和太鼓の練習の音が聞こえる。
街中では車の音や無数の障壁で聞こえ辛い音が、ここなら聞こえる。
この音が好きで、数日前からミチコはここに来ていた。
サチエを断ったのも、一人で聞きたかったからだ。

執拗に磨いて、キレイになったホイッスルを、ミチコは太鼓に合わせて吹いた。

ピピッ、ピーピピー・・・♪


〜〜〜


藪の中で何かが動いた。

ホイッスルの音が胸の中に響く。

カーキ色のすれた服を脱ぎ、上半身裸の男が、首を振り向ける。
浅黒い肌をした、屈強な外国人だ。

「Hmm」

男は、嫌な物を聞いたように片耳を押さえつつ、表情は変えずにのそりと動いた。
藪の隙間に上着を敷いてどうにか寝ていたので、体がピキと鳴る。

「・・・」

少し上り、藪の隙間から外を見ると、少女が一人で居た。

ピーピーピー・・・♪

「・・・」

さっき聞こえたのは、少女の吹いているホイッスルだった。

男は藪から身を出した。
ガサガサと音がする。
少女が振り向いた。

「あっ・・・」
「・・・」

外国人は、何も言わず、少女に近付いた。

「・・・」
「・・・」

ミチコはとっさに考えた。
このホイッスルは、この外国人のものかもしれない。

ミチコはホイッスルを取って、座っていた草むらの脇に置いた。

和太鼓の音が再び聞こえる。

ドンドンドコドコ・・・ドコドコ・・・

外国人は、なお近付く。

「・・・」
「・・・ホイッスル」

ミチコはホイッスルと言って外国人にそれを示そうとした。
だが外国人はそんなのは構わず、和太鼓の音を胸の奥で感じながら、ミチコに目を据えた。

「・・・」
「ホイッスルが・・・」

ミチコはホイッスルとしか言えなかった。
近付くにつれ、外国人の顔が露になる。
何の変化も起しそうにない、固まった表情。

「・・・」

ドンドンドコドン・・・

外国人はミチコの前に立った。

「・・・」
「ホ・・・ホイッ」

その時、外国人はミチコを組み伏せ、口を押さえた。

「〜〜〜!ングウウウウ!」
「・・・」

ミチコはもがいたが、片方の手で頭を、もう片方で背中を押さえられ、どうにも出来ない。
外国人は、その太く浅黒い腕でミチコのブラウスを裂いた。

「あああああ!」

そして、スカートを外し、木綿の白い下着をずり下げた。
ミチコの背中に上から片膝を押し付け、空いた手の中指を突きたて、
ミチコの陰部に突き刺した。

「んんんぐうううう!?いやっ、いやああグウウウ!!」

ミチコの片手が外国人のカーキ色のズボンを掴んだ。

「・・・」

その手よりも遥かに大きい外国人の手の中指が、ズブリズブリと入り込んでいく。
膜の破れた血が、中指にまとわり付いた。

一気に引き抜くと、ヌピイと音がした。

「あああああ・・・!」

中指についた血を、外国人はペロォと、音を立てて舐め、口を緩ませた。

「いやああ・・・どうしてっ・・・ぐっ」

ミチコは引き起こされると、いつの間にか出ていた外国人の陰茎の前に顔を引き出された。

「あっ・・・!い、いやっ!そんな!い!がっ!」

拒否して叫んでいた口に、そのまま陰茎がぶち込まれた。
ミチコは歯を立てたが、先ほどの中指の間接でこめかみを叩かれ、クラッとして、
そのまま良い様にされた。

ジュプウッ、ジュパアッ、ヒチイイイイ

そんな音がする中、急に陰茎が抜かれ、
ミチコもいよいよ何が起こるか悟った。

「だ、だめ・・・!」

小学生とは言え、何が起こるか分っているのだ。
身体的な意味での処女は、既に先ほどの中指で失われている。

ガタガタと震えて動けない、小さなミチコの腰を抑え、
薄い血で汚れた陰部もいよいよ開かれ、外国人は陰茎を打ち込んだ。

「ああああっ・・・があっ!」
「・・・!」
「ひぎいいっ!ふとっ、いっ!だ、だめええ!出して!ええええ!」

外から見ても分かる様に、外国人の陰茎は、当然ミチコの膣に受け入れられるサイズではない。
だが、無理やり押し広げる様に、外国人の陰茎が突き進んでいく。

「あああああっ!があああ!」

子宮の奥底で、ガンガン何かが当たる。
何かとはそれこそ陰茎なのだが、ミチコはもう何にも考えられなくなっていた。

「ひ、ひいいい・・・」
「・・・!」

ズッと音がして、ミチコの白目を剥いた。

「・・・ひい」

そして、外国人は陰茎を一段と強く振り入れた時。

「・・・あっ!」
「・・・!!」

精液がとめどめとなく溢れ、ミチコの腹の奥で音を立てた。

「あああああ・・・」
「・・・」

外国人は、やや白くぬめる陰茎を引き抜き、ミチコの下着で執拗に拭いた。
血と精液で汚れたミチコの陰部は、グロテスクに輝いている。
外国人はそれもふいてやろうとしたが、ミチコが何も言葉を発さなくなっている事に気付いて、
そちらに気が移った。

「う、う・・・」
「・・・」

外国人は、ミチコの口にホイッスルを当てた。

ピイ・・・ピイ・・・ピ・・・



そのまま、外国人はミチコの体を抱き上げ、そしてそのまましばらく立っていた。
もう、景色の向こうでは夕焼けが見えつつある。
そして、いつからか聞こえなくなっていた和太鼓の音を思い出して、町を見下ろした。

かわりに、別の音が聞こえてきた。

バララララララ・・・

ヘリコプターの音だ。

「○○・・・×!・・・△△☆√!」

外国人その人に当てられたその内容は、ただ『帰投』を呼びかける物だ。

「・・・」

ヘリコプターがどこを見ているか知らないが、ただ、この手元の少女が急に邪魔になった。
外国人は、注意柵の向こう側に抱いている少女を出し・・・そのまま、ゆるやかな崖の下に落とした。
最後にピーとホイッスルの音を聞いた気がしたが、外国人にとってはすでにどうでも良いことだったのだ。

斜面にに叩きつき、糸の切れた人形のように少女はドカドカと転がり、木の根元に引っ掛かって止まった。
そしてそのまま動かなかった。

「い、いま・・・なに・・・を・・・」

振り向くと、ランニングシャツと青い半ズボンの少年が、こちらを見ていた。

今していた事を、どこからどこまで見ていたのか知らないが、
外国人と目が会うと・・・少年は失禁し、腰を抜かした。

「う、うあ、うああ」

外国人は、腰の後ろから、小さなナイフを取り出し、息を吐きつつ少年に迫った。


〜〜〜


『外兵一名が基地に無帰還 日頃の差別が原因か? 司令は帰投呼びかけ』

そう書かれた記事に、手がポンポンと当たる。

「ミチコがまだ帰ってないんです・・・」
「えっ・・・」

ミチコの母親は夕刊を持ちつつ、ご近所さんに娘の帰りが遅い事を触れ回り始めた。
その途上で、ケンジという少年も帰っていない事が分った。

まだあまり広まっていないその子供不明のニュースをよそ目に、
街中では物々しくメッセージを流すジープが走り、空にはヘリが飛んでいた。
そして大人たちはそんな事に目もくれず、明日の祭りの為に、まるで今から祭りが始まるような雰囲気で
入念に準備を始めている。

和太鼓も、最後の練習が始まった。

ドンドンドコドコ・・・

太鼓の音が響くのを背に受けながら、あの外国人は、機関区に入り込んでいた。

汽笛を鳴らし、今まさに発車しようとする貨物列車の荷台に乗り込み、
血で少し汚れた腕を、あの少年のランニングシャツで拭き落としていた・・・

沈みきる直前の夕日を見つつ、外国人の口は、少し微笑んでいた。

(終)


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