蛍火氏・作


 蛍火様による「地獄先生ぬ〜べ〜」のエロパロSSです。

 のろちゃんこと中島法子ちゃんが、エロい精霊に憑依されてセクシーロリになってしまうというオハナシです。


「ねえ、本当の事言いなさいよ!」

童守小学校5年3組の放課後の教室内に、少女たちの元気な声がこだましている。

「実は私、・・・。」

「私は・・・。」

少女たちは思い思いに、自分が気になっている男の子たちの名前を挙げている。

他愛もない、平和な放課後の風景である。

「ねえ、のろちゃんは?」

少女の中で一番大人びて発育の良い細川美樹が、クラスの中でも一番におとなしい中島法子(通称のろちゃん)に声をかける。美樹は小学生離れしたそのボディを法子の方に近づける。

「わ・・・わたし・・・好きな子なんていないよ・・・。」

法子は顔を真赤にさせ照れつつ、そう応える。

彼女は、小学5年生にして恋多き活発な美樹とは異なり、内気な少女である。そんな話を振られただけでも、恥ずかしくて顔を赤らめる。

「そっか、のろちゃんだもんね。」

美樹はこのクラスメートの事を、無意識のうちに少し馬鹿にしている。勉強ができ、そして心も優しいところがあるのは知っているが、全般的におとなしく地味で目立たない、まあそのあだ名にピッタリな一寸のろまな少女としてしか見ていない。

「やっぱねぇ!だからいつまでたってもクラスでも脇役なんだよね。恋しないキャラなんて魅力ないもんね。」

美樹が笑いながらしゃべる。

「え・・・。」

実は法子はその性格的なものからあまり目立たないが、よくよく見ると目鼻立ちは整い、また身体のラインも美樹程ではないが、女性としてのラインをしっかり形成したなかなかの美少女である。

「・・・にしても、5年生になっても好きな子一人いないなんてね。」

美樹は少し呆れた感じで他のクラスメートと話を振る。

「うそよ、きっといるよ。」

同じく5年3組の稲葉郷子が、さりげなく法子のフォローをする。

法子は軽いショックを受けつつ、図書室に本を返すために教室を後にする。

彼女は、本を読むのが大好きな少女で、毎日のように図書室に通っている。

(そんな事言っても・・・私、本当に好きな人なんていないよ・・・変かしら。)

法子は内気なだけでなく奥手な少女でもあり、男の子の事なんか考えたこともなかった。図書室に入り、図書の返却カウンターに本を置く。

「これ、返します。」

そのまま、本を置いて立ち去ろうとする法子に後ろから声がかかる。

「あ・・・あのさ。ぼ、僕5組の亀山っていうんだ。3組の中島さんだろ。おもしろい本、いろいろ紹介したいからいっしょに帰らない?」

図書委員の少年で、法子も良く図書室で顔を合わす少年である。

女の子に声をかけるのが恥ずかしいのか、亀山少年は一気に早口にしゃべっていく。

「あ、そんなの、別におかまいなく。」

亀山少年が一生懸命話しかけていることについて、異性に関して鈍感な法子は何も気づかない。それより、先程美樹に言われたことの方が気になって、亀山少年に対して全く注意がいかない。

(男の子か・・・いっそだれか誘ってくれないかしら?・・・まあ、そんな都合のいいこと、ないよね・・・。)

眼の前で、真面目な一途な少年が勇気を出して一生懸命彼女を誘っているのに、そんな事に全く気付かず、考え込んでしまう法子であった。

法子はランドセルを背負い、校舎を出る。

と、校庭の池の前で担任の鵺野鳴介(通称ぬーべー)が、暴れている。

(あ・・・先生・・・。)

この先生、ぬーベーは物凄い霊力を持ち、悪霊や妖怪が起こす様々な事件から自分の生徒たちを命がけで守ってくれる、生徒たちの身近なヒーローであった。法子自身も、怖い悪霊や妖怪から彼に助けてもらったことが何度もある。

ただ、日常においては、少し間が抜けたところもあり、法子の目から見ても子供っぽく感じてしまうような雰囲気もある。しかし、そんな人間味あふれる部分があるからかもしれないが、ぬーベーは子供たちの間で絶大な人気がある。

ぬーべーは一人で変な動きをしていた。飛んでいる虫を追いかけているようにも見えるし、1人で変なダンスを踊っているようにも見えた。

「何かしら?」

実は、ぬーベーはこの時、「パウチ」という手のひらサイズの小精霊を追いかけていた。精霊の姿は一般の人間には見えない存在なので、法子の目には彼が一人で踊っているように見えただけであった。

このパウチという精霊は少し困った存在で、とりついた人間を本人の意志とは無関係に淫らな気持ちにさせてしまう、いわゆる小淫魔であった。

(やばい、こんな精霊を・・・しかも小学校になんて!早く捕まえなければ!)

ぬーべーは躍起になって捕まえようとするものの、かわされて池に落ちてしまう。

(春だからかしら?)

法子がぬーベーの行動を不信に思っているその時、ぬーベーの手を逃れてきたパウチが法子の身体の中に入り込む。

「あっ・・・」

思わず法子の口から声が出る。

急に身体の奥の方が熱くなってきた感じがした。

(・・・なんか・・・身体が火照って・・・熱い・・・。熱かな・・・?・・・早く帰ろう。)

法子は急にだるく火照ってきた身体に驚きつつ、家路につく。













(でも・・・どうしたんだろう・・・身体が熱いな・・・。)

食後、部屋に戻った法子は身体の変化に戸惑いつつ、ベッドに横になる。

放課後、美樹に言われたことがまだ頭から離れない。

「やっぱり、好きな子がいないなんて、変なのかな・・・?」

呟いてみる。

(でも、本当にいないんだし、それに男の子ってなんとなく怖いし・・・。)

法子は寝返りを打つ。

本人は気付いていないのだが、実は熱くなってきている身体を何となく持て余している。

(私もこの内気なところがなくなれば、男の子にも興味が湧くのかな・・・?)

そこまで考えた時、法子は思い出したかのように、クローゼットの方に向かい、一着の服を取り出す。

「あ・・・あった。」

それは、1年ぐらい前に法子が母親に手伝ってもらって作った服である。

当時から、法子は自分の引っ込み思案な性格を何とかしたいと、おぼろげに考えていた。

(セクシーアイドルのような服を着てみたら、少しは積極的になれるかな?)

そんな馬鹿げたことを考え、一着服を作ってみた。身体のラインが出るようなボディコン風ワンピースである。母親もその服作りには賛成ではないものの、娘の内気さが多少でも変わるのなら、そして本人の気持ちがそれで済むのなら、と思い手伝ってくれた。でも、結局法子自身が気恥ずかしくて、一度も袖を通したことはない。

(着てみようかな?)

法子はいつもと異なり、そんな考えになる自分に少し戸惑いながら、その服に着替えてみる。

1年前につくった服は法子の現在の身体には少し小さく、ぴちぴちに身体に張り付き、裸でいるのと変わらない程、身体のラインが浮き出していた。また、スカートの丈も短くなり、太腿がほとんど露出され、一寸身体を動かすと下着が見えてしまうのではないかと思うぐらい上までずり上がっていた。

普段の法子であったなら、恥ずかしさのあまりあっという間に脱ぎ捨てたであろうこの服に、その日は何故か見惚れてしまっていた。

「何か・・・いいかも・・。」

そう思った瞬間に、法子の身体の奥がさらに火照ってきたような気がした。それは法子自身に気持ちいいという感覚を与えていた。

(私って結構、スタイルいいのかも。)

法子は自分の膨らんだ胸に手を当てる。

「あ!ああ!」

その瞬間に、心地よい波が法子の身体の中を走る。

「気持ち・・いい。」

法子はさらに胸を軽く揉んでみる。

(何だろう、この感じ・・・とっても気持ちがいい。)

法子は身体の奥底が、ドロドロと溶けだすような、そんな気持ち良さを感じつつあった。

(こんな姿を、クラスのみんなに見せたら、どんな気持ちなのかな?)

法子は身体の中から湧き上がってくる気持ち良さに翻弄されつつ、想像をしてみる。クラスの男子たちの熱い視線が自分に浴びせられることそんなことを考えていると、身体の奥底がだんだん疼いてきた。知らず知らずのうちに法子は腰をゆする。

「ああ・・・いいかも・・・・。」

甘い吐息を吐きつつ、法子は思う。

(こんな格好で、もっと堂々と振舞ったら、みんな私に釘つけされるかも。)

その想像は法子に、さらなる快感を与える。

(今の私なら、今の私なら出来そう!)

法子の中で、今まで思ったこともない自信が湧き出していた。

それと同時に、身体もさらに熱くなっていく。

「ああああ!気持ちいい!!」

法子はベッドに倒れ込み、そのまま自分の胸を揉み続ける。これまで経験のしたことない不思議な快感が法子の身体を包んでいく。

(何だろう、この感覚。はじめて・・・。でも、でもとっても気持ちいい!)

これまで性的な感覚を持ったことが全くない美少女の身体の中に、初めて快美の種が根付き始めていた。

(はやく、明日にならないかな。)

そんな事を考えつつ、法子は眠りについていく。














翌朝。

童守小学校5年3組の教室。

「おはよう!」

「おはよー!!」

子供たちの元気な挨拶の声が教室内でこだまする。

「あっ、のろちゃん、おはよ・・・??」

郷子は教室に入って来たクラスメートの気配に振り返った瞬間、驚いて息を呑む。

「はあい。グッモーニン!」

そこには、身体のラインがばっちり出ているだけでなく、下着の線まで浮き出るほどぴっちりした服を着た、しかもスカート丈は下着が見えるか見えないかギリギリのところまでしかない、信じられない程セクシーな服装をした法子が立っていた。

しかも挨拶の声はいつもと異なり、一寸鼻にかかったような妙にセクシャルな喘ぎ声のような雰囲気の声色である。

「よがってとろけてじゃじゃじゃじゃーんの、のろちゃんでーす!」

心なしか法子は腰を振っている。

教室内がその彼女の変貌に驚愕していた。

法子は皆に注目されることに物凄いほどの快感を感じつつ、お尻を振りながら自分の席に向かう。

(ああ、みんなが見ている。何て、何て気持ちがいいんだろう!)7

席の前まで来ると、法子は机に手を置き後ろにお尻を突出し腰をくねくね振りつつ、クラスの男の子たちを挑発していく。スカートがめくれあがり、下着が見えそうになる。

「ああぁぁん。ランドセルが脱げないぃぃ。法子こまっちゃうぅぅぅ。だれか、ぬ・が・せ・て!」

法子はさらに身体をくねらせる。口から桃色の吐息を吐く。

「ちょっと、のろちゃん、どうしちゃったの?!頭うったの?」

郷子が心配な顔しつつ、法子を見る。

そうである。郷子の知っている法子は、大人しく内気で真面目な少女である。こんなふしだらなことをする少女ではない。

「まあ、まって郷子。ここは私にまかせて。」

クラス一のセクシーボディを標榜する美樹が前に出てくる。彼女は小学生にあるまじきFカップの巨乳を持つ超美少女である。

美樹は自慢の身体を法子以上にセクシーに振りつつ(美樹は日頃の興味から、どういう姿態が男を興奮させるかよく知っている)、法子に対抗しつつ言う。

「ああぁぁぁんん、私もランドセルがからまってぬげないぃぃぃぃぃ。」

美樹が身体をくねらせる。

(フン、このクラスのヒロインは私のものよ!)

美樹は悪い少女ではないのだが、そういう際に対抗意識を強く感じてしまう少女である。まあ、自分の身体に絶大な自信を持っているということもあるのだが。

「だれか、ぬ・が・せ・・・」

そこまで言ってから、美樹はクラスの男子の視線を盗み見るが、男子たちは皆法子に釘付けのままである。

男の子たちはそのまま法子の方に群がっていく。

「あっ、俺がやるよ!」

「俺が!」

「いや、俺が!!」

「ああぁぁん、は・や・くぅ!」

男の子たちはみんな新しく現れたセクシーアイドルに夢中だった。

これは美樹にとっては面白くない。

「ちょっとお!あんた、のろちゃんのくせにそんなに目立っていいと思ってんの!?」

美樹は逆上していた。根は良い少女なのだが、こうなると我慢が出来なくなってしまう。

「あらぁ、いいのよ。今日から私がこのクラスのヒロインなんだから。」

法子も自信がついたのか、いつもは言い返せない美樹に対しても平然と言い返す。机の上に座り直し、高く足を組み替えたりする。男の子たちはそんな法子のしぐさから目が離せない。

「キーーーーーーッ!何ですってーーーーっ?!」

そこへ見かねた郷子が仲裁に入る。

「やめようよ、のろちゃん。無理しちゃだめよ。」

「あーら、やだ。脇役の人たちが後ろの方で何かわめいているわ。」

法子は勝ち誇ったような笑みを浮かべる。それがとても心地よかった。

身体の奥が熱くなる。

男の子たちがそんな法子を見て、同調する。

「そうだよな。のろちゃんって目立たないけどかわいいよな。」

「そうだよ。十分クラスのアイドルになる素質あったよな。」

そんな男の子たちの言い分に美樹は驚く。

これまでライバル視どころか、全く眼中になかった地味でおとなしく目立たない法子が、いきなり自分の存在を脅かす存在になったのである。美樹の驚愕ぶりはこれまでにないほどのものだった。

そんな男の子たちの言葉も今の法子にとっては大きな自信になっていく。

「そうよ・・・。今までどうしてこうやって堂々とふるまえなかったのかしら・・・。昨日までの私はいつわりの私。昨日、なぜか稲妻にうたれたように目覚めたの。」

法子は机の上でセクシーなポーズをとりつつ言う。

「今日からは、5年3組スーパーアイドル、中島法子よ!」

そのポーズに、クラスの男の子たちはみんな悩殺されていく。

普段美樹がクラスの男の子連中にしているような悩殺ポーズも、法子のような美少女が行なうと新鮮なこともあり、男の子たちはみんな鼻の下を伸ばしっぱなしになっていた。

もう誰も彼女を止める事は出来なかった。

法子は一身に男の子たちの視線が自分の身体に注がれることに、物凄い快感を覚えていた。

(そうよ、なんで今まで出来なかったのかしら。)

そんなことを考えつつ、法子はランドセルを開ける。

「あっ、そうだ。みんなちょっと待っててね。」

図書室に返さなければいけない本がもう一冊あるのに気付いた法子は、それを持ち図書室に向かった。

廊下でも法子は他のクラスの男の子たちの視線を感じつつ、腰をくねくね振りつつ図書室に向かう。

返却カウンターには、昨日声をかけてきた内気な図書委員の少年、亀山がいた。

「や・やあ。」

亀山は顔を赤く染めつつ、法子に挨拶をする。

そんな亀山少年に見つめられた瞬間、法子は心臓がドキッとするのを感じた。

そのまま鼓動は早くなり、おさまらない。

(え・・・?え・・・?何、このドキドキは・・・!?)

この感覚も奥手な法子には初めての感覚であった。

「え・・・あ・・・あ・・・。」

法子は上手くしゃべろうとするも、心臓がドキドキして上手くしゃべれない。

「昨日・・・ことわったりして・・・ごめんね。」

つい、そんな言葉が口からこぼれ出す。

「う・ううん、そんな。」

亀山少年はセクシーな法子に照れつつ、しどろもどろに答える。

一方の法子はこの心臓のドキドキ感が何なのかまだわかっていなかった。

(この子とは毎日ここで顔合わせていたのに・・・。なんでドキドキするんだろう。)

そんな事を考えつつ法子は、この少年ともっと話をしてみたいと感じている自分に気付く。

「あ・・・もし良かったら、今日いっしょに帰ろうよ・・・。」

法子は顔を赤らめながら亀山に告げる。

「え!ほんと!?」

亀山は天にも昇るような顔をして喜んでいる。そんな様子が法子にも嬉しかった。顔が火照り、心臓がさらにドキドキと鼓動を早くするのがわかった。身体の奥の方も熱くなるようであった。

法子は図書室を辞しながらこの鼓動、そして今感じている感情を理解する。

(そうか・・・これが・・・!)













ぬーベーは疲れていた。昨日1日、小精霊パウチを探し回っていたのである。

(あーあ。もう昨日はパウチのせいでひどい目にあったよ!それにしても、いったいどこに隠れたんだ、パウチのやつ・・・。)

教室の前まで来ると、いつも以上に中が騒々しいのにぬーべーは気付いた。

「こらこら、いつまで騒いでいるんだ、お前たち。」

呆れ声を出しつつ教室内に入ったぬーベーは、セクシーポーズをつけている法子とそれを囲むように見ている男子たちの群れが目に入ってくる。

「パ・・・パウチ・・・か??」

ぬーベーはその場でこけつつも、法子の中に探していた問題の精霊パウチの存在を感じる。

ぬーベーは起き上がりゆっくり法子に近づく。

「法子・・・お前は悪い精霊に憑りつかれているのだ。さあ、おいで。元に戻してあげよう。」

ぬーベーは除霊しようと、法子に声をかける。

「えっ!」

法子の頭の中が真っ白になる。

(悪い精霊がついているの・・・?)

横で美樹が勝ち誇ったかのように言う。

「やっぱりそうね!してやったりー!!」

美樹にしてみればクラス一のセクシーアイドルの座を法子のような内気な少女に奪われたことが信じられなかった。でも、妖怪の類のせいであればそれは納得できる。法子の力ではないからだ。

法子の変貌をずっと心配していた郷子はぬーベーに懇願する。

「ぬーベー、早く除霊して!手足をおさえつけといてやるから!」

ぬーベーは除霊用の経文を手に、法子に近づく。

「さあ、法子。くるんだ。」

真面目な優等生である法子のことだから、悪い精霊に憑りつかれたとあれば、すぐ自分に除霊を願うだろうと、ぬーベーは少し高をくくっていた。

「いやよ!」

法子はそんなぬーベーの隙を突くように踵を返し、教室の外に逃げ出した。

「おい、法子!」

想定外の法子の行動にぬーベーは戸惑う。

「まて!逃がさないわ!!」

逃げ出した法子を、それぞれの想いから追いかける郷子と美樹。













法子は放課後まで校内を隠れまわっていた。

ぬーベーに見つかり、除霊されることを恐れていた。

放課後の校門前には何も知らない図書委員の亀山少年が法子を待っていた。

法子は周囲にぬーベーや郷子・美樹がいないのを確認すると、亀山に向かって走って行った。

「ごめんねー、まった?」

亀山の前に立つと法子の心臓は再びドキドキと鼓動を早くした。

「ううん、全然。」

亀山少年も頬を赤らめ、紅顔の美少女が来てくれたことを喜んでいた。

そんな亀山の様子が法子にはとても嬉しく感じられた。

その衝動のまま法子は亀山少年に抱きつく。

心臓の鼓動がさらに激しくなる。また、身体の奥底がカーッと熱くなっていく。その感覚は法子にこれまで以上の快感を与え始めていた。昨日胸を触った時や、今日男の子たちの視線を一身に受けた時以上の快感を・・・。

(こんなにドキドキするのは、きっとぬーベー先生の言う通り悪い精霊のせいだわ・・・。もし精霊を除霊したりするとこの気持ちは消えてしまうんだ。いやっ、私一生このままでいたいよ・・・。)

法子は自信を持てたことではなく、この甘酸っぱいドキドキした快感をこれからもずっと感じていたかった。内気な恋も感じたことのない美少女は、この切ない快感をずっと持ち続けていたかったのである。だから、除霊されたくなかった。

「いこ。」

法子は本能が求めるまま、少年の腕に身体を擦り付けながら歩く。

亀山少年はもう舞い上がりっぱなしであった。

(私、内気でのろまだから・・・除霊しちゃったら・・・もう二度と・・・こんな風になれない。)

法子は舞い上がっている少年の様子を見るだけでとても気持ち良いと感じた。身体がキュンキュンなってくるような、そんな快感も感じていた。それがどういう快楽なのか、知識も経験も何もない法子に知る由もなかったのだが。

(きっと・・・こんなしあわせな気持ちにはなれない・・・。)

法子はそう思いつつも、身体がさらなる快感を求めようとし始めていたことにまだ気付いていなかった。

「ねえ、疲れたわ。少し休んでいきましょうよ。」

法子は少年に笑いかけながら、彼を公園のベンチに誘う。

二人並んでベンチに座ると、少年は照れくささから顔を赤らめ、どうして良いかわからないような顔をしていた。

法子の心臓はさらに鼓動を早くしていた。

そして、身体は・・・法子の身体は少年に触れて欲しいと疼き始めていた。

法子は少年の胸に手を触れる。

真面目そうな少年の目と視線が合う。その瞬間、法子は少年とキスをしたくなる。法子は何も考えず、そのまま目を閉じる。

少年の目の前に美少女の無防備な顔が迫る。

法子の心臓はどんどん高鳴っていく。

少年の頭の中はもう真っ白だった。

本能の赴くまま、美少女の唇に自分の唇を重ね合わせる。

「ん!!・・・んんん!!」

その唇の感触に悶えつつ、法子は少年の身体を引き寄せる。法子の身体の中がドロドロと溶けだすように熱くなっていく。

(ああ・・・私、キスしてる・・・!キスしてる・・・なんていい気持ちなの!!)

法子は少年の唇の感触に酔っていた。

(これが、キスなの?・・・キスなのね!なんて素敵なの!!)

そう思うと、身体の奥底がさらに熱くなってくる。

(やだ・・・身体が熱い・・・よくわからないけど・・・よくわからないけど・・・いい気持ち!もっと、もっといい気持ちにさせて!!)

法子は身体の欲求に耐えきれなくなっていた。

法子の右手が少年の左手を取る。そして、その手を自分の胸元に誘導していく。

(そう・・・そうなの。私の胸・・・触って欲しい・・・。)

少年の手が法子の膨らみに触る。

「ああ!!」

法子は少年の唇から自分の唇を外し、熱い息を吐く。

胸から激しい刺激が法子の身体を駆け巡ったのである。

「あ!いい!!」

法子は自分の胸をもっと強く掴んで欲しく、少年の手の甲の上から自分の胸を揉みあげる。

「はあ!」

電流に似た快美な感覚が身体を駆け抜け、法子を混乱させる。

(何だろう、この感覚!でも・・・でも・・・とっても気持ちがいい。)

法子ははじめて感じるその感覚に戸惑いつつも、身体が求める方向にどんどん転げ落ちていった。

一方の亀山少年は法子以上に混乱していた。

ずっと片思いしていた美少女がこんな風に自分の腕の中にいるのである。そしてキスまでしてしまった。頭の中は真っ白で、何をしたらよいかもわからず、いやそれ以上に何も考えられず、ただただ本能で動くしかなかった。

少年は再び少女の可憐な唇に貪りついた。

「あっ、はあ。」

押し付けた唇と唇の隙間から、法子の熱い息が漏れる。それが少年を更なる興奮へと導いていく。

少年は触れている法子の胸を本能の赴くまま強く握りしめる。

「ああっ!!はう!!」

法子が唇を外し、一寸甲高い声をあげる。

痛かったのではない。先程以上の快美な刺激が法子の胸から全身へと走り抜けたのであった。

「あっ、ごめん・・・。痛かった?」

少年は慌てて美少女に謝る。自分の身体が求めるままに動き、少女を傷つけたのかと思ったのである。

「ううん・・・。そんなことない。とっても気持ち良かったの。だから・・・もっと・・・して・・・。」

法子はうるんだ目で少年を見上げ、そう言う。それは本音だった。法子の身体の中は少年に触れられるたびに熱く疼き、さらなる刺激を求めていた。

少年は唇を重ね、そして法子の身体を引き寄せ、そしてその可憐な胸を揉みほぐしていく。

法子の身体の中心は熱く溶け、痺れるような感覚をもたらし、そしてドロドロとした熱い液体をどんどんと生み出していた。

(ああ・・・何?この感じ??・・・気持ち良くて、何だかよくわからない・・・。熱いの・・・身体が熱くて・・・中が溶けているみたい・・・。)

法子の身体の中心はこの快楽に初めて、そして激しく反応し始めていた。そして熱い液体をじくじくと作りだしていた。そんな経験は法子にとって初めてのものであった。そしてその液体は法子が気付かないうちに体外まで流れだし、彼女の下着を濡らしていた。

(ああ・・・熱い・・・熱いの・・・。身体・・・溶けているみたい・・・。ああ!いい気持ち・・・あっ・・・ああっ・・・私・・・おしっこ漏らしちゃったのかな・・・?なんかあそこが濡れちゃっているみたい・・・。)

法 子はまだ身体が濡れるということを知識としても持っていない。少年から受けた刺激がパウチの妖力で増幅され彼女の女性器を刺激したことから、彼女の身体からは愛液が止めどもなく出てきている。しかし、愛液の存在すら知らない彼女にとっては、下半身を濡らす存在は小便ぐらいしか想像が出来ないので、そう考えてしまっても無理のないことだった。

(ああ・・・でも・・・気持ちいいいの・・・!!濡れちゃったけど・・・濡れちゃったけど・・・そこがとってもいい気持ち!!)

法子はその快美な疼きに逆らえず、腰をむずむずと動かす。

(おしっこ漏らすような女の子・・・どう思われるのかな・・・?でも・・・ああ・・・でも・・・なんか気持ちが良くて、どんどんおしっこ出てくるみたい!!)

法子は快美な感覚に流され、太腿をすり合わせる。と、刺激的な考えが頭をよぎる。

(あそこを・・・あそこを触って欲しい!)

法子はもどかしさを感じつつ、太腿を再びすり合わせる。

その部分を触って欲しいと思う。

(ああ、そこ・・・そこに触れて欲しい!!・・・でも・・・でも・・・そこ触られたら、おしっこ漏らしているのを知られちゃう・・・!!)

そう考えつつも、湧き上がってきたもどかしさには勝つことが出来ない。

法子は彼女の胸を激しく揉み解している少年の手の甲を包むように掴む。そして、その手を自分の下半身に誘導していく。

(ああ・・・そこ・・・そこを触って欲しいの。)

少年の手が法子の内股に触れる。

「あ!あああっ!!」

法子の身体の中を電流が駆け抜ける。

法子はそのまま、両脚の付け根に向け少年の手を誘導しようとする。

(ああ・・・そこなの・・・もう一寸先・・・もう一寸奥・・・触って欲しい・・・。ああ・・・来て・・・!)

法子がそう思った瞬間。

「きゃあああああああ!!」

激しい電撃が、これまで感じていたような快美な電流とは違う、ただの電気の流れが法子の身体の中を駆け廻る。

バリバリバリ!!

激しい電撃に亀山少年もびっくりして、法子から身体を離す。

法子の身体に経文が巻き付いていた。

「白衣霊縛呪!!」

ぬーベーの声が公園に響き渡る。

経文を使った強制除霊の技であった。

たまらず逃げ出した精霊パウチをぬーベーが捕まえる。

「このイタズラものめ!」

ぬーベーはそのまま精霊を封印の壺の中に押し込む。

そうしているうちに法子もだんだん正気になっていく。

(あ・・・私・・・。)

その瞬間、法子は自分が身体のラインがぴったりと出たピチピチの服装をしていることにあらためて気付く。頭の中がカーッと熱くなっていく。

「いやあぁぁぁぁぁぁっ!!はずかしいぃぃぃぃぃっ!!」

法子は身体を隠すように丸まり、亀山少年から遠ざかる。

「え??」

少年は今まで激しく迫ってきていた美少女の激し過ぎるほどの変貌に驚く。

法子は自分のそんな恥ずかしい恰好が男の子の視線に触れる事だけで死ぬほど恥ずかしく、やって来た美樹の身体の後ろに隠れる。

恥ずかしさのあまり、目から涙もポロポロ溢れてくる。

驚いたまま硬直している亀山少年に美樹が解説をする。

「残念ね。この子は悪霊にとりつかれて、おかしくなっていたのよ。あきらめなさい。」

身体を隠すものを持っていない法子に、郷子は自分の上着をかけてあげる。

法子はそれを羽織り、少年の視線を逃れるようにぬーベーに連れられ歩き出す。

「どうだ、法子。もう、変にドキドキしたり、いやらしい気分になったりしないだろ?」

ぬーべーと郷子が優しく微笑んでいる。美樹は勝ち誇った顔をしている。

法子はパンツの中がグショグショに濡れている感触に気持ち悪さを感じつつ、元に戻ったことに安心している自分を発見していた。

あのままであったら、自分はとんでもないことをしてしまうところだったことも認識していた。

呆然とする亀山少年を残し、法子はぬーベーに肩を抱かれその場を去っていく。

(でも・・・でも・・・私・・・。)

法子は頬を流れる涙がどういう意味を持っているのか、よくわからずにいた。













翌日、法子はいつものように図書室に向かった。

(もう・・・もう二度と、あんなドキドキした気持ちになることはないんだわ・・・。)

法子は昨日の自分の死ぬほど恥ずかしい行為に後悔しつつも、でも初めて知った恋の疼きには未練があった。

でも、幼い法子は知らなかっただけである。内気であろうと奥手であろうと、大人になっていくにつれ、そういう気持ちを自然にだんだん持っていくということを。

「これ、返します・・・。」

図書室の返却カウンターに行くと、そこには照れくさそうに笑う亀山少年がいた。顔を上げた法子と目が合う。

その瞬間、法子は照れくさくなり顔を赤らめつつ微笑む。その瞬間、心臓がドキッと少し高鳴る。

その瞬間法子は、精霊のイタズラではなく、法子自身で生まれてはじめて、「男の子」というものを意識した。













終わり


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