00 学園長
私の名前は、八陰(ハチイン)陽子(ヨウコ)。
私立神槍(シンソウ)学園の学園長だ。
この学園は、様々な問題で小学校に通えなくなった四年生以上の小学生を引き受け、学校にいける様にする特殊な学校。
なんて言うのは、公式発表。
関係者が知る理由、それは、まったく異なる。
「私が開発したMPCS(マインドポイントコントロールシステム)を使えば、生徒の感情を読み取り、行動を操る事が出来ます」
それを聞いて、教育委員会の幹部の中年が言う。
「そんな事をしていても本当に大丈夫なのかね?」
私は、頷き、MPCSの八つのメーターを見せる。
「指導する教師の脳内には、これが表示されますが、これは、それぞれが生徒の感情を表しています。イメージ内でこのポイントを操作する事でその生徒の行動を多少変化させるだけですので、ご安心下さい」
メーターの一つをさして言う。
「まずは、愛情。これを上げることで、人を愛す、優しい行動をとらせる事が出来ます」
感嘆の声があがる中、次のメーターを指す。
「次は、勤勉。まじめに勉強をさせる事が出来ます」
「それは、確かに有効だ」
喜ぶ幹部に笑顔を送り、私は、他のメーターを指す。
「これは、道徳。ルールを守る様になります。こちらは、自尊。子供に自信を持たせられます。興味。好奇心を高めます。集中。集中力を生みます。希望。願いを強く思わせやる気をあげられます。最後に忍耐。我慢強くなります」
聞き終えて幹部が言う。
「なるほど、それだけの感情が本当にコントロール出来れば、生徒をより良い方向に導けるだろう」
私が頷く。
「そうです。ですが、これは、まだ実験段階です。この学園でのテストで完成させ、全ての学校から問題児をなくしましょう」
拍手が起こる。
神槍学園は、私の開発したMPCSによる、問題生徒改善実験施設という隠された目的が存在するのだ。
そして幹部の人達が帰り際に言う。
「我々は、君の装置に期待しているよ。よりよい学習環境を作り出すためなら多少の問題は、気にしないでおこう」
所詮、学校関係者など、この程度の道徳しかない。
「頑張らせていただきますわ」
私は、笑顔で送り出した後、会議室に残り、メーターを見ながら呟く。
「馬鹿な連中。精神をコントロールがプラスだけじゃないことにすら気付かないなんてね。愛情をマイナスさせれば、嫌悪を産み。勤勉は、怠惰。道徳は、背徳。自尊は、羞恥。興味は、無感。集中は、緩慢。希望は、絶望。忍耐は、短気。全ての感情をマイナスに動かすことで生徒に貶めていけるというのにね」
神槍学園の真の目的、それは、別にある。
全ては、私が小学校の四年生の時から始まる。
当時から頭脳明晰だった私は、孤立していた。
そんな私に優しくしてくれた先生が居た。
今で言うところのチョイ悪オヤジ。
クラスでも人気があった。
そんな先生が何かと私を助けてくれた。
そんなある日、その先生が言ったのだ。
「八陰さん、君の事が好きなんだ」
そう言って、私の唇を奪った先生は、そのまま言う。
「君の全てが欲しい」
私は、頷いてしまった。
そのまま私は、先生の前で裸になった。
「綺麗だよ」
その一言に顔が真赤になったのを覚えている。
そして、先生は、手馴れた様子で愛撫を始めた。
その時点で気付くべきだったのかもしれないが、当時の私は、初めての愛撫の快感に混乱していてそれどころじゃなかった。
「君の初めてを貰うよ」
そういって、先生は、私の中にチンポを入れてきた。
痛かったが、優しく私を抱きしめてくれる先生のぬくもりで我慢できた。
それから、私と先生の関係は、続いた。
先生とのセックスは、どんどんアブノーマルの物になっていった。
「君のアナルは、最高だよ」
今考えれば単なる変態的な台詞も当時の私にとっては、愛されてると思えた。
それが間違いだと気付いたのは、MPCSの基礎となる、簡単な思考を読む装置のおかげだった。
当時は、先生を信じていた。
私としては、当たっていると解っている籤を引くような気持ちで先生に使ったのだ。
でも全ては、勘違いだった。
『こいつも完全な俺のセックスドールだな』
セックスの最中に聞いたその声に、私の中の大切な物が壊れていくのを感じた。
その後、私は、性欲の歯止めを奪う装置を作り、先生に使用した。
その結果、先生は、所構わず女子生徒に手を出して、逮捕される事になった。
先生のコレクションから私を含む複数の女子生徒とのセックスの記録が出てきて、大きな騒ぎになった。
私は、この頭脳を使って渡米した。
渡米した後、様々な研究が認められるが、色んな教師とのセックスは、止められなかった。
あの先生の言うとおり、私は、セックスドールに成ってしまっていたのだ。
それを悟った時、私は、日本に帰ってきた。
そして、この神槍学園を作り、そして、MPCSを教師に渡し続けている。
理由は、復讐と思おうとした事もあるが、違う。
ただ単に納得したいだけなのだ。
所詮、どんな教師も生徒をセックスドールにする事しか考えない最低な人間で、女子生徒の全てが私と同じセックスドールになってしまう事を。
自己満足、その為だけに私は、この狂ったシステムを完成させた。
後は、その成果を確認するだけである。
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