No.8 八代美紀さん


 今回はアニメや特撮中のキャラというわけではなく、実在の役者さんを扱うことにしたので、敬称を付けることにした。
 それにしても、
「八代美紀さん」とだけ書いて、「ああ、あの人か」とご理解いただける方が、果たして何人いらっしゃるだろうか。マイナー街道まっしぐらの「夢想館」にしても、ちょっちやりすぎではないかと不安になってくる。(^^;)



 彼女は東宝(円谷)特撮シリーズのバイプレーヤーであり、ちょっとマニア好みの女優さんである。そのキャリアについてはオイラも良く知らないんだけど、どうもうだつの上がらない大部屋女優さんだったらしく、実際どう見ても美人とは言えないし、その出演シーンにも華がない。
 代表的な役どころと言ったって、あまり印象に残らない脇役ばっかりである。例えば「『モスラ対ゴジラ』の、島の分校に勤務する女教師」なんつって、思い出せる人ってのも少ないのではないか。(当たり前だ)
 その他テレビシリーズにも時々顔を出していたが、それも「ウルトラQ」のスチュワーデス役(於・「206便消滅す」)などという地味なのばっかりで、まあマニアの密やかな楽しみのために存在する女優さんと言い切っちゃってもいいだろう。



 そんな彼女にもいわゆる代表作というヤツがあって、それこそは東宝怪奇シリーズの最高傑作として名高い、かの「マタンゴ」である。本作において、八代氏は、日本が世界に誇るグレイティスト怪獣女優、
水野久美氏よりも上位にクレジットされているのだから、これはちょっと胸を張っちゃっても良いだろう。



 さて「マタンゴ」という作品、冒頭から半裸のダンスシーンがある等、全体的に何やらエログロの香りが漂っちゃっている。(だからこそ、ここで取り上げる気になったのですが)
 男女7人が無人島に漂着し、そこでエゴ丸出しのサバイバル合戦が繰り広げられるというシチュエーションも、(当然欲望の対象にはセックスがからむから)エロの雰囲気満点である。そう、つまりはこれって、「無人島物語」なのである。



 この舞台において、エロのキーとなるのが八代氏である。
 自らのセックスアピールを武器に、色で男たちを支配しようとする水野氏とは対照的に、八代氏は頑ななまでに動物的欲望から目を背けようとするのだが、ここで重要なのは、彼女がその役どころを、キャラクターの本質としては演じていない点である。つまり、セックス神たろうとする水野氏に対し、八代氏は特段「清純ぶり」をもって立ち向かおうとはしていないのである。



 彼女が極限状態においても貞淑な処女を演じ続けなければならないのは、それが彼女に許された唯一のポジションであるからにすぎない。
 光り輝くような美しさをもってデモる水野氏を前にしては、どちらかといえばブタが欠伸をしているようなルックスの八代氏は、せいぜい身持ちの良さをアピールするぐらいしか、自身の売り込みようがないではないか。
 まして恋人役たる久保明氏が、「僕たちは最後まで人間らしく振る舞おう」などと白痴丸出しの戯言をわめくもんだから尚更である。核戦争勃発下において、「籍を入れるまでは清らかなままでいよう」などといってるようなもんで、劇中自分でも言っているが、アホかこの男。



 さて物語終盤、人間を精神錯乱状態にした上で怪物化してしまう猛毒キノコ「マタンゴ」によって、登場人物らは次々と中毒状態に陥ってしまう。
 八代氏も怪物化した仲間によって拉致されてしまうのだが、救出に向かった久保氏の前に、八代氏自身も「マタンゴ」中毒者となって姿を現す。
 トロンとした目つきで、
 「先生ェ〜、美味しいわァ〜」
 なんつってマタンゴをパクつく彼女の姿は、まさに快楽によって「堕ちちゃった」女の姿であり、そうなるまでには、他の仲間たちによって、あのチンポのようなマタンゴ茸を無理やり頬ばらされ続けたのだと思うと、こりゃ相当に萌えるシチュエーションと言えましょう。
 久保氏はそんな八代氏に絶望してその場から遁走しちゃうのだが、彼にしてみれば、将来を誓い合った良家のお嬢さんが、いつの間にかヤクザ者の腹の下で歓喜に喘いでいたっつーよーな立場で、情けないことこの上ないよな。
 いつだって、純情でロマンチストで、相手のあんまりな痴態から先に目を背けてしまうのは、男の方のようです。トホホのホ。



 ところで「八代」と書いて思い出したが、ついこないだまでテレビ東京の囲碁番組の司会をしていた
八代久美子二段、可愛かったよなあ。(^^)
 いつもふくれっ面をしているようなポッチャリ顔に、愛嬌のあるクリクリお目々。そして何よりも、清楚で折り目正しい物腰。
 思わずファンになっちゃったオイラは、日曜早朝から、碁のルールも知らないのにテレビに釘付け状態。惚れた弱みよのう。
 もっとも彼女、どえらいペチャパイらしいのが難点なのですが。(^^;)

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