何かもう、大抵のアニメファンの脳裏から消え去っちゃってるキャラだとは思うが、「太陽の牙ダグラム」のヒロイン、デイジー・オーセルちゃんて、オイラ結構スキなんである。
とは言え、オンエアされた作品において、デイジーちゃんが萌え萌えの可愛い娘ちゃんだったかというとこれが正反対で、むしろ日本のアニメヒロイン史においては、ベストブス(^^)から数えた方が早いだろう。
要するに、オカメなんである、デイジーちゃん。
さて「ダグラム」といえば、言わずとしれた高橋良輔監督のロボットアニメ第一作であって、「ガンダム」に端を発するリアルロボットアニメを、いわば「路線」化したエポック作とも言えるだろう。
近作「ガサラキ」で、プロデューサーとしてのキャリアにすっかりミソを付けてしまった高橋氏だが、「ダグラム」監督当時、すでに押しも押されもせぬ大ベテランであった。
お若い方はご存じないかもしれないが、氏は虫プロ当時からのアニメ界古参兵で、「どろろ」の演出などにおける実直な仕事ぶりから、根強くディープなファンが多い。かくいうオイラもその一人なんだけど。
その高橋監督が苦手としていたモノに、「女性」の描写がある。
とあるインタビューに答えて、「僕は良く分からないんですよ。女のことは」などとおっしゃっていたが、なるほど氏の描くヒロインたちには総じて華がない。・・・いや、「華」というよりは「艶」だな。ようするに、「これは!」というセックスアピールに欠けているのである。
それは端的に言って、高橋氏が、キャラクターとしての「女性」に意を注いでいないからであろう。どうも氏は、女性を描くことが「苦手」というより、「嫌い」なようである。
今回取り上げたデイジーちゃんも例外ではなく、そもそも登場シーンが極端に少ないことからして、高橋氏としては、「ヒロインがいないというのも何だから・・・」って、アリバイ的に作ってみただけのキャラなのだろう。
そこへもってきて、吉川惣司氏の手になるキャラ設定がブサイクなのだから、なお始末が悪い。演出だけやってりゃいいのに、このオッサンは。
吉川氏の描くキャラというのは、頬骨をグリッと描き込んだ独特のモノ(顔にキズがある、などと揶揄されていた)で、オッサンキャラならまあそれでもよいが、若い女の子までそれで描き通すなっちゅーの!
おかげで「ダグラム」の少女キャラといえば、デイジーにしろキャナリーにしろ、飢饉の時の土百姓みたいな風貌で、これで萌えろと言う方が無理であろうて。(もっとも、アニメアールの谷口泰守氏の作画によるシーンでは、さすがに可愛らしい)
そんな彼女の何処がスキかと言えば、やっぱそのひたむきさと、常に哀しげに伏せられている表情、そしてオドオドと所在なげな物腰であろうね。・・・そう、何か守ってやりたくなるのである、デイジーちゃん。
彼女が何故、常に哀しげな印象を身にまとっているのか。
それは、彼女が愛する幼なじみ・・・これがクリンといって、本編の主人公なのであるが、若さ故の無鉄砲なのか単におつむが弱いのか、何故か遠い植民惑星まで出かけていって反政府運動に加担しており、ポンポンバラバラ鉄砲をぶっ放したりしているのだから、そりゃあデイジーちゃんにとっては心の安まるヒマもないでしょう。
とまれ、そうしたシチュエーションが、不細工な彼女をして、それなりにそそるキャラに見せているのは事実である。
第11話「遠すぎた父」において、彼女はクリンを追って、単身デロイア星までやってくる。ところがクリンは今や反政府ゲリラであるから、デイジーも彼との関係を疑われ、いきなり身体検査のために裸に剥かれてしまうのだ。
ゴリラのような女性警務官によって下着姿にされ、涙ぐんだ視線をオドオドとさまよわせるデイジーちゃんは可愛いぞ。(高島雅羅さんの清楚なCVもイカス!)
ここでもう一押し、レズ強要とかされたら面白いんだが、そういうアニメじゃないから仕方あるまい。(当たり前だ(^^;))
それと、第1話で雑兵にからまれ、眉根を寄せながらツンと上体をそむけるシーンなんかもいいよね。ワンピースの胸元を硬く突き上げているお乳の感じとか、結構来ます。(^^)
てワケで、「悲恋の道行き半ばで途方に暮れている」境遇が、そそりキャラとしてのデイジーちゃんを成立させていると総括できるでしょう。
手塚治虫の長編マンガだと、男を追いかけるうちに脇キャラにレイプされちゃったりして、その後果てしなく坂を転げ落ちてゆくお決まりのタイプね。(^^)
ところで本稿を書いていて思ったが、「タグラム」の基本設定って、今から思えば、斬新と言うよりはムチャクチャ破天荒だなあ。
ちょっといないぞ、よその星へゲリラをやりに行くアニメの主人公。(^^)
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