イタチグレイ氏・作


 イタチグレイ様による、「千年戦争アイギス」の二次創作です。

 単にアイギスをネタにしているのではなく、黒きオーラ様の「異邦の魔王と魔剣の処女姫」をヒントとされています。


 名もなき弱小国の、城下町とは名ばかりの小都市。
 戦士風の少年が二人歩いていた。一人目は青い鎧を着た少年で二人目はマントを羽織った緑色の鎧の少年である。
「今回はここで休むか、セイタ」
 緑色の鎧の少年が話しかけた。
「オトヤ、そうしたいところだが町の人たちの怯えた様子を見ると出来ないようだぞ」



 メカクイーンゴブリン達のアジト
 ゴブリンたちが牛の角がついたティラノサウルスに向かって飛びかかった。
 だが、角がついたティラノサウルスは口から炎を吐いて大量のゴブリンたちをゴブリン姉妹、そしてメカクイーンゴブリンを一蹴した。
「ここにはアイギスクリスタルがない。オメガストーム、別の場所を探す」
 牛の角がついたティラノサウルスは立ち去った。


 同じ頃、
「強い…強すぎる!」
 自分たちを虫けら扱い出来るほどの実力者が目の前にいる事に酒呑童子は戦慄した。
「ジャマだ、どけ!」
 モリを一振りして、妖怪たちを一掃して瀕死の重傷を負わせた。
「ここにはないのか。ゴッドポセイドス、別の場所へ向かう」


 邪仙達がいる場所
「こいつらに我々の力が全く通じない!」
 邪仙達やキョンシー達が応戦するが大剣をもったオレンジ色のゴーレムには傷一つ付けられない。
「お前たちの芸は見飽きたぜ!」
 オレンジ色のゴーレムは大剣を一振りすると、キョンシー達を一刀両断、邪仙達を吹き飛ばした。
「ここにもないか。ゴッドポセイドス、オメガストーム、この世界のエネルギーを吸収する宝石であるアイギスクリスタルは見つかったか」
「ないぞ。ライオウードは見つけたか?」
「ゴッドポセイドス、お前と同じく見つからない。もしかして英雄の末裔がいる王子がいる神殿近くかもしれないな」
「オメガストームも向かう」
「わかった。そこで落ち合おう」


 天使たちのいる所
「か…神をも凌駕する存在がいるとは……」
 目の前にいる右手にドリルを装備した緑色のゴーレムを見て天使率いる天使長や女神は心底恐怖した。
「お前らの言う神ってのは紙装甲の紙って事かァ!!」
 右手のドリルを回転させて、女神たちに向かって放ち全滅させた。
「神のいる場所もないのか」
 緑色のゴーレムもその場を後にした。


 名もなき弱小国の、城下町とは名ばかりの小都市。
 取り囲む魔の軍勢。
「今度こそ、王子を討ち取ってまいります、マクシム様」
「…頼むぞ、ヒム。では先ほどのようにザ・ワールド」
  一瞬。何が起きたのか、何をされたのか分からず王子も美少女たちも凍り付く。
 前線でヒムを足止めせんと待ち構えていたヒーラーとヘビーアーマーの鉄壁の布陣が置き去りにされ…王子の3ジラー先にヒムの凶刃が迫っていた。
「王子よ今度こそその首貰い受けるッ!」
 アイギスの神器でヒムの必殺の斬撃をからくも止める王子だが態勢を崩してしまい…
「ここまでだ王子! 死ねッ! ブラッディースクライド!!!」
 ヒムの奥義が放たれ、超速回転する剣気が過たず王子の心臓を貫く筈だったが……どこからともなく飛んできた凄まじい衝撃波にヒム共々吹き飛ばされた。
「な、何者だ!?」
「何だっていいだろ。邪魔だからどいてもらっただけの事……」
 緑色のゴーレムをみたマクシムの額から多量の脂汗が流れた。自分達を遥かに凌ぐ存在が目の前にいるとは!
これまで他者を圧倒したことがあった自分がその側に回ったと思うと怖くなったのだ。
「ランドフィル、奴らと遊んでいるヒマはない」
 ゴッドポセイドスが現れた。
「厄介なのが一体だけじゃなく……」
 王子の秘書であるアンナの言葉をつなぐかの如くオメガストームとライオウードも姿を現した。
「奴らは神殿に向かう模様! 何としてでも死守しないと!」
 アンナの言葉を聞いた王子はヒムが大ケガを負っててそう簡単には動けないと判断し、指示を出した。
「五月蠅い!」
 オメガストームの口から吐く炎と三体のゴーレムみたいなのの得物の一振りから発する衝撃波にたまらず吹き飛ばされた。
「マクシム様に対する無礼、死でもって償え! ブラッディースクライド!!!」
 ヒムの奥義が放たれ、超速回転する剣気が当たるかと思ったが、ゴッドポセイドスは溜息をつき、チェーンを取り出して振り回した。その衝撃波をマトモに受けたヒムはマクシムにぶつかり、倒れた。
「な、何だこの騒ぎは?」
 セイタとオトヤが姿を現した。衝撃で隠れる場所が壊れたからだ。
「そっちこそ、何だァ?」
「日向音也(ひなた おとや)、よろしくぅ」
 オメガストームにオトヤがウィンクして返した。全身が震えているけど。
「オトヤ、余計な事をするな」
「この世界では最弱な存在共が粋がって。ぶっ殺す〜」
 セイタが止めようとしたが、時すでに遅し。オメガストームが二人に向かって突進してきた。二人は散開することでとてつもない衝撃波によるダメージを最小限にとどめた。
「今だ、火力部隊は角が生えた怪物に集中砲火しろ。少年に当たらないよう注意せよ」
 王子たちはその隙を逃さず、火力攻撃専門の部隊に命じた。しかし、オメガストームは傷一つつくことなく平然と立っていた。
「バカが。我々の装甲ギアはこの世界の連中が束になってかかっても効かないぞ」
 ゴッドポセイドスが説明した時、
「頑丈なだけで鈍いのか?」
 オトヤがオメガストームの背後に忍び寄り、キックで膝カックンさせると、その場から離脱した。
「転んだ〜」
 一方、セイタはライオウードの剣の一振りから出る衝撃波を躱し続けていた。
「この世界の中で最弱な貴様がいつまでも躱せるわけがなかろう!」
 ライオウードのパンチから出た衝撃波を躱したが、セイタにとっては風圧なので吹き飛ばされた。
「今だ、ランドフィル!」
 地中から出て来たランドフィルがセイタと衝突する場所にドリルの狙点を定めた。
「余所見はいかんぞ」
 マクシムがランドフィルの足元に光線を放ったことでずらされ、セイタは命拾いした。
「しゃしゃり出るな、このザコが!」
 ライオウードの蹴りからの衝撃波をマクシムは避け損ねてしまい、戦闘継続不可能な程重傷を負った。
「ランドフィル、これ以上ザコに構うな。先にあの地下迷宮へ急げ」
「わかった。任せたぞ、ライオウード」
 ランドフィルは地下へ向かった。
「あの地下神殿というのは何だ?」
「我らの世界の総てをつかさどる神殿の事かもしれぬ」
 マクシムがセイタの質問に答え、推測を述べた。
「あやつらはその奥にあるアイギスクリスタルを入手した後次元破滅装置を押して、強制的に爆破させたときに生じるエネルギーをアイギスクリスタルで吸収しようと考えているのかもしれぬ」
「止めないと!」
「この世界の者たちは入れぬ。この世界は最早終わりだ……」
「オレは余所者だ、入れるかもしれない」
「ならば世の装備を使うがよい。キングスキャニングと言ってただの人にとっては内部を一回しか透視できない防具にすぎぬ。だから透視能力は使いどころを考えろ。終わったら自動的に余の元に戻る」
「恩に着ます」
 マクシムが渡したマントを羽織ったセイタにヒムが槍を渡した。
「これも持って行け。これはポーンランスと言ってお前のような人では一回しか攻撃できない。これも用が済めばオレの元に戻る」
「わかりました」
 セイタは槍を受け取ると
(マトモにやり合っても勝ち目はない。ほんの少しでもダメージを与える手がある筈だ!)
 セイタはキングスキャニングで地面を覗いた。
(よし、そこだ!)
 セイタはポーンランスで地中に潜った。暫くして地中から出てきた。
「上手くいったか……」
 マクシムは受け取りながら尋ねた。
「運が良ければだが」
 セイタの答えに表情が曇った。
「よくもやってくれたな!」
 全身傷だらけのランドフィルが憤怒の表情で姿を現した。
「あのザコが次元破滅装置を破壊したためにアイギスクリスタルを紛失した。これ以上の戦闘行為は無意味だ撤退だ!」
 ランドフィルが言うとライオウード達も彼に続いて撤退した。
「我々も引き上げるか、ヒム」
 マクシムはヒムに命じて撤退した。
「王子、我々も帰りましょう。君達、有難う」
 アンナはヒーラー達に治療させた後、王子達と共に神殿に帰った。
「オトヤ、オレ達も行こう」
「そうだね、セイタ。ここはオレ達のクラスメートがいないから他の世界へ旅立とう。あんな連中との顔合わせは二度と御免だ」
「命あっての物種と言うからね。隣町へ行って食事をしよう」
「ああ」
 そう言って隣町へ向かう二人だった。


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