JUN氏・作

 「エッチのあとさき」の管理人・JUN様が投稿して下さったオリジナル短編です。

 とある山奥に奇妙な樹木群があり、それが女性らをグチャグチャドロドロに・・・・みたいな、洒落たホラー風味の短編エロスになっています。


 あのとき 私 迷い込んでここにきた

 私が消えた 消息不明

 二月すぎて戻ったときに神かくしとさわがれた

 その森めがけて友だちつれて歩いてる

 玲子です 大学の天文クラブで出会った子

 ケキョケキョケキョ 小鳥たちのハミング重奏

 初夏の緑が萌えていて精液臭ほど青くさい

 空スコーン お陽様キラキラ 風そよぐ

 おとぎの国にいるような美しい森なのです

 けれどもね 私のなかに暗いこころが揺らいでた



「わぁ凄いぃ・・・綺麗ねー!」
「でしょでしょー! 穴場よねー、そう険しくもない山なのに、ほんと
人が少ないのー。会社の山好きアニキに聞いたんだー」
「サイコー! こんな山、はじめてよ」

山といっても登山用具のいるような場所でない。なのに誰も近づか
ない。神隠しの山という別名があるぐらい、なぜか迷ってしまう山。
だけど私は二度目です。あれほど鮮烈な記憶があれば、忘れたく
ても忘れられないコースです。
私の場合、山は宇宙よ。あちこちの天文台を訪ね歩いて、ここだっ
て・・・いえ、それは言いません、場所がわかってしまうから。


シャラララ・・・涼しげな沢流れ。

「少し休も、おなか空いた」
「うん! 綺麗なお水・・・ガラスが流れてるみたいよね」
「飲んでごらん、美味しいよ、山清水だから冷たいの」
二人ともジーンズ、ジャケット、スニーカー。小さなザックを背負って
る。でも装備はその程度。
玲子は、水晶みたいな六角岩の間を降りて沢石またぎ、お水をす
くって飲んでいた。
「うめえやー! ほんと冷たいー!」
「でしょー。ペットボトルの名水なんてメじゃないわ」
それでお昼をパクついて、それからまた歩きだす。

だけどあの子は不安がる・・・。
「ねえ大丈夫? どんどん深くなってくよ・・・」
「まかしときって。前にも来てるからへっちゃらよっ」

斜面を縫うアップダウンのある道は、鹿道と言われて、つまりは獣た
ちの専用道路。この山には熊はいないはずだから女の子でも安心
できる。
けれど・・・あるところを境に森の様相が変わってしまう。原生の健
康な森だったものが、空や風や取り巻くものをそのままに、人が手
を加えたように植生が切り替わってしまうのです。
「ねえ・・・何かおかしくない? 見たこともない樹ばかりになっちゃ
った・・・」

それらの樹には生い茂る枝葉はなく、濃い緑色をした幹が生えて
いて、そこから、ちょうどイソギンチャクの触手のような何本かの枝
に分かれ・・・その枝が綺麗なピンク色をして、まさにイソギンチャク
そのままで・・・枝に葉がないのです。
そして樹の幹が、蛇そっくりの細かなウロコにつつまれて、緑、青、
金色、銀色・・・光を跳ねて色を変え、煌めいてる。

「ねえマリ、ヤだよ、あたし怖い」
「大丈夫よー、この樹のせいでここには人がいないんだから。よく
見てごらん、綺麗でしょう」
「う、うん・・・綺麗なのは綺麗だけど気味悪いぃ・・・」
「ほら、あそこにひときわ立派な樹があるでしょ」
「あるね・・・まるで主みたいな・・・」
「そうそう、あの樹の前に立ってごらん、触れると幸せになれる樹
なのよね、やさしいんだから・・・ふふふ」

怖がる玲子の背を押して樹の前に立たせます。
そして、あの子がおそるおそる幹に触れた、そのとたん・・・。

「きゃぁぁーっ! 何よコレーっ! マリぃ! マリぃ! 助けてぇー
っ!」
「さよなら玲子・・・主様に約束したのよ、別な誰かを連れて来るっ
て・・・うふふ、楽しんで幸せにね」
「嫌ぁぁーっ! ウソよーっ! 嫌ぁぁーっ!」

私は樹々を見渡します。
「私の主様、それからみんなも、いずれまた・・・うふふ・・・あはは
はっ!」

私はマリ。二十七つ。いまはまだ独身です。彼がいます。
結婚するって思っていたし彼だってプロポーズしてくれた。抱かれ
ててスキンをなくせる日を望む。
もちろん玲子にだって紹介したし、仲間たちで遊んでいました。
その彼に・・・大切なあの人に玲子は近づきすぎたのです。
もう一人、由美がいる。山に興味のない子をどうやって連れてくる
か・・・流星群・・・流れ星でも餌にしようか・・・。


あのとき私は・・・半年ほど前のこと・・・。

天文台からの帰り、表のルートがつまらなく、男の子と三人で手つ
かずの山の中を歩いてた。険しい山ではなかったけれど山を甘く
見ていたの。霧が出た。一寸先が見えなくなって私だけがはぐれ
てしまった。トイレで離れただけのなのに、霧は白い闇となる。
彼らも探してくれたけど、あらぬ方へと彷徨って迷ってしまった。

樹々よりも猖獗する下草です。背丈ほどもある下草がはびこって、
泳ぐように歩いていると、ここに出た。
山の中でそこだけが脱毛したよう草がない。林床がなめらかで、
なぜかちょっと温かかった。
霧をしのいだ。そして霧が晴れたとき、見たこともない不思議な樹
が目の前にあったのよ。

「ヘンな樹ね・・・」
その頃はまだ主様を中心に何本かの小さな樹群れがあるだけだ
った。
私は樹に近寄って・・・蛇のような・・・キラキラと色を変えて煌めく
ウロコの肌を撫でてみた。
そうしたら・・・。

イソギンチャクの触手のようなピンクの枝が樹の手となって、一斉
に蠢きだして私を絡めとっていく。幾重にも巻きついて太い縄で
抱かれるみたいに身動きできない。
そのうち触手の先が五本に分かれて、手先のようにカタチを変え
て・・・樹はそれまでの歴史の中で人間を見ていたからね、人の
カタチを真似ることを覚えていたのよ。
触手は子供の腕ぐらいでひとつかみできたけど。それがにょきに
ょき伸び出して無数の腕に絡みとられてしまったの。
指のカタチに変化したいくつもの手になぶられた。着ているもの
をむしり取られて素っ裸にされていく。

断末魔・・・あのときの悲劇的な自分の声を覚えてる。
恐怖で失禁、泣き叫んでもがいていたわ・・・。

樹の手に私は蹂躙された。乳房を揉まれ、お尻をつかまれ、恐ろ
しい力で体を開かれて前から後ろから性穴なぶり・・・。
そしたら緑色の太い幹から別の触手が伸び出して、先が二股に
分かれていって・・・女体のデザインに合わせるように大小二本の
ペニスとなって、アソコとアナルを一気に犯され、そうされながら
乳房を揉まれ乳首をコネられ、体中もみくちゃで・・・それはセック
ス束縛で・・・。
ピンクの触手は粘液を分泌して・・・催淫・・・媚薬・・・そんなもの
を体中に塗りたくられて・・・。


地獄のようなアクメが続いた。イッてもイッてもイキ続けた・・・人の
女が樹に抱かれた。樹にレイプされたのです。
私は裸よ、すっぽん全裸。服が散乱していても、触手のひとつが
首輪となって私をつないで放してくれない。
山の夜は冷えるでしょう。だけどそれも、寒さに丸まってると主様
の抱擁が幾重にも絡みつき、それがとっても温かく・・・私をぐっす
り寝かせてくれたわ。

食べなければおなかが空くわね。それだって主様が、幹からペニ
スを生やしてくださり、別の手に髪をつかまれて、しゃぶれとおっ
しゃる。
それでご奉仕すると・・・トロロ・・・ピュピュピューッ・・・甘い射精を
くださるの。ハチミツそっくりなドロリとした液体です。
美味しい! それがとっても甘くて美味しく・・・おなかがいっぱい。
体の調子もすこぶるよくて・・・豊かな栄養だったのですね。

そして私は・・・三日に一度、大きなドングリみたいな種を産んだ。
樹に犯され孕んだ女が、樹の赤ちゃんを産んだのです。
子宮がもぞもぞしはじめて、種はするりと膣を抜けて産まれ出た。
主様のお手が伸びて地面を指差し、埋めろとおっしゃる。
土に埋めてほんのしばらく、ベイビーピンクの触手が伸び出し、
新しい樹に育ってく・・・。

三日にひとつ。私が神隠しにあっていたのは二月だから二十か
そこら・・・次々産んで植えていき、そこからまた樹が育つ。
私が迷い込んだとき、ほんの数本だった不思議な樹は、いまは
もう三十本ほどに増えている。主様との子供たち。
主様は私を殺す気なんてありません。生殖のための妻なのです
から・・・。

おやさしく、美味しい精液をたくさんくださる主様でしたが、私は
泣いてお願いしました。結婚したい人がいた。別な女をかならず
連れて来ますからって。
主様は樹なのですが、その知性は素晴らしく、わずか数日で私
の言葉を理解され、さらに数日でお体に声をお持ちになったの
です。

悪魔の響き・・・ドス低いお声です。

「人間・・・連れてくる・・・約束するか」
「はい、お誓いいたします、ご主人様」
「おまえの中には私の精が植えてある・・・約束を違えればおまえ
の中で暴れだし、おまえを樹に変えるだろう」
「お誓いします、かならず連れて来ますから。主様のことも誓って
誰にも話しません。どうか私を許してください・・・たくさんの子供
を産んだ妻なのですよ、どうか信じてくださいませ」

そのときでした・・・裸で立ってる私の膣から、にょろりとピンク色
した触手が・・・それはまるで背伸びしすぎたクリトリスのように膣
から伸び出し、蠢いてる。

「樹にされるのは嫌・・・きっとお誓いいたします・・・あぁん主様、
私の旦那様・・・生涯おそばにお仕えします」
「ふふふ・・・可愛い女よ・・・ならば行け。おまえの中に私がいる
こと、忘れてはいけないよ。多くの女・・・男でもよいが・・・人間を
連れて来い。ふっふっふ・・・やがて我らはこの星を・・・だが、お
まえだけは殺さない・・・妻だから・・・」
「はい、お慕いします、ご主人様」
素っ裸で樹にすがり、何本もの触手に抱きくるまれて・・・そして
私は山を降りてきたのです。

もう一人、とにかく由美を連れて行く。子供の頃から知ってる子。
親友でしたが、口惜しいけれど由美はとても美人です。
鼻にかけてる。見下してるわ。許せないのよ、なんとなく・・・そう
です、ただなんとなく・・・。


「おい見てみろ・・・女みたいな樹があるぜ」
「わおっ、セクシー! あははは!」
「ヤだ・・・でも、ほんとに女から枝が生えてる感じよね・・・彫刻の
森みたい」
男の子二人、私と由美・・・グループで向かいます。男の子には
気の毒ですがしかたがなかった。由美は私を警戒していて一人
ではついてこない・・・。

そこにはウロコを着せたヌードアート・・・樹にされた玲子がいたの
です。玲子もたくさん産んだようね・・・私が産んだ子供らと一緒
になって、大きな森をつくりはじめていたんです。

「うわぁぁーっ! バケモノーっ!」

「何だ、これはーっ!」

「きゃぁぁーっ! 助けてマリぃーっ!」

ふんっ・・・悲鳴に背を向けて真っ青な空を見ていた。
さよなら由美。樹にされても美人でしょうけど・・・その前にたくさん
種を産んであげてね・・・うくくく・・・あはははっ!

男二人は私にとってどうでもいい存在でした。主様ではなく子供
たちの触手に絡めとられた男たち。裸にされて触手に縛りつけ
られるよう樹に抱かれ、やがては樹に取り込まれて樹を育てる肥
料にされていくのです。育ち盛りはよく食べるから困っちゃう。

しなやかな裸身のままウロコを着て・・・樹にされた玲子のアソコ
をまさぐってやりました。そしたら樹が、せつなげにしなしなと悶え
揺れ、細かなウロコに覆われたその顔が・・・目が・・・パッチリ目が
開くのです。

「あら、まだ生きてるの・・・ごめんね玲子・・・こうされて感じるかし
ら・・・ほうら・・・ほうら気持ちいい・・・」
クチュクチュまさぐってやるんです。樹になっても穴ヌレしてた。
「ほうら樹が悶えてる・・・気持ちいいんだ・・・ふふふ、もっとシテ
欲しいわね・・・きゃはははっ!」
もう声は出せないよう・・その目からツーッて涙がこぼれたわ。


「あ、ほらぁ、流れ星! 綺麗ねー! お願いしなくちゃ、幸せに
なれますようにっと! あははは!」
「ふっふっふ、子供か、おまえ・・・」
「だって綺麗なんだもーン! うふふっ!」
新婚旅行はハワイです。海を見渡すバルコニー。ビーチベッドに
主人と二人、裸で寝そべっていたんです。流れ星がすーっと尾を
引いて消えていきます。
いつの頃なのか、そのひとつがあの山に落ちてきて、主様が芽を
出されたということですね・・・。

「ぁ・・・ぁぁ・・・」
「マリ・・・愛してる」
「うふふ・・・うん・・・早く赤ちゃん欲しいねー!」

私の中の生命体の遺伝子が人の精子を得たときに、どんな姿に
なるのでしょう・・・。

「ねえ・・・」
「うむ?」
「・・・ううん、いいの・・・うふふっ!」
いい男だわ・・・惚れ惚れしちゃう硬さと角度・・・ん?

でも・・・そのうち飽きたら、あなただって樹の餌よ・・・うふふ・・・。


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