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体育館倉庫
「未熟……っ」
苦い敗北。孤高の戦士たる彼女はただひたすら、己の弱さを恥じていた。
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回想
SSS(Sinda・Sekai・Sensen)『死んだ世界戦線』最強の戦闘力を持つ彼女は、その日も作戦に従事、戦線最大の敵たる『天使』討伐の渦中に居た。
理不尽な人生の後に死んだ者達が送られる死後の世界、その運命に抗い、天使を倒す!
リーダー・ゆりの号令で総攻撃が掛けられるも、その華奢で可憐な容姿に見合わぬ天使の強さに誰も敵わず、メンバーは次々と殺されていった。
尤もこの世界では皆既に死んでるので、どうせ後で生き返るのだが。
「ちっ、1ミリも役に立たなかったなアイツら…」
無残に惨殺されていく仲間に、冷たく言い放つ、ゆり。
「もう椎名さんだけが頼りよ!天使をぶっ殺してェ!」
「…承知」
我侭なリーダーの命に、寡黙に頷く、椎名。
セーラー服に羽織ったマントが、端麗な容姿と綺麗な長髪を半分隠し、その機敏な動きにはためく。
ヒュン!ガキン!ギィィィン!
激烈な近接戦闘。銃弾すら容易く切り落とす天使の斬撃を、椎名は紙一重で捌いていく。
「いける!これは勝てるかも!」
優勢に立った、椎名。ゆりの期待が高まる。
ヒュン!シュパッ!
椎名の斬撃が天使の制服を切り裂く。
「…」
天使は、無表情。痛みを感じていないのか?だが好機である。
「…天使覚悟…なっ!?こっこれはぁぁぁぁ!!!」
あと一歩で天使を倒せる好機なのに、突如、床にダイブする椎名。
「ど、どうしたの椎名さん!?」
驚くゆり。切り裂かれた天使のポケットから零れ落ちたのは、愛らしい小熊のマスコットだった。
「はっ!?まずい!彼女はカワイイモノ見ると…ダメよ椎名さぁぁん!」
「……それ、大事なもの。返して。ガードスキル・ハンドソニック」
…ドスッ。心臓を貫く、天使の刃。
「……不覚なり」
がくっ。椎名、死亡…。SSS、敗退。
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回想終わり。体育館倉庫
「私の、何が足りなかったのだ…?敏捷性も、戦闘技術も、闘争心も、決して劣ってはいないはず!
…そうか!集中力だ!集中力を鍛錬せねばならないのだ」
彼女の敗因は要するに『カワイイものに弱い』に尽きるのだが、肝心の部分には気付いていない。
美人で強い完璧超人だが惜しいかな、アホである。
「修行せねば」
それ以来、倉庫に籠り続ける椎名だった。
「椎名さん、何やってるの?」
「…ゆりっぺか。敗北以来、私は精神力を鍛えるべく、ずっと指先一本で竹箒を支え続けている」
「……アホだわ」
呆れる、ゆり。椎名は容姿端麗なクールビューティー、美少女といってよい。
が、指で竹箒をプルプル支え続ける滑稽な行為が、全て台無しにしていた…。
(ったく、どうしてウチはアホばっかなのかしら。
でも、彼女はSSS最強戦力だし、それに…フフフ)
ゆりの我侭な瞳が、悪戯っぽく光る。
「椎名さん、あなたに足りないもの、わかるかしら?」
「己自身の、弱さだ」
「そうよ。あなたは何をされても動じない精神力を身に付ける必要があるわ!」
耳元で囁きながら、椎名にそっと抱きつく、ゆり。
「ゆりっぺ?…んむっ!?」
ゆりの唇が唐突に椎名の唇を塞ぐ。
驚く椎名の舌に絡み、蹂躙するゆり。
ズバ抜けた身体能力を有する椎名もこの突然の行為に不意を突かれ、硬直してしまう。
「な…ゆりっ…やっ…んっ!?あっ…ん〜〜〜っ」
「くちゅ、ちゅく、んんっ、椎名さん、集中力が途切れてるわよ?」
「そ、そんな事…っ」
否定する椎名。だが時折、ぴくっ、ぶるっ、と震えが伝わり、感じている事がゆりに知られてしまう。
全身が弛緩し、力が抜けていく…竹箒を落とさぬように踏ん張るのが精一杯だった。
「ふぅ…ん…結構、感じやすいのね。それでも箒落とさないのは、流石だわ」
「んっ!くぅ!これ…しき…ふぅ…はぁっ…」
荒い吐息が次第に甘く切ない喘ぎに変わり、凛々しい瞳がトロンと落ちても尚、震える指先の箒は落ちない。
それは己を厳しく律してきた椎名の意地であったが、はっきり言って、アホである。
されるがままの接吻が終わると、二人の間に透明な唾液が糸をひいていた。
「はぁ…はぁ…ふぁぁ…」
「椎名さん、あなたはこれから、何があっても、箒を落としちゃダメよ?この特訓を完成させた時!あなたは最強になれるの!」
「…む、承知!」
(…アホだわ。ふふっ、でも、楽しくなってきた♪)
調子に乗るゆりは、倉庫に敷いてあったマットに、椎名を押し倒す。
普段ならば、体格も、身体能力も遥か上の椎名がこんな不覚を取る事はないのだが、動揺と、箒を落とさない事に固執していた故か、ゆりのなすがままであった。
ゆりはまず、自分の制服を脱ぎ、カチューシャ以外一糸纏わぬ姿となった。
ゆりの、小柄な割に発育の良い乳房。ゆりは椎名も脱がせにかかる。
「くっ、なにをするやめろ!」
「おとなしくなさい、集中力が乱れてるわよ?」
「くっ、うぅ…」
箒を支える方の腕は脱がせられなかったがむしろ、しどけなさが強調される。
ゆりは再び椎名の唇を貪りつつ、椎名の肌に指を這わせる。
うなじから首筋、鎖骨から背筋。
接吻の蕩けるような舌の感触と、鍛錬を欠かさない引き締まった身体のラインを楽しみつつ、椎名の胸を揉み解す、ゆり。
「よく鍛えられてるわ。でも、ここはどーかしら?」
「ふぇあっ!?」
ビクン。胸の頂上の乳首を押し潰されて声をあげてしまう。
「椎名さん、意外ね。かわいく鳴いてくれるじゃない♪」
「くっ、私がかわいいなど、そっ、そん…な、惰弱なっ…」
クールな顔がかあっと赤くなる。
強かる口とは裏腹に、執拗に弄るゆりの責めに、椎名の乳首はピンと勃ってしまっていた。
「ふふっ、椎名さんみたいなタイプって、意外とこーいうのに弱かったりするんだ♪」
悪ノリするゆりは椎名の両脚をロックするや、スカートの中に舌を這わす。
既に濡れぼそっていた秘裂が、その刺激でビクンと震える。
「ふえっ!そこはっダメぇ…ふあぁぁ…はあんっ!ふあぁぁぁっ!!」
ビクン。ゾクン。ピクピクッ。
快楽の波が奥から湧き上がるのを必死に堪え、それでも箒を放さない。
「あっ!んっ!ふああ〜!くぬぬっ!これ…しき…耐えてみ…せるぅぅぅ!」
「…これでもまだ落とさないつもり?大した精神力だわ…」
半ば呆れる、ゆり。椎名は快感に身を捩らせ激しく喘ぎながらも、未だ指先の箒を保持していた。
まさに常人離れした身体能力と意志力の成せる業ではあるが、アホすぎる…。
ゆりも生来の我侭と負けず嫌いから、意地でも箒を落とさせようと、更に責め続けるのだった。
「いいかげん、諦めなさい!おらおらおらおら〜〜!」
指先で勃起した乳首をコリコリと捏ね、ナカの豆をクニクニと弄ぶ。
止め処なく湧き上がる甘美な感覚をその驚異的精神力で堪え続ける椎名の強靭な精神はグスグスに蕩け、凛々しい瞳は虚ろになり、全身の力が抜けていく。
二人の少女の肌が密着し、ゆりと椎名の乳首が擦れ合い、互いの熱と震えが直に伝わっていく。
椎名も知らずのうちに、ゆりの身体を求めていった。
「ふあっ!くぅぅ!んあっ!あぁぁぁ…ゆりっ…私は…っ」
「はぁ…はぅ…しい…なさ…あぁん…ふあああああっ!!!」
学校の倉庫で繰り広げられる、美少女二人の、いけない遊び。
が、何故か竹箒が立っているのが、極めてシュールな光景だった。
…やがて。
「ゆり…すまん…私はまだ…未熟っ…ふぇあああああぁああぁん!!!」
ビクウゥゥン!ピクピクピク……。
…ことん。達して果てた二人の少女の傍らに、竹箒が転がった…。
おしまい。
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