「はうぅ〜かぁいい〜可愛いよぉ〜♪死体!ステキな死体いぃお持ち帰りいぃぃ〜♪
最近地上にお寺が出来たっていうから、さとり様に内緒で来てみたけれど、大正解ね!」
お宝を愛用の猫車に乗せ、宵闇を駆ける。死体を恍惚と見つめる猫の瞳は業火の如く紅い。
真っ赤なお下げ髪に猫耳尻尾の可愛らしい妖怪少女、火焔猫燐(かえんびょう・りん)は上機嫌だった。
灼熱地獄の管理者たる主がくれた名前は長過ぎるから、お燐という愛称がお気に入り。
死体と、死体運びは、もっと大好きだった。
西行妖の仄かな薫りと墓地の腐臭交じりの夜風が、赤黒い猫耳を撫でる。心地良い芳香に、うっとりする。
「いい死体だなぁ。あなたはどんな絶望を抱いて死んだのさ?
って、ちょっと、あたいの話聞いてるかい?」
死体に話しかける。「……」返事が無い。
(うーん、おっかしいなぁ?死体や霊魂とのお喋りは得意なのに)
―絶望、怨嗟、無念…死の穢れと恐怖に満ちた魂とのお喋りは、楽しいよぉ♪
この娘は、喋ってくれない。こんなに、保存状態が良くって、可愛いのに。
腐乱死体。白骨死体。水死体。焼死体。妖怪に喰い殺された惨殺体…そんな死体も嫌いじゃないさ。
けれど、新鮮な死体…それも、強い力を持った人妖、ついでに可愛い子の死体は、やっぱ格別だね。
そんな死体滅多に手に入らないから、あたいの手で、殺しちゃおう!フフフフあはは♪
この前地底に来た、巫女と魔法使いのお姉さんみたく。負けたけど…。
「すごくカワイイのに、つまんないなぁ」
夜空の旅行を終え猫車を停めて、改めてお宝を物色してみる。
―外の世界の中華風(満州族)の赤い民族衣装と中華帽子(紅魔館の門番に似てる)には腐臭が染み綻んではいるが、保存状態良好。
きっと、埋葬されて間もないのだろう。腐臭に交じる、防腐剤の芳香。死体が新鮮なのもそのお陰かな?
四肢は死後硬直で両手を前に突き出し動かせない。
額には、お札か貼られている。外せない。地上の巫女がバラ撒いてたヤツのような、霊符の類か。
お札をめくると、眠るような愛らしい死相。死んでるのに、意外と血色が良い。
朽ちた肌を崩さぬよう、愛おしげに撫でてみる。滑らかで瑞々しい肌。
かわいい!まるで、殺した直後みたい。
「ふふ、あはは…あははははは!最高の死体だよっ♪あたいのコレクション決定ー♪
素敵ね!でも、あなたの恨みつらみが聞ければ言う事無いんだけどねぇ、残ね…」
「ちーかよーるーなー」
「にゃ゛!?」
突如起き上がる死体。唐突だったので驚く。
「これから先はお前達が入って良い場所ではない!
我々は崇高な霊廟を守るために生み出された騎士(キョンシー)である」
勇ましく、けれど間の抜けた笑顔で警告する、死体少女。
「…にゃ?あなた、死体なのに喋れるのかい!?」
「死体、じゃ、ない、ゾンビ、だよ♪」
言語中枢が腐ってる為か、カタコトな死体少女。
(あー、ゾンビか。あたいも操ってるから分かる。て事は、この娘を操る奴が居るって事かい?)
ネコロマンサー・お燐は合点がいった。
通りで死体と会話出来なかったワケだ。魂はまだ、屍のナカに眠っていたワケか。
「わかったらここから去れ。もしくは仲間になれ」
「ふふ、仲間かい?良いじゃん!あ、仲間っていうかさ、あたいのコレクションにしてあげるよー♪」
「これ、く・しょ?…なにそれ?吸い易いの?それより、ここから去れ…」
「いや、だってここ、あたいの家(さとり様のだけど)だし。旧灼熱地獄の地霊殿さ」
命蓮寺の墓地から、地底の地獄に到着していたのだ。
「なんだとぉー!ここはどーこーだー!?」
今更異変に気付く、キョンシー少女。間の抜けた表情のせいか、危機感が感じられない。
「ん?だから地霊殿だってば。あたいはお燐。主のさとり様のペットで、怨霊の管理を任されている地獄猫さ」
「お前の主?まさか、あの悲しき宗教戦争が再び起こるというのかぁ!」
自己紹介をするお燐であったが、びみょんに会話がすれ違う。
(この子、お空とは違った意味でHだねぇ。保存状態良くても脳味噌は少し腐っちゃってるかぁ)
「…えーと、とりあえず、あなたの名前教えてー?」
「なま・え?我々は……崇高な、キョンシー……えーと、誰だっけ?」
「だめだ、お空よりヒドイ。ま、キョンシーでも、あたいの能力なら…」
「宮古芳香(みやこ・よしか)ちゃんかぁ。ふぅん…素敵な名前ね!」
「…む、気分が良いぞ。何用だ?」
名前(自分でも忘れてた)を褒められ、まんざらでもない様子。
「さっきも言ったけどあたい、芳香がほしいのさ!だって、こんなに可愛い死体だものアハハ!」
お燐の腕が、芳香の首に食い込む。猫被っていれば可愛く見えたであろう、狂った笑みを浮かべて。
「なんの、はなしだ?…この猫、こわい…」
「殺してでもうばいとる!あ、もう死んでるかー。てへ♪」
「な、なにをするきさまらー」
「ねんがんの、キョンシーを、手に入れたぞ!」
…どさ!お燐が芳香に覆い被さり、肉球付きの指でまさぐるように撫で回わす。
「ひーいー!やーめーろー!」
恐怖を感じ必死に(表情と声色からそうは見えないが)抵抗する、芳香。
手足をバタつかせるが、死後硬直で曲がらず、地獄猫のしなやかな腕を解く事が出来ない。
「喰ーわれて、たーまーるーかー!我々には崇高な使命があるのだー!」
毒爪「ポイズンレイズ」!!!
スペルで反撃を試みる、芳香であったが。
「ふっふっふ、無駄だよー♪」
お燐には効果がなかった。
「なーぜーだー!?」
「抵坑はやめときな。あたいの能力は『死体を持ち去る程度の能力』さ。
死体なら、カラダも能力も全部あたいのモノ…能力の相性ってワケ。
キョンシーの芳香はあたいには絶対に勝てない…
さとり様がこいし様に勝てないようにね♪」
「なんだぁとぉー!理不尽だぞー?って、さとりさまって、誰だ?」
朽ちた思考が妖怪猫の凌辱に中断される。
「だから、大人しくあたいに食べられな!」
「くーやーしー!食べるのは私の方なんだぞおぅ!」
「芳香ちゃん頂きまーす♪」
死体の抗議も聞く猫耳を持たない。
お燐はまず、主人や友達とやる時のように、自分の服を脱ぎ捨てる…
「うおー!犯ーらーれーるー!」
「はぁはぁ大人しくしてね!可愛い屍と遊べて、あたい嬉しいよ♪」
日々死体と戯れるお燐は慣れたもの、硬直で四肢が使えぬ事を知り、存分に弄る。
「着てる服もカワイイけど、愉しむなら脱がせないとね!」
地底妖怪だから地上や外界の衣服は知らないけれど。爪で引き裂くのも、いい。
でも、せっかくの可愛い死体、できれば傷つけたくはない…
なので、民族衣装を慎重に脱がしていく。
保存状態良好とはいえ朽ちて脆くなっているかも知れない肌を傷つけぬよう、やさしく、丁寧に。
「んー、襟元の紐から解こっか?」
「うぅーやーだー」
嫌がり、硬直して曲がらぬ首を必死に捩る芳香。その首筋を、お燐のザラザラの舌が這い舐める。
「ぴちゃ、ぺろっ…ふぅ、甘くて苦い…死の味がする…ふふふ…おいしいぃ」
「うー…うぅぅ…やぁ…ぞーくぞーくするぅぅ!」
「ふふ、痛みを感じない体なのに、感じ易いじゃん」
「なんだとぉー!うーなにするー!?」
中華服の紐が解け、衣装が剥ぎ取られる。殺した人間の身ぐるみ剥ぐのは日常茶飯事、お手のものだ。
剥がされ、死亡直後のような青白く美しい肌が露わになる。
お燐の猫目は飢えた獣のように瞳孔が開き、爛々と輝く。ザラつく舌から涎がこぼれる。
「うふふ、死にたてのお肌…かぁいいよぉ芳香ちゃん…いい…さいこうだよ…」
「あ…うぅ…死してこのような恥ずかしめをうけるとはー!」
見た目相応の女の子らしく、恥じらう芳香だった。
その裸体を舐めるように視姦する獣の目、ザラついた舌から生温かい唾液が朽ちた肌を汚す。
「あはは良いカラダだねおいしそう!お空ほど大きくないけど、可愛いわ」
恥ずかしい。手で胸を隠したい。けれど、硬直した四肢は曲がらず、掌はダラリと垂れるのみ。
「ぅー、みーるなー」
「体堅いんだね!ふふ、あたいが揉み解してあげる♪」
「や…やめ…うぅーあぁー…」
お燐の舌が、指が、芳香の死してなお可憐なカラダを貪り、乳房を慎重に揉みほぐす。
「死体なのに、やわらかいね」
「んー、やだー、やーめーろー!うぅー、はぁ…」
「大丈夫あたいに任せなって!いつも…さとり様はあたい達ペットが一番気持ちイイって思う所を、弄ってくれるのさ!だから、あたいも♪」
「はぁ、ふぁ…お前の、主?…ふぇあ!?」
ビクン。胸の頂上の乳首を押し潰され、喘ぐ芳香。
「可愛いね!生きてるみたいに敏感で、そんで死体なんて、最高すぎるあはははぁ!」
「はぁ、ふぁぁ…死体、じゃない、ゾンビだよぉ」
言動と表情から分かり辛いが、猫の責めに感じてしまっていた。
死後硬直したカラダから力が抜けていく。
気を良くしたお燐の猫舌が、芳香の秘裂を舐める。
地獄猫の大量の涎が朽ちた秘部を滑らかにし、やがて卑猥な水音が響く。
「ふああっ!?なんだぁこの感じぃ!ふあぁぁ…あんっ!ふあぁぁぁ〜っ」
ビクン。ビクビクビクッ!
「はぁはぁ、濃厚な死の香りと肉欲が混じって良いよぉぉあははは!」
「あっ!あっ!はああああぁん!ひゃめぇおかしくなるーぅ!しーぬー!」
「はいはい死んでます死んでます〜もっとキモチ良くなって、死んでしまえー!」
「んんんんっああぁあぁぁらめえぇぇぇきーもーちぃぃぃー!!!」
……ピクピクピクピク。少女昇天中。
墓地から死体が一つ消え、その行方は誰も知らない…。
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