「ねぇねぇ、いいネタがあるんだけどぉ」
そう言って、猫目を細め悪戯っぽい笑みを浮かべながら彼女が私の仕事場にやってきた。
・・・・・・・さらった美人を奴隷調教して楽しむ、金持ち達の秘密倶楽部が存在する・・・・・・
担当編集者の楠木 敬子(くすのき けいこ)が、そんな都市伝説のような眉唾モノの話を私の元に持ってきたのは、すっかり寒くなってきた11月の末だった。
敬子とは大学からの長い付き合いになる。在学中は何度もミスキャンパスに選ばれるような美貌とプロポーションの持ち主であったが、そんな事を鼻にかけず、ざっくばらんな性格でいつも彼女の周りには人がいた。そして、少し強引な所もあるが彼女の行動力にはいつも驚かされたものだった。
そんな彼女であったが、なにかと私の事を気に掛けてくれていた。どちらかというと人とつるむのが苦手な私であったが、いつも彼女に付き合わされ、いろんな所に連れまわされたものだった。だが、そんな彼女の強引さを私は嫌いではなかった。
だから、彼女が編集者になりたいと相談された時も、その行動力と人脈の広さがきっと役に立つと応援したものだった。まぁ、その後、彼女に付き合わされて私も編集者になるとは思わなかったが・・・・・・。
そんなこんなで彼女とは卒業後も付き合いが続いている。
そして、退職してノンフィクション作家となった後も、彼女と組んでさまざまな事件を取り上げた。
その中には悪徳政治家が黒幕の汚染物質の不法投棄や、駐在大使による麻薬密輸売買など、スクープで巨悪を世に曝け出し、司法当局を動かした事は1度や2度ではなかった。
そのいずれもが、こうして彼女が何処からか仕入れてきたネタが元になったものであった。
お陰様で若輩者ながらこのジャンルでは少しは私も名が売れて、今ではテレビのコメンテーターとしての仕事も何本か抱えるようになっていた。
「これは・・・・・・また・・・・・・・・・・・・眉唾モノ・・・・・・」
「えーっ、売れっ子である桐山先生でもそういう反応するのね」
「そりゃ・・・・・・ねぇ。まぁ、男だったら確かに読みたくなるようなネタぽいけどね」
困ったような顔をする私の反応に、彼女は面白そうにクスクスと笑っている。
私が先生と呼ばれる事に未だに慣れてないことを知っている彼女は、こういう時はワザと苗字に先生を付けて私を呼び茶化すクセがある。
「だけど、敬子が持ってきた話となると・・・・・・・・・・・・それなりに確証があるのかな?」
「まぁ・・・・・・ね。 でも、もうちょっと待っててね・・・・・・もうちょっとで、より確かなパイプを掴めそうだから」
そういう彼女の反応に、私もようやくその気になってきた。
取り合えず、彼女の言うパイプが捕まるまで、私は私で独自に調べる事となった。
そうして、私なりのコネクションを使い調べた所、どうやらいろいろキナ臭い情報が入ってくるようになった。
だが、どの情報も噂レベルを抜け出せず、私の方は早々に暗礁に乗り上げていた。彼女の方も手こずっているのだろう、頻繁にやり取りしていたメールも「有力な情報を得たので、もう少し深く探ってみる」という文面と共に、途中でパッタリと途絶えてしまった。
だが、昔から本腰を入れ集中した彼女の行動力を知っている私は、今回も素直に彼女からの連絡が来るのを待つこととした。
敬子から見せたいモノがあるからと突然に連絡を受け、彼女のマンションに呼び出されたのは、一ヵ月後であった。
どうやら、今回も収穫があったようで電話越しの彼女はえらく興奮した様子で、一刻も早くそれを私に見せたいようだった。
彼女のマンションは一人暮らしにしては広い2LDKのマンションで、時間が不規則になりがちな編集者という仕事柄、仕事場に近い都心部にあった。すぐ横をバイパスが通っており深夜でも車の行き来が多いが、お陰で防音性が高く昼でも静かに寝てられる・・・・・・と彼女からしょうもない自慢をされた事があった。
私が彼女の部屋を訪れると、すぐさま玄関からリビングに通されて大きな液晶テレビの前に案内された。
「・・・・・・で、1月も待たせて、その成果は?」
「ふふふ、まぁ。慌てない慌てない、まずはこれを見て」
そういって、何が楽しいのか陽気に笑いながら私をテレビ正面のソファに座らせると自分も隣に座り部屋の照明を落とした。
そして、その映像が始まった・・・・・・
薄暗いコンクリート剥き出しの部屋・・・・・・スポットライトのように強い光に照らされる。その中央に3人の男たちによって後手に拘束された一人の女が引きずられるように連れて来られた。
服装からすると20代後半のOLだろうか・・・・・・まだグレーのスーツに身を包んだ体は細身ながらも丸みを帯び、豊かな曲線を描いていた。
黒いアイマスクをガッチリと被せられ表情を伺うことは出来ないが、乱れたセミロング・・・・・・その黒髪の合間から見えるシャープな顎の線や鼻の形状から、さぞかし整った顔立ちであろうと想像できた。薄い口紅を塗られた唇を押し広げ、棒状の枷を轡のように噛まされ口元から、なにやら訴えようとしているが、ただの呻き声にしかなっていない。
取り囲んだ男たちは黒いパンツを履いている以外は服を身に着けておらず、顔立ちからするとどうやら大陸系の男たちのようだった。
時折、聴こえる言葉は日本語でなく、私には理解する事はできなかったが、男たちのニヤケタ笑みから、それがどんな事を言っているのかは伝わってきた。
男たちはこういう行為は初めてでは無い様で、手馴れた様子で女の拘束を解くと次々と衣服を剥ぎ取り始めた。女性も必死で抵抗するが、男たちは相手の自由を奪うことに長けているようで、すぐさま動きを封じられてしまう。
それでも必死で抗おうと身を捩る姿が、逆に男たちの欲望を刺激する事にも気が付くほど余裕もなかった。
そうした女の姿を楽しむように男たちは下卑た笑いを口元に浮かべながら、焦らすように女の体を曝け出していく。
そんな男たちの行為に対して、女は必死に首を振り、悲鳴とも呻きともつかない声を必死で張り上げていた。
そして女の体から全ての衣服が剥ぎ取られると、後ろに捻り上げられた手首に麻縄が巻きつき両手の自由を奪おうとする。
その感触に女は「ヒッ」と短い悲鳴あげ益々激しく暴れ始めた。
そんな獲物の様子を楽しむように、男たちは女の体に次々と麻縄を巻きつけ自由を奪っていく。
着痩せするタイプなのだろう、衣服の上から想像していたよりも豊満な乳房の上下にも何重にも麻縄が巻きついていく。
プックリと乳房を押し潰し、縄目の間から無残に搾り出すように緊縛していく。
更に両脇に通した麻縄によってカッチリと上半身が固められると、首の左右を通した麻縄が胸縄に繋がられ、根元を縛られ砲弾のように突き出した美乳の左右に切り分け緊縛が完成した。
一人の男が女の髪を鷲づかみし持ち上げると、女は恐怖の為か肩を震わせはじめた。
その様子に男たちは乾いた笑いを浮べると、他の男たちも縄尻を掴み、女を立たせるとビシャリと真っ白な尻肉を叩き、部屋の隅へと追いたてはじめた。
その先には木馬のようなモノが置かれていた。だがその背は三角形のように突き出ていており、跨いだ者を責め立てる道具であるのは一目瞭然だった。
男たちは嫌がる女を担ぎ上げ、その三角木馬の背に座らせると、女は口枷の合間から激しい呻き声を上げた。その様子に男たちは気分を良くすると、木馬の脇を太股で必死で引き締め踏ん張る女の足首に次々と重りを付けた足枷を嵌め、手にした重りを手放した。その衝撃でくの字に曲げられていた女の足がピンと下に伸ばされ一気に、女の腰が木馬の背に押し付けられた。その途端、女の背がビクッと大きく反ると共に、悲鳴ともつかない大きな呻き声が室内に響き渡った。
そんな女の背面から、残った男が鞭を大きく振り下ろすと、ビシッという大きな乾いた音と共に更なる激しい悲鳴が室内に響き渡った。
その暴力的な映像に私の心臓は早鐘のように激しく鼓動し息がどんどん荒くなっていく。
そして内からえも知れない衝動がこみ上げてきそうになり狼狽していた。
エアコンによって適温に調整されているはずの室内なのに、いつの間にか強く握り締めていた拳は、うっすらと汗をかいている。
私は、この反応を敬子に見られていないかと心配になったが、ソファの横に座る彼女は真っ直ぐとモニターを見つめていた。
その事に私はホッとすると共に、なぜ、自分がこのような反応をするのか戸惑った。
そうこうする内に画面はいつの間にか切り替わっていた。
全身を鞭で打ちつけられ、白い裸体に無数の赤い鞭痕を刻まれグッタリとした女を、男たちが三角木馬から降ろし四つんばいにさせていた。
だが、実際には両手を後手に縛られている為、両膝と上半身で支える事になり、くびれた腰を反らし高々とお尻を突き出す屈辱的な姿を強いられていた。
その為、胸縄で搾り出された豊満な乳房は上半身と床に押し潰されるように無残にひしゃげていた。
男の一人がピシャピシャッと尻肉を平手で叩き楽しむと女は切なそうに呻いた。その反応に男は乾いた笑み浮かべると、女の尻を抱えるようにして背後から挿入した。
大して濡れていなかったのだろう、苦痛で呻く女に構わず男はドスドスと音が聞こえてきそうな荒々しい挿入を繰り出し始める。
そんな光景を他の男たちはニヤニヤと笑いながら見つめ、時折、手を伸ばしては女を責め立てた。
そして一人の男が女の中に精を放つと、今度はグッタリした女の縄尻に天井から吊り下がったロープを括りつけ、立った状態で拘束した。
そして右足の太股にも新たなロープを巻きつけると、天井のウィンチに繋ぎゆっくりと巻き上げ始めた。だが、すでに体力を奪われている女には抗う力も残っておらず、片足を高々と吊り上げられてもグッタリと頭を垂れていた。
そして大きく開かされた秘部からは、膣内に放たれた白い精液がドロリと溢れ出してきた。
その様子に興奮したのだろうか、2人目の男は女に取り付くと、弱々しく首を振る女に構わず精液の溢れ出す肉壺にいきり立った怒剛を打ち立てた。
そうして女の耳元でなにやら罵声を投げかけながら、突き上げるような激しいストロークで犯し始め、3人目の男になにやら合図する。その男はニヤリと笑い巨大な浣腸器を持ち出した。
そして無造作に女の菊門にノズルを突き立てると、ゆっくりとピストンを押し、内部の液体をどんどんと女の体内へと送り込んでいく。
その感触に女は半狂乱になるが、縛られ吊るされ、更には男の肉棒によって杭打ちされている状態では、抗う事すらままならなかった。
溢れ出る涙と涎を撒き散らせながら首を左右に振る度に、女の髪が左右に舞った。
全ての液体が女の体内に注入される頃には、女の体にはビッシリと汗の玉が浮き出ており、ガクガクを体を震わせていた。
3番目の男はノズルを抜き取ると、まるで栓をするかの如く、菊門にどす黒い男根をあてがうとズブリと挿入していく、その途端、女の体がビクリと仰け反り、吊り上げられた足がピーンと伸び折り曲げられた指先がプルプルと震えている。
男たちは時には合わせて、また時には交互にと巧みに前後の穴を責め立てていく。
その度に女の体は痙攣したようにビクビクと激しく震え、叫びとも悲鳴ともつかない声を放ちながら激しく首を左右に振リ続ける。
そうしているうちに、女のアイマスクを締め付けるベルトが緩んだろうか、首を振った勢いで激しく弾け飛んだ。
「・・・・・・・・・・・・えっ?」
私はその女の顔を見て言葉を失った。
乱れた黒髪の合間から見えるその顔は・・・・・・
涙を流し続け・・・・・・
苦悶の表情で悲鳴をあげ・・・・・・
何度も何度も許しを請い・・・・・・
必死に誰かに助けを呼び続けるその女性・・・・・・
それは私の良く知っている人物だったから・・・・・・
・・・・・・私の鼓動は再び激しく打ちつけはじめ、肩がガクガクと震え始めた。
そんなはずは・・・・・・
私の横から、堪えきれずにクスクスと笑いだす声が聞こえた。
だが、私は恐ろしさのあまり横を向く事が出来なかった。
「さぁ、貴女も私と一緒に楽し〜いところに行きましょうね・・・・・・桐山素子先生」
そんな私の耳元に熱い吐息と共に彼女が囁いた。
そして、それが合図であったが如く、背後の別室のドアがガチャリと開き、大勢の人間が室内に入って迫ってくる気配にも、私は動くことが出来ずにいた・・・・・・。
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