ダーク・シェル 〜檻の中の艶〜(全2巻)

 ストーリー・我々の世界とは別の歴史を辿った「日本」。内戦の続くこの国内を、本体に合流しようと急ぐ小部隊があった。隊員達は規律を失い、保護を求めた民間女性たちを陵辱する始末。そして彼らを付け狙う謎のスナイパーが忍び寄る!




 ・
金澤勝眞氏が原作も手がけてblue eyesレーベルから発表したシリーズです。「収穫の夜」に続く第2弾で、作品の雰囲気も似通ったものになっています。
 内容的には、パラレルワールドで繰り広げられる陵辱劇で、極限状態における人間の獣性にスポットを当てた作りになっています。「収穫の夜」を深化させたような感じですが、前作よりははるかにプロットとして整理されており、キャラ達の心情も理解しやすくなっているのは手柄でしょう。
 また所々に挿入される謎の人物の回想シーンを、オチがガッチリと受け止める構造になっていて、ミエミエではありますが、一つの作品としてのまとまりが良い点は評価できます。
 問題は、果たしてこれが抜き用ポルノとして使えるかということです。オイラ的には絶対ダメだと思うんですが、それはあくまでオイラが思うだけなので、以下は完全に個人的な印象論としてお読み下さい。
 何故本作が抜くのに使えないか。それは端的に言って残酷すぎるからです。
 といいましても、別に痛い系の責めがあるわけではありません。シチュがあまりにもハードすぎて、エロい気分よりもイヤ〜な気分にさせられてしまうのです。
 本作に出てくる女性は全員がレイプされたり殺されたりしますが、その情景があまりに生々しく、戦場で略奪、強姦が行われる時ってのは実際こんな雰囲気なんだろうなと想像されてムカムカします。
 劇中、理恵というキャラが「もうイヤだよ、お家へ帰りたいよ」と泣き出すシーンなどは特に迫力があり、それは演出が成功している証左でもあるわけですが、エロとはファンタジーであるという信条を持っているオイラにはとても受け入れ難く、思わず目を逸らしてしまいました。
 フィクションとしてのレイプが好きな人はたくさんいるでしょう。そこで辱められたり貶められたりする女の子に興奮する人も多いでしょう。オイラもそうです。
 しかしそういう人でも、例えば軍人が民間女性を手込めにするシーンを生で見せられたら、目を背けたり吐き気を催したりするのが自然ではないでしょうか。大仰かもしれませんが、本作には個人的にそれくらいの不快感を覚えました。
 というわけで、オイラ個人的には、「抜ける度」は1どころかマイナスを献上したいです。二度と見たくない。
 しかし一方、
金澤氏独特のバイオレンスに対するリビドーが強烈に込められた力作であることも確かで、上に書いたような内容、センスに抵抗のない方には楽しめる作品と言えるでしょう。
 ちなみに作画はかなり良く、女体描写も綺麗です。
(彩雲11型)


→戻る