No.25 この触手に泳ぎ疲れても


 以前某エロリンク集に当「最低のオリ」が「触手系のサイト」みたいな紹介のされ方をして戸惑ったことがある。
 いえ確かにサイトでは触手も扱ってるので別に不愉快に思ったわけではないです。ただ気恥ずかしかった。オイラは触手というカテゴリにそれほど強いこだわりを持っているわけではなく、だからそれについて詳しく知っていたり深く考えたりしていたわけではないからだ。



 つまりオイラにとって触手というのはあくまでエロの一ジャンルに過ぎないのだが、しかし最近、ぼんやりエロアニメを見たりしている時、「ここんとこイカス触手というのを見ないなあ」などと考えている自分に気が付いた。要するに触手に拘泥しているわけではないけど、触手が好きではあるんですね、オイラは。
 そこで、「触手系サイト」(^^)の管理人としては、ここらで触手についてのコラムなども書いておいて良いかもと思ったり。
 端的には、主にエロアニメにおけるオイラ的触手史観、そしてオイラが最近巷で見られるの触手描写のどこが不満なのか、ではどんな触手ならば見たいのかなんてことを考察してみたいと思います。



 さて触手エロの歴史というのは思いの外古く、ヘビが女体に絡み付いているようなエロ絵は古来ありますし、日本でも、例えば浮世絵の春画なんかに、大きなタコが海女を犯していたりというものがあったように思う。
 触手というのは、心理学的に見ると、銃や車よりはかなりストレートな男根(男性)の象徴だろう。男なら触手が欲しい。あのように自在に動くたくましい男根があれば、そりゃもう思うさま女性をヒイヒイ言わせられて気分の良いことこの上なしだからだ。それ故触手というモチーフは、古くからエロの対象となっているのだろう。



 その触手が現在のように一大ジャンルにまでなったきっかけは、やはり
前田俊夫先生原作による一連のエロアニメシリーズであろう。
 
「うろつき童子」一作目の触手シーンは当時衝撃的であった。
 それまでのアニメ触手というと、モタモタヌルヌル進んできてモッサリと女体に巻き付くようなモノが主流で、あのように目にもとまらない速さで迫り、絡み付き、犯す暴力的な触手演出というのはほとんどなかったから、黎明期のポルノアニメファンの度肝を抜くには恐らく十分であった。何より、その後瞬く間に雨後のタケノコならぬうろつき後の触手モノがニョキニョキ制作され、それだけで一つのジャンルを成すまでに成長したことが、うろつきショックの大きさを如実に物語っていよう。



 その後ジャンルが成熟すると共に触手の形状も様々に工夫され、シーンに華を添えた。
 ちょっと脱線になるかもだがそれらバリエーションについて書いてみると、おおむね下記の4パターンくらいに大別されるのじゃないかと思う。



1・プレーン型



 最も基本的な型の触手で、滑らかなビニールコードのような外観をしている。シンプルなだけに一本では寂しいので、ザワザワと多数が群れているような演出がよくなされる。



2・イボ付き軟体型



 初代うろつきがこのパターンに近い。触手本体が粘土のように形を変え、表面にイボや吸盤などを任意に形作る感じ。動きも自在で、スピーディーなことが多い。


3・ジャバラホース型



 表面がジャバラ状に波打っているタイプ。このタイプは半透明の表皮を持っていることが多く、その内部を体液(媚薬になっていることが多)が流れている様子が描写されたりする。また産卵管として描写されたりもし、その際は内部を卵が流れてきたりする。



4・二重構造型



 ジャバラホース型と似ているが、このタイプは内部から細めの触手や舌状の器官が伸び出してきたりする。それによって女体をよりミクロに責めるザンス。



 ・・・こんなとこかな?
 分けてはみたけど、ピッタリと各タイプに当てはまる触手はむしろ少数で、最近ではそれぞれのタイプを少しずつ複合させて演出していることが多いんじゃないかと思う。当サイトの看板小説「奈落の森の聖姉妹」にも、複合型の触手を登場させています。



 さて形状からしてかようバリエーションに富み、動きも往年とは比較にならないほどスマートに演出されていることが多い昨今のアニメ触手に、オイラはどうして不満を感じてしまうのか。
 単に触手に食傷したとか飽きちゃったとかいうこともあるかもしれない。でもそれだけではないとも思う。


 
 色々考えてみたんだけど、それはどうも触手描写が次第に記号化され、エロにおいて本来触手が象徴していたものをはずれてきているからではないかという気がする。
 触手が象徴しているものとは上で書いたとおり男根であるけれど、最近のアニメ触手っていうのはそれを忘れちゃってる向きがあるんじゃないかということです。
 確かに絵的には何が変わったわけでもなく、昔通りにシュルシュル蠢いて女体を捕らえ、押さえ付け、犯すんだけど、その触手が何も代表していない、まさに拘束具とかディルドーの代わりをガジェットとして果たすだけ、みたいになっちゃってる気がするのです。



 つまり触手が男根であるならば、それはアニメの視聴者である男性の身体と根元で繋がっていなければならないはずだ。しかしそれがいつしか何処かで断ち切られてしまったような心細さを、オイラは覚える。
 「自分はチンポそのものなんだ!」というアイデンティティを失ってしまった触手は、単なるネバネバグネグネした生物組織にすぎない。そこには男性の「犯したい!」「征服したい!」という原初的で野卑な欲求も宿らない。魂の無い抜け殻だ。
 そんなものが見てくれだけはカッコよく、スマートな作画で女体に挿入されたって、そも触手との連絡を絶たれている男性(視聴者)本体には快感が発生する道理もない。オイラの不満はそういうことではないのかなあ。



 何やら観念論じみて具体性を欠く感もあるので、オイラの見たい触手の例をビジュアルで示して括りとします。
 かつて
吾妻ひでお御大が描いた、この一種プリミティブな触手表現のテイストこそ、オイラが今またアニメで見たいと願う触手である。↓

(C)吾妻ひでお


 今日日のアニメ触手からすれば実にシンプルで垢抜けない表現だが、しかしオイラ的には5億倍イケてるですよ。
 触手が女性を蹂躙するという同じネタでも、ここではその触手が決して男性本体から断ち切られていない、むしろ男性そのものとして描かれているのがお分かりだろう。
 こういう迫力のある触手がまた見たいなあ。素速く、カッチョ良く動かなくても良いから、チマチマしたギミックなんか無くても良いから、もっと男の征服欲をギラギラと脂っこく代表した触手がさあ。

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