No.27 虹野沙希


 オイラは「と○メモ」のファンであり、だからしばしばBBSでは話題にしたり、ちょこちょこイラストを描いたりはしているんですが、この夢想館で取り上げたことはついぞありませんでした。
 というのも、と○メモキャラへの思い入れを書いたって、そうエッチな内容にはならないもんなあと思っていたからなんだけど、考えてみれば、このコーナーは元々エッチでもなんでもないコンテンツを扱うと宣言して始めたのであり、だから今さらだけど「と○メモ」についてエロくないテキストをダラダラ書いたって良いはずだ。



 ということで、今回はオイラが初代「と○メモ」で2番目に好きなキャラ、
虹野沙希ちゃんについて書いてみる。(一番は片桐さんなのさ!)



 巷間聞くところに寄ると、虹野さんは、「と○メモ」のキャラ中、藤崎さんを押さえて堂々人気第一位なのだそうだ。
 またウソかホントか知らないが、開発スタッフによれば、沙希ちゃんは藤崎さんに対する裏のオフィシャルヒロインとして設定されたキャラらしい。
 つまりやたらとクリア条件が厳しくて滅多に向こうから告白などしてくれず、勉強運動とにかく万能で、ためかツンとお高くとまった印象のある藤崎詩織に対し、沙希ちゃんは比較的楽に攻略が出来、これと言って人に秀でた才能があるわけでもないので、男(プレーヤー)に不必要なコンプレックスを感じさせることもない。
 と言って女としての魅力が詩織に劣るわけではなく、美人ではないけど可愛いし、明るく素直、誰にでも親切で料理上手という萌えプッシュで強烈に押してくる。
 ダメ男にも容易に手が届くが、しかし詩織とは別の意味で理想の女の子、「裏のヒロイン」というわけだ。



 沙希ちゃんの高い人気を見るにつけ、スタッフの思惑は見事に的中したというべきだろうが、オイラ的にはこのキャラ、見ていると「リアル」、「ミーハー」、「依存」という3つの言葉が思い浮かぶ。つかそれら3つの言葉が、(オイラには)虹野さんというキャラを読み解くキーワードと言っても良い。



 まず特に美人というわけではなく、成績もどっちかというと悪めで、スポーツ観戦が大好きだけど、自身は運動神経が良いわけではない。そこで運動部のマネージヤーなんかやってる女子って、オイラの学生時代、まわりに結構たくさんいた気がする。そこで「リアル」。いますよこういう女の子。



 そしてオイラ的に、沙希ちゃんはスポーツミーハー少女というヤツだと思う。スポーツに打ち込む男とか、そこに飛び散る汗なんかを見て興奮する、相当に暑苦しいたぐいの「ミーハー」。
 つまり彼女はスポーツが行われている空間の雰囲気が好きなわけで、だから熱心にプロスポーツを観戦したりはするが、選手の名前や細かいルールなどには結構無頓着で詳しくないかもしれない、そんな気がする。だってミーハーだもんね。



 さらに虹野さんは、自分の夢というものを、無意識に他人に「依存」して実現しようとしているように見える。もっと言えば、言葉は悪いが、他人の人生に寄生することで自己実現を図ろうとしているように思うんだけどどうだろうか。



 つまり彼女が、「あなたには根性があるわ!」と、およそ意味不明の第一声と共に主人公(プレーヤー)に接近してくるのは、不屈の根性がある主人公であれば、運動部マネージャーである彼女を、苦闘の末きっと甲子園なり花園なりに導いてくれるだろうからに他ならない。
 彼女にとって興味のある男とは、その男が、才能だけでなく不断の努力をすることによって、彼女本人には到底到達し得ない豊かな世界(例えば高校スポーツ界の頂点)を共に見せてくれる男なのである。つまり「依存」だ。



 沙希ちゃんが名実共にメインヒロインとなった外伝的ゲーム
「虹色の青春」では、その彼女の本質が全開バリバリに表現される。
 サッカー部マネージャーである彼女は、補欠ではあるけれども真面目に努力を続ける主人公(プレーヤー)に近づき、彼を奮起させることによって自らもリビドーを覚える。最初から才能にあふれたエースプレーヤーには目もくれないのだ。



 その彼女の嗜好は、上でも書いたとおり、特に何の才能にも恵まれない我が身に代わって、男の成功を通じて夢の達成感を得ようとする、いわば心理学で言うところの「補償」なのかもしれないが、では何故「才能」だけの天才肌が相手ではダメなのか?



 それは「天才が成功する」という、ある意味当たり前の物語では、彼女のアイデンティティは決して救われないからであろう。
 「何の才能にも恵まれない我が身(沙希ちゃん自身)」ではあるけれど、不断の努力によっては大きな夢が叶うかもしれないという(実際にはそんなことはないのだが)、一種虫の良い妄想の実現を、彼女はこれと見込んだ男によって確認したいのだ。それが虹野さんの「根性フェチ」の正体なのである。

↑ベッドでも根性を要求する沙希ちゃん



 ・・・さて、何やらネガティブなことばかり書いてるように思われるかもしれないが、しかし最初に書いたとおり、オイラは虹野さんが好きである。萌えているのである。どうしてなのだろう。



 それは沙希ちゃんが、そうした我が身のネガティブ面(才能の無さや、人に依存することでしか成り立たない生き方をしてしまうこと)を、無意識的にせよキチンとわきまえていて、でもそんな私でも幸せになりたい!出来ればあなたと一緒に!という、一種すがるように主人公(プレーヤー)の愛を求める健気な姿に打たれるからではなかろうか。そしてその姿に、何か自分の心の奥底にも繋がっている、凡人の哀しさを見るからではないだろうか。



 カラオケデートなどで良く分かるが、嫌がる彼女に無理やりカラオケをすすめると、ようやくワンコーラス歌ってくれてから、「下手だったでしょう?ごめんなさい・・・」とホントに申し訳なさそうに言うので、悪いことしたなあと反省させられる。(ファンの方は御存知でしょうが、CVの
菅原祥子氏の歌はホントにめまいがするほどヘタクソなのだ。明らかにスタッフは狙っているのだが、それにしてもキャラとのシンクロぶりがモノスゴイ)
 彼女には分かっているのである。自分が、歌だけではない、何をやっても取り立ててめざましいことは出来ず、しかし性懲りもなく十人並み以上の幸せを願ってしまうことを。



 だがそうした姿は、オイラを含め、プレーヤーの男の子の大多数にとって、また我が身そのものの姿とも言えるのではないか。
 どう努力したところで、プロ野球選手だとか宇宙飛行士だとかノーベル賞科学者なんぞにはなれそうもない。なれそうもないが、しかし無理と分かって夢想してしまうことはある。もし自分が女の子であれば、旦那さんとなる人にそんな夢を託するかもしれない。
 我々は皆、心の何処かに虹野さん的なものを住まわせている。だから彼女の、(ある意味図々しいけれども)切ない願いが分かる。分かるから萌えるのである。



 「虹色の青春」で、沙希ちゃんが、「一緒に頑張ろう?ね?」と、あの常に歯を食いしばってしゃべっているような菅原ボイスで必死に訴えるシーンで、だからオイラは、ドラマ自体の陳腐さなんぞすっかり忘れ、年甲斐もなく声を上げて泣いてしまった。
 取り立てて生き易いとも言い難い生を、それでも諦めたりふて腐れたりせず一生懸命に生きている沙希ちゃん。あの目映いほどの純粋さ、逞しさがあれば、どんな人の青春でも虹色に輝くのかもしれない。そんな感傷をありがとう!オイラはキミに「出会えて良かった」です!



 P.S. しかしまあ、沙希ちゃんの旦那さんになる人はちょっと気の毒ではある。サラリーマンだったりしたら命に関わるぜ。とにかく働いて働いて出世しなきゃイケナイだろうから。
 サボったり転職したりしようものならさあ大変。あの泣き顔で、泣き(菅原)声で、「言ったじゃない!社長になるまで続けるって!約束したじゃない!」だもんね。
 かくして旦那さんは過労死するまで働き続けるしかないのであった。その上毎日リキの入った愛妻弁当で追い込みがかかる。絶対逃げられましぇん。合掌。



 P.S2. ちなみにオイラは、沙希ちゃんにはモデルというか元ネタになったキャラがいるんじゃないかと思っているのである。それは
弓月光先生のマンガ「エリート狂走曲」に登場する作久間百合絵ちゃんだ。
 この娘も運動部のマネージャーをやっており、その可愛さと面倒見の良さで男子生徒からはアイドル視されている。しかし成績は良くなく、ハッキリ言って落第組だ。

(まるしー・弓月光)

 しかも男の汗の臭いが好きで、それを嗅ぐと興奮したりする意外な変質性があったりする。ね、似てるでしょう?髪型もソックリだし、この娘こそが沙希ちゃんのルーツだと思うんだけどなあ。違うかなあ。

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