対魔忍アサギ vol.01 逆襲の朧

 ストーリー・アサギは闇の勢力と戦う正義のくノ一だ。その彼女の前に、かつて倒したはずの仇敵、朧が現れた。朧の奸計にはまり、捕らわれたアサギは、全身の性感を強化する肉改造を施されてしまう。




 ・怒濤の勢いでリリースを続けるPIXYレーベルの作品です。
原作は、このレーベルさんの常で、LilithのPCゲームシリーズということです。
 本作で大きな話題となったのは、一部でエロアニの神とまで崇められている人気作家、むらかみてるあき氏を制作に投入していることです。
 氏を招聘するのに予算がかかったからか何なのか、本作はこのレーベルの商品としては定価が例外的に1000円アップされており、その点でも話題となりました。
 さてこの一巻目の流れを順に見ますと、
 (1)登場キャラたちが触手でアヘアヘするイメージシーンがつかみ的に流れる。
 (2)アサギやその妹たちの日常が映る(キャラ紹介)。
 (3)アサギが罠にかかって捕まる。朧がアサギの彼氏とファック。
 (4)アサギが肉体を改造されてしまう(触手責め)。
 (5)アサギが改造された肉体を朧に鞭打ちされたりして絶頂。
 (6)オーク(魔物?)によるアサギ輪姦シーン。
 (7)アサギがカオスアリーナ(闘技場か?)に出場させられたところで「つづく」。
 といった感じです。
 エロの尺は導入部としては多めであり、またむらかみ氏による作画の美麗さはさすがの一言です。ためかネットでの評判も非常に高かったのですが、残念ながらオイラ個人的にはそれほどノレる出来とは思えませんでした。
 理由は大きく分けて2つです。
 まずは脚本がイマイチ。
 世界設定とキャラ紹介、そしてヒロインが犯されるというドラマをコンパクトにまとめている手際は評価できますが、どうも空テンション気味と言いますか、キャラの心情を置いてきぼりにして、濡れ場ばかりがなし崩し的に進んでいく感があります。
 具体的には、正義のヒロインアサギちゃんが囚われ、犯される悔しさ、切なさ、絶望といったものが上手く表現されていない。要するにマグロっぽいです。
 劇中アサギちゃんがアクメ顔を敵から隠そうと必死になるシーンがありますが、こういう美味しいシチュも、何らセリフを伴っていないのでエロさを著しく欠いています。
 そうした難点はつまり、文芸に強烈なリビドーがこもっていないからでしょう。「ここで抜けやゴルァ!」という迫力がないのです。
 理由の二つ目はビジュアルについてです。
 むらかみ氏の作画能力、特に女体をエロく見せる手腕の確かさには、オイラも全く異論はありません。しかし
「黒愛」等でも触れましたが、その表現の多くは既に氏の中で記号化されてしまっていて、見ていてルーチンワークっぽい退屈さを感じてしまうのは残念です。
 また本作では、氏のウリである高速ピストン描写に加え、意識的にカメラをピンボケにするという技法が多用されており、つまりハンディカメラっぽい画面の臨場感を演出しているわけですが、こうものべつにそれをやられますと、ただ単に画面が見にくく、グラグラと酔ったような気分にさせられて閉口しました。
 要するにむらかみ演出の難点は、そのメリハリの無さであると総括できましょう。
 「高速ピストン」にせよ「ひょっとこフェラ」にせよ「ハンディカメラ風ピンボケ」にせよ、1、2カ所であれば「おっ、シャレた演出だな」と思えるのですが、ずーっとそれが続くとなると、脳の方が飽きちゃって刺激とも何とも感じなくなります。いくら美味しくても、メインディッシュばかりが続くコース料理が成り立たないのと同じです。それは作品としてまずかろうと。
 もっともそれはオイラの個人的な嗜好にむらかみ演出がフィットしないだけで、とにかく怒濤のようなバコバコラッシュが見たい、それが興奮する!という向きもありましょう。そういう人にはむしろ最高の贈り物的な作品と言えるかも知れません。
 「抜ける度」はオイラ的に2.5としますが、続巻での盛り上がりに強く期待します。
 ちなみに蛇足ですが、むらかみアニメの常でパカパカと激しく赤色が明滅する
シーンがあり、見る人によってはてんかん発作を惹起しないものかと心配になりました。(彩雲11型)


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