廃人の廃人氏・作


 廃人の廃人さんによるオリジナル短編「すごいぞロボットきぼう」の続編です。

 廃人様は「前の話とはあまり繋がりは無いかも」と仰っていますが、キチンと続編になってると思います。

 さて、エロエロ大暴れをして姿を消したロボットきぼうは、その後アメリカで兵器として量産されることになり・・・・ってアイアンマン2みたいだな(^.^)


ホコリ一つ無い、真っ白な内装の工場。

精密機器が一つ一つ組み合わさり、人型の何かに変わっていく。



「いよいよ、兵器の自動化ではなく、兵士その物の自動化に変わるのだ」



白衣を着込み、ガラスの向こうのコンベアや機械を眺めるアメリカ陸軍技術局の高官は、 誰に言い聞かせる訳でもなく、そうつぶやいた。

隣に居る担当者は構わず説明を続けている。



「月間一万台のペースでロボットが生産されています」

「来年の機械化閲兵式には間に合うだろうな」 「もちろんです」

「しかし、ミスター・トミノが去年行方不明になった事は痛かったな」



声だけが響く、非常に静かな空間で、二人は窓の向こうを見つめ続けている。



「……ヒトよりも信頼性のある、兵士、か」

「彼らは徹底的に破壊されるまで戦い続けます、投降などしません」

「最後まで戦う、裏切らない、最強の、兵士……」



二人は、次の部屋に向かった。



「これが完成系か……」



そこには人型のロボットもあれば、戦車の上に球体のモジュールをつけた物もあり、 また以前から投入されている無人戦闘機をやや大型化した物もあった。



「空軍は空軍の自動化、陸軍は陸軍の自動化…と言う時代は終わり、今や全て統合自動化されるのだ」

「……しかし、プロトタイプの暴走……いや、そうなったらしいと言う情報を無視して宜しかったのですか?他にも失踪後にロボットによると見られる様々な怪 事件が……」



そう疑問を呈した担当者に、高官はギロリと睨み付けた。



「日本の研究者が設定を間違え、更に部屋にガスが充満していて、プロトタイプのテストの電撃に引火してしまった、それで悪いか?」



「……」

「これはプロトタイプより改良を受けている、絶対に統合司令部の命令に逆らわない、そうだろう?」

「はい、そうです……」

「ふん……統合司令部による統合操作案もミスター・トミノの案に沿っている、何ら間違いは起きない」



高官は視線を移した。

部屋の一面は壁面全てがモニターになっており、世界地図が映し出されている。



「中東も、ロシアも、中国も……いずれ、全て、アメリカの手に……」





〜〜〜





翌年の春。

ワシントンDCに続くスーパーハイウェイは道路規制が敷かれ、 スカスカの貸しきり状態の道を時速300Kmの巨大な高速トレーラー二十台と警護の軍車両が疾走する。

既にゴムタイヤなど使われておらず、定期的な接近通知音以外には一切の騒音を出さない車両たち。



「今、俺たちが運んでいる物は……いずれ、俺たちの仕事を奪うんだなあ」

「そう言うなよジョン、こんな時代でもロボットに出来ない事は沢山ある」

「忌々しい日本生まれのロボットだぜ、俺の爺さんの頃のジャップと同じ様、俺たちの仕事を絶対奪うさ」

「だから、軍隊に限ってそんな事は無いさ……依然、社会は『人殺しだけは人間の手で』って風潮だろ?」



先導する車両の一両では、運転手と助手がそんな話をしていた。



「な、昨日のホロテレビ見ただろ」

「ロボット特集か?見てないぜ……俺たちはあんなのよりずっと機密に触れてるんだ、あれを見てどうするんだ?」

「だからさ、社会がロボットを、いやロボット兵をどう考えるか、って訳さ」

「何か面白いこと言ってたか?」

「生まれの日本じゃ、何でも市民団体が『プロトタイプが大量殺人した、政府が隠蔽した』なんて陰謀論言ってるらしいぜ」

「良くある事だな」



その時、通信が入った。



「先導車両隊、コロンビア特別区に入り次第自動運転を解除し、国防省ゲート1より待機場所へ進入せよ」

「了解」





〜〜〜





その時、国防省に設けられた臨時の統合司令部は、まるでパーティの様に飾られていた。

天井や壁にはモールが垂れ下がり、星条旗や万国旗もそこら中に渡されて、特にモニターの上の電子ホロボードには『ガラクタ記念日!』と映し出されている。

しかし場所の雰囲気と違って職員たちは真面目に働いている。

モニターに映し出されているトレーラー隊の到着はもうすぐ終わるのだ。



「見ろよ、どんどん来る」

「あのトレーラーも特注なんだな」

「一両につきヒューマンタイプなら約五千体、中に折り曲がった状態で格納されている……その他にも別のタイプがある」

「ほお……」



そしてワシントンDCで行う閲兵式を小規模にしたような物が、ワシントンでの大閲兵式と同時に

ニューヨーク、シカゴ、ヒューストン、ソルトレイクシティ、ロサンゼルス、ホノルルでも行われるのだ。



その時、急に画面が変り、通信が入った。



「こちら輸送隊、進入を完了した」

「了解、監査を終え次第、閲兵会場への移動を開始せよ」



職員たちは急いで持ち場に着いた。



だがこの時、国防省のすぐ近くでは……。





〜〜〜





まさに、国威が凝縮されている閲兵会場。

星条旗が沢山翻り、軍楽隊の配置も既に終わり、軍人役人、物好きな市民、小学生や中学生たちの見学……そして最後の新ワシントン広場では、共和党の大統領 一家が待ち構えている。



「パパ、今度のロボットって怖いの?」

「ハハハ、ジャクリーン、怖くないよ」

「そうよ、人間の奴隷よ、ウフフ」



テキサス州選出でWASPで富豪で保守派で声がやたら大きいジョージ・W・ヤング大統領とファーストレディーのマリー、

そして「アメリカの娘」「世界一可愛い娘」と呼ばれる、一人娘で10歳のジャクリーン。



「ハハハ、ロボットたちが歩いてくればジャクリーンにも分かるさ、ロボットは良い玩具だ」

「じゃあ、私、誕生日にはロボットを十万台ほしい!」

「ああ!良いお願いだな!考えておこう!国でなくて一家で十万台、強いアメリカの象徴だ!ハハハ、ハハハ!」

「ウフフ!ウフフフフフ!」



笑ったマネキンの様な面の夫妻の間で、ジャクリーンも金髪の髪を揺らしながらケラケラと笑った。

白いドレスはいつもの世界中に愛されるジャクリーンを、より高貴に引き立たせている。

その一家を、反対側の政府高官席から、ダン・クエール・ジュニア副大統領が眺めていた。

しかし眺めるのも早々に止め、側にいる高官と共に、これまでを振り返り始めた。



「しかし一年で良くここまで揃えられた物だな、私も計画の一部を担ったがここまでスムーズに行くとは思わなかった」

「あの日本人の計画……恐ろしいほどまでに完璧でしたね」

「ああ……しかしその日本人と、プロトタイプの行方が判らないのが問題だ……」





〜〜〜





正午。

閲兵式のコースに騒々しいファンファーレが鳴り、開始地点にトレーラーが乱れず到着する。



そして、全てのトレーラーの側面が開き、そこからロボットが多数収納されたラックが現れた。

全てのラックからロボットが規則正しく降り、それぞれ行進を開始していく。

顔とされる部分にはただ一筋のアイ部分と、様々な状況を察知する球体センサーが出っ張っているだけである。

ロボット達はただ頭の側面と胸、背中に米軍機のマークを示し、行進する。



会場から割れんばかりの拍手が鳴り響いているが、ロボット達は表情を示す事も無ければ、 歩調を一センチも乱す事も無く、着々と行進していく。

銀色にきらめく、親しみの無い無表情のロボット達は、むしろ観客たちに「兵器」を印象付けていた。

さらに、後ろからは戦車型ロボットが進み、上空には統合無人航空機が飛んでいる。



観客たちが大歓声を上げている。



「パパ、あいつらなら徹底的に世界中のどこの奴もぶっ殺してくれるね!」

「ああ!最高にぶっ殺してくれるぜ!」



世界中から来た来賓たちも、舌を巻いてそれを見つめている。



「わが国の軍事も……遅れを取っているな」

「どうしたものか……」



 ニューヨークでも、シカゴでも、小規模とはいえ同じ様なロボットの行進が行われている。

アメリカの威信を見せ付ける、間違いなく百年に一度と言う規模の大威信行事だった。



一時間掛け、ロボット兵は新ワシントン広場に集結する。



「パパ、ロボットが沢山来るわ!」

「どうだ、凄いだろ、ジャクリーン」

「凄いわ!凄いわ!」



可愛く飛び跳ねるジャクリーン。

ホロテレビの自動カメラはロボットよりもこの娘を写していた。

アナウンサーもそれにあわせ実況する。



「見てください、ジャクリーンちゃんが喜んでおります、素晴らしいですねえ!可愛いですねえ!」





〜〜〜





国防省の入り口に、怪しい人型の物体が堂々と現れた。

警備システムは自動化されているとは言え、実力行使のために守衛も置かれている。

守衛たちがその物体を電子双眼鏡で眺めた。



「おい、ロボットだぞ」

「なんだ?ここでも行進するのか?……なんて訳ねえな、おい、止めて確認しろ」

「どこかの金持ちの家から飛び出した家政ロボットじゃないか」

「しかしゴツイな」

「長官のオモチャじゃないか?」



守衛達は能天気だった。

この時代、設定のなってないロボットが町を忠実に徘徊してしまう事は良く有るのだ。

守衛が三人で近づく。



「こちらゲート部、怪しいロボットを捕捉した」

「了解、確保せよ」



しかしロボットは平然と歩いてくる。



守衛たちは絶対コード装置を取り出した。

この装置は国家とロボット会社の協定で、警察や軍がロボットの動作を 一方的に止めさせる様に出来る装置だ。



「コード発信」



しかしロボットは止まらない。



「?……コード発信、コード発信!」



ロボットは守衛たちの目の前まで平然と歩いてきた。



「おい、効いてないぞ」

「何故だ!」

「爆弾かも知れん!遠隔で止められないなら本部に連絡を……!?」



その時、ロボットは目にも留まらぬ速さでブレードを振り、守衛たちを殺した。



「……」



胸のプレートは未だ輝きを失わない。

「きぼう」だった。



警報装置も何も作動しない中、きぼうは歩み続ける。



(Walk,Walk)



この時既に、国防省の電子警備システムは完全にきぼうに乗っ取られ、きぼうに干渉しない状態になっていた。

きぼうは難なく国防省のゲートに入ったが、外の状況に全く気付いていない、数少ない電子化されていない部門の受付嬢がロボットを呼び止める。



「ちょっと、ロボットは使用機関証明を」



ホールには殆ど人が居ない。



きぼうは胸のプレートを外して差し出した。



「ちょっと、名刺じゃなくて電子認証を……!」



差し出したプレートを持ったきぼうの手が、そのままスパッと受付嬢の首をかっ裂いた。

ここからきぼうは速度を速め、的確に統合司令部までのルートを得て、すぐにその方向へ向った。



(SEARCH ROOT)



統合司令部へ至る廊下に入ると、そこには先ほどと違って多くの人間が居た。

慌しく動いていた職員達も、ロボットがこんな場所に来る事に驚いているようだった。



「おい、ロボットが居るぜ」

「何だか今度の軍用に似てるな」

「止まれ、誰のお使いだ?」



きぼうの前に立ちはだかった職員は、次の瞬間下腹部からバッサリ裂けた。



「う、うやああああああ!」

「な、何だ!」

「応戦、応戦しろッ!」



しかし逃げたり応戦しようとしたり対応がバラバラな職員たちにきぼうは一瞬で迫り、電子音を出しながら蹴り飛ばした。



「ウギャッ」

「グゲッ」



側面に職員達の血反吐がこびりつく

きぼうは一気に統合司令部に突っ込んだ。



「な、何だ!」



統合司令部内に居た多くのエンジニアたちが入り口に振り向く。

しかしその次の瞬間、きぼうの腕元が光が飛び散り、一度に何人も殺し始めた。



「うわあああああああ!」

「緊急信号を送れ!」

「通信が……き、効かない!うわあああああああああ!」



通信も既にきぼうに乗っ取られていた。

ある時点から、既に国防省はきぼうの掌の上で「許された通信」を行っていたに過ぎなかったのだ。



「うわ、うわ、うわあああああ!」

「こちら統合司令部!誰か応答してくれ!こちら……ひいいいッ!」

「アナタガタノ ツウシンハ キョカサレテイマセン」

「な、な、なにっ」



英語で伝えるきぼうの優しさを理解せず、生き残ったエンジニアはなおスイッチを押し続けた。

しかしもはや何も反応する事は無い。

モニターの中では、統合司令部の指揮下を離れたロボット達が未だ行進している。



「ひ、ひい……」

「アンシンシテクダサイ イタクアリマセン」



そう言いながらきぼうは最後のエンジニアの頭を、果物を握りつぶす様に処理した。



「……」



もはや、何も止まる事は無い。

きぼうは、指を目の前のコンピュータのアクセスソケットに差し込んだ。

そして、自分の創造主が仕込んだ魔法の言葉を吹き込んだ……。





〜〜〜





広場に整然と、一ミリの誤差も無さそうに並んだロボット兵達を前に、大統領はマネキンの様な笑顔を見せていた。



「ハハハ!素晴らしい兵隊だ!来なさい、マリー、ジャクリーン!」



人間のSPと高官に囲まれつつ、大統領は演説マイクの前に立った。

観客たちの大きな拍手に包まれる。

その間もロボット兵達は一切動かない。



数万のロボット兵と、それを上回る観客、そして若干の警備兵、残りの町並み。

これが大統領の視界の全てだった。



「アメリカ合衆国大統領として、今日この日を……」



次の瞬間、何の脈略も無く、ロボット兵達の目が赤く光った。

そして、最前列のロボット兵達が大統領の方向に向け一斉射撃し、その他のロボット達は一度に広場会場のあらゆる方向へ散っていった。



「グワッ」



一瞬、何が起きたのか判らない。

ただ、この瞬間に一度に数百人の命が消え、さらにこれからその連鎖が続くのだ。



ヤング大統領の横に居たジャクリーンは、父親の頭が吹き飛ぶ状況を一瞬理解できなかった。

周りのSP達もバタバタ倒れていく。

母親も光線に吹き飛ばされた。

自分だけが突っ立っている。



最初の一秒間に、ロボット達は的確に人間を殺戮した。

二秒ほどして、ようやく人間たちは大きな悲鳴を上げ、四方八方へ逃げ始めた。

しかし十万のロボット兵は、それぞれぶつかる事も相撃ちになることも無く、

的確に一人ひとりの人間に狙いを定め、殺戮を行っていく。



「うぎゃあああああああ!」

「に、にげっ、ひぎいいっ」



ジャクリーンはただ唖然としたあと、大きな声で叫んだ。



「パパ!ママァ!」



偶然にも最初の十秒を生き残っていたテレビクルーは、その状況を写した。



「だ、大統領夫妻の安否不明ッ、ジャクリーンちゃんは生存ッ」



次の瞬間、自動カメラもリポーターも遠くからのロボット兵の銃撃により破壊された。

そのすぐ近くでクエール副大統領も拳銃でロボットに応戦していた。



「このっ!このっ!俺が生き残れば、大統領にッ!」



しかし、近づいてくるロボット兵には効いていない。

無言のロボット兵に、他の市民と何の代わりも無く、副大統領の頭部は叩き潰された。

見学に来ていた学生達の列にもロボット達は容赦なく襲い掛かった。



「うぎゃああああああ!」

「パパアアアア!ママアアアアアア!」



無言で子ども達を踏み潰し、殴り倒し、刺し殺し、撃ち殺していくロボット達。

しかし、男児達や多くの女児が殺されていく中で、少々の女児は殺されず、何故かロボットに抱えられた。



広い道路に光線と爆音が響き、無数の人間が無数の死体に変っていく。

市民達は右往左往しながらもロボットたちが行進してきた方向へ悲鳴を上げながら逃げていくが、その頭上にまたロボット達が群がっていくのだった。

そして、市民達の前に、ガトリング砲を装備した掃討戦型車両ロボットが立ちはだかった。



「う、うあああ!」

「伏せろッギャアアッ」



蜂の巣にされていく市民。







〜〜〜





この時、アメリカの各都市同時に行われていた閲兵式でも同様に、 ロボット兵達は瞬時に、何の前触れも無く、人間に対する殺戮を開始した。

人間の前面に立つ筈だったロボットは、今や単なる殺人兵器である。

アメリカの人口は見る見る減っていく。

世界に驚愕の声が広がっていく。

ロボットたちは閲兵式会場周辺の人間を大体殺し終えると、郊外へ向っていった。



「フアアアアア」

「……」

「おい、今起きたんだ、冷蔵庫に牛乳あるか……おい、面白そうな番組見てるな」

「……ちょ、ちょっと……」

「なんだこれ、ターミネーチャンか、それともトランスホーマーシンプソンの最新作か?」

「……判らないけど、これ、大変な……」



夫婦の見ているテレビの画面には、ロボット兵が市民を虐殺していく情景が写っている。



「面白いなあ、今度のロードショーか?でも予告編だけが面白くて本編がダサイって映画あるよな」

「違うわよ、これ本当の……」



その時、家の壁に大きな穴が開き、夫婦は吹き飛んだ。

戦車型ロボットが、このロサンゼルスの郊外を無残にも破壊していく。





〜〜〜





きぼうは、国防省での殺戮を終えロボット達へのアクセスも終えると、国防省を出て直ぐに、新ワシントン広場に降り立った。

即座に、周囲からランダムに選ばれた数体のロボット兵が寄ってくる。



ジャクリーンは壇上の死体の山に隠れ、ガタガタ震えていた。



「ぱ、パパ……ママ……!」



その時、ジャクリーンが陰に隠れていた死体が蹴飛ばされ、そこにきぼうが現れた。



「きゃ、きゃあああああ!」

「アナタハ ダイトウリョウノ チョウジョノ ジャクリーン チャン デスネ」

「ひぐっ、ひぎっ、いや、いやあああああ!」



訳もわからず叫んでいるジャクリーンを捕らえ、きぼうはジャクリーンの衣服を裂いた。

白い下着が露わになるが、それさえもきぼうは引きちぎる。

ジャクリーンの白い全裸は、きぼうのの目を奪わない。



「きゃ、きゃあああ!何するの!」

「アナタハ セカイテキニ ユウメイナ ジョジデアルノデ トクレイニヨリ オカシマス」

「お、犯すって……」

「A-304 カメラヲヨウイセヨ」

「ピーッ」



A-304と言うロボット兵は、即座に飛び上がり、三十秒もしない内に、共和党宣伝部と側面に書かれた自動カメラを抱えてやって来た。

報道陣に使われていたのだろう。



「ゼンセカイネットホウソウニヨッテ アナタトワタシノ セッショクハ ジンルイニシメサレマス」

「示されてどうするの!やめてっウグッ」



きぼうは殺さない程度にジャクリーンの喉を掴み、体を引き寄せた。

きぼうの股間にあたる部分から、銀色に輝くウネウネとした物体が現れる。

その時、周囲から更に……女児を抱えたロボット兵達が整然とやってきた。



「ニンゲンニ トクニ シンリテキナ ショックヲアタエルノハ コノヨウナシュダンデス」



ジャクリーンも、つれてこられた数十名の女児も、皆裸にされ、悲鳴を上げている。

もう周囲では直接の殺戮は行われていない。

遠くから叫び声やや銃撃音が聞こえるが、いずれ静まるだろう。



「ヨウイ」



通常のロボット兵達の股間にはきぼうと同じものが無かった。

代わりに武装の一つである電磁スティックの柄を握っていた。



「アナタヲ オカシマス」



きぼうは、泣き喚くジャクリーンを持ち上げ、自分のウネウネ動く物に引き落とした。



「ひぎっ……ぎいいい!」



ジャクリーンは金髪のロングヘアを揺らしながら叫んだ。

自分のあそこに、こんなものが入るなんて!



周囲の女児たちの陰部にも電磁スティックの柄が入れ込まれる。



「あああああ!」

「やめ、やめてえええええ!」



黒人の子も、白人の子も、アジア系の子も。

短い髪の子も、長い髪の子も。

背の大きい子も、小さい子も。

皆、平等にロボットに襲われている。



そしてこの情景は自動的にアメリカ中に写されているのだ。

ジャクリーンの陰部ときぼうの銀色のペニスは密着し、 銀色のペニスを伝ってジャクリーンの陰部からの血や愛液が滴っている。




「ジャクリーンチャンハ カンドガ タカマッテイマス」

「やめ……やめてっ……パパ、ママ、助けて……!」

「アナタノ ゴリョウシンハ スデニ オナクナリニナラレテイマス」

「あああっ!」

「ゴリョウシンノ シタイハ ワタシノハンケイ50メートルイナイニ ソンザイシマス」



そう、まさに機械的に答えながら、きぼうは更にペニスの駆動を上げた。

周囲のロボット兵達も、女児にスティックを出し入れする速度を速めている。



「ああああっ、いやああああ!」

「きもちいいいいいよおおおお!」

「アアアアアンッ!」



女児たちはもう思い残す事も無いように喘いでいる。



自動カメラは、きぼうとジャクリーンの直接的な性交を中心に、周囲の十数名の女児の痴態も写している。

若干の死体も写っているが。



「ああああああ!……」



一人の女児が叫ばなく、いや、動かなくなった。

ジャクリーンはその様な外部の事はもはや気に出来ず、このロボットによって自分に送られる快感に身を委ねるしかなくなっていた。

白い体にぬめりが広がっている。

愛液がジャクリーンのふとももに溢れている。



「あっ、あっ、あああん……わたし……綺麗……」

「……」



ついさっきまでセックスのセの字も知らなかった様な女児たちが、殺戮の現場において、ロボット達からの快楽のプレゼントに溺れているのだ。



「あっ、あっ、あぁああ……!」



ジャクリーンは心が高ぶるのを感じた。

そして自然に高ぶりの言葉が出た。



「かも、かもおおん!かもおおおおおんッ……!」



その時、きぼうはジャクリーンの絶頂を感知し……ジャクリーンを殺すのではなく、最高速度でペニスを駆動させ続けた。



「あああああああいやあああああああん!」



周囲の女児たちも絶頂を迎えていく。



「はああああ、んっ」

「んなあああっ」



この状況を、アメリカ中のまだ殺されずにいるテレビの前の人々はどんな面持で見つめていただろうか。





〜〜〜





地面に横たわる女児たち。

股間から愛液を垂れ流し、芋虫のようにうごめいている。



「アナタタチノ ゲンザイノ リヨウカチハ ナクナリマシタ」



きぼうの声に気を払っている女児は一人もいない。



「ジャクリーン チャン イガイノ ジョジハ ショリサレマス」



きぼうがそう言うと、まさにその通り、周囲のロボット兵達が地面に光線を当て、女児達は死亡した。

そしてきぼうに抱えられたジャクリーンは、ただ天を見つめ、何も言わず、固まっている。



きぼうはワシントンDC中心部のロボット兵と一斉に即座に通信し、状況を得た。



「ワシントン チュウシンブノ セイメイハンノウハ 0」



きぼうはそう言うと、周囲のロボット兵達を自分の周りに整列させた。

喋る事も無く、きぼうほど装備が豪華ではないロボット兵達でも、この様にして数百万と言う人を消し去った。

だがその事に驚く人間はもういない。

きぼうこそが、ロボットたちの王なのだ。



これまでのロボット生産も、閲兵式も……トミノ、そしてきぼうの計画の中にあった。

もう口に出す事も無く、きぼうは通信でロボット達に次の任務を伝えた。



(Cleanup World)



(Cleanup World)(Cleanup World)(Cleanup World)

(Cleanup World)(Cleanup World)(Cleanup World) ……



(GET ATOMIC)



次々とロボット兵達が飛び立っていく。

ある一隊は核兵器を確保するため。

ある一隊は純粋に人間を殺戮するため。

ある一隊はまた別の作業を行うため。



世界は、この日を持って新しい時代に突入した。



そしてきぼうも、ランダムに選んだロボット兵五千と共に、ワシントンから西へ向っていった。



中東も、ロシアも、中国も……と言わず、世界全て、ロボットの手に……



(終)


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