日本のロボットアニメ史上に燦然と光り輝く、美少女ヒロインの最高峰である。
「最高峰」と言っても、ルックスその他、もっと萌える要素を持ったキャラなど星の数ほどいるだろうが、とらえたファンの数やその存在のエポックさにおいて、ちずるの右に出る者は永代現れないような気がする。
同時にこのキャラの特質を考えるとき、何か「昔は良かったなあ」という、ジジイめいた繰り言が出てしまったりもする。
彼女が出演していたロボットアニメ「超電磁ロボ
コン・バトラーV」は、事実上日本サンライズの出世作となったスマッシュヒットだが、内容的にも様々なエポック要素を満載していた。
ヒロイン・ちずるのキャラクターもその一つで、チームに欠かせない戦闘要員であり、同時にのっぺらぼうではない人間的なキャラ性も持ち合わせているという点が新しかった。
サポートメカに乗って敵にやられるためだけに登場するそれまでのヒロインとは違い、ちずるがいなければ主人公メカたるコン・バトラーは動かない。
弓さやかが風邪で寝ていたって兜甲児はさほど困らないかもしれないが、コン・バトラーチームはそうはいかない。まさにギリギリの員数でやっている宅配ピザ屋状態だから、たとえ女の子であろうとバイトの欠勤を認めるわけにはいかないのだ。ましてちずるはメインパイロットの代わりに必殺技(超電磁スピン)まで管制したことがあるのだからなおさらである。
さてちずると言えば、おそらくはアニメ史上初ではないかと思われるシャワーシーンが有名(彼女が豹馬への恋心を自覚するという、内面表現に用いられているのが出色。シャワー室は必然的に個室だから)だけれど、オイラ的にはちずるというと「太もも」を真っ先に連想する。
安彦良和による少女キャラの魅力とは「太ももの魅力」だとオイラは勝手に思っているが、ちずるはそのハシリであり、かつまた相当に完成度の高い太ももキャラだと思えるからだ。
今日日でこそ氏のキャラ設定はマンガ的類型の部類に入るだろうが、左右の足を互いにはじき合うようなムッチリした肉のリアリズムが加味されている点は、当時としては十分に先鋭的だった。出撃シーンの回転昇降機で、ちずるがその大根足の膝頭をキュッと合わせて座っているノーブルな雰囲気は、当時相当脳天に来たですよ。
前述のように彼女は必須のパイロットであるから、コクピットで「キャーッ」だの「アーッ」だのと悲鳴をあげるシチュも多く、そのたんびにあの太ももがバクバクいってジットリ汗かいたりしてるかと思うとそりゃそりゃ萌えますわね。
要するに、シンプルなミニスカの横一文字のすそと、そこからニョッキリ生えた太ももの合わせ目(縦線)が形作るTの字のエロチシズムが、オイラにとっての基本的な安彦キャラなのであり、それを思うさまこじ割ってみたいという下卑た欲求が萌えのツボになっている。
局所への想像力をかき立てるような仕組みがビジュアル段階で用意されているワケだが、あくまでそこで自制が効いているのが肝要であって、つまり最近の、パンツだとかお乳だとかを際限なく露出するばかりのオタクアニメよりも、エロスを訴えてくる力が強いんじゃないかと思うのである。
それはチラリズムの魅力などということとはまた違って、口はばったいが、「表現」という作業全体に対する作家のモラールの差であるような気がする。どこまでを作家側で用意し、どこからを視聴者のイマジネーションに任せた方が良いのか、当時はそのケジメがキチンと検証されていたように思う。
とは言え、例えばゲーム「F・F」のように全てを絵として用意されなければ楽しめないおぼっちゃま君的ユーザーが大半の昨今、ちずるのようなキャラでは薄味過ぎてとても受け入れられまいとも思いますが。だからジジイの繰り言なんであって、「やっぱ原節子が一番じゃろう・・・」なんつってる年寄りを笑えなくなってきた我が身に一抹の寂しさを覚えちゃう今日この頃であります。
蛇足ウンチク1・それにしても彼女、どう見ても高校生くらいの小娘なのに、海洋学やロボット工学を修めていたりというよく分からない履歴を持っていたりする。その割に家族関係の設定はあやふやで、血縁者はコン・バトラーの開発者である南原博士(祖父に当たる)しか出てこない。両親はどこへ行っちゃったのか?あるいは南原博士に人体実験されて殺されてたんだったりして。
また彼女は重度の心臓病患者だったことが中盤でいきなり明らかになるが(先天性の弁膜症か何かだったと思う)、よくそれで心身共に超人並みのレベルを強いられるコン・バトラーのパイロットが務まっていたものだ。
病気をおして出撃するちずるを、事情を知らない豹馬は散々罵倒して悦に入るが、ちずるもちずるで「病気のことを知られてはいけない!ああ!」なんつってむしろ楽しそうに悶えまくっているのだから、何のことはない、戦場の興奮を肴に盛り上がっているSMバカップルである。
蛇足ウンチク2・CVは「ヤマト」のテレサ役等で有名な上田みゆきさんであったが、彼女は続く「ボルテスV」や「闘将ダイモス」でもヒロインを演じている。よほどプロデューサーに気に入られていたのか?
「エイトマン」の頃からの現役だから、アニメ声優としては最古参ですね。「超人バロム1」などの特撮でも活躍しているところは、御主人の佐々木功氏と似ています。
ちなみに最近、「ガンダム」のイセリナ役を、テレビ、劇場版共に上田氏が演じていたとする資料が実に多いが、テレビ版のイセリナ役は藩恵子氏である。こんなこと、リアルタイムでガンダムを見ていたファンなら間違えっこないんだけどな。
|