へびいもうと(元ネタ「白へびの恐怖」)について
(このお話をお読みになる前に)
こんばんは(例によってわたしの場合は朝でも昼でもこのあいさつです)。
前回の「エコエコアザラク」の原作者、古賀新一先生のよりずっと以前、少女向け週刊漫画雑誌「マーガレット」に連載されていた作品の二次小説をお届けいたします。
この作品をご存じの方は、もしかすると若い方ではほとんどいないと思いますが、そうですね。いまの50歳前後の女性の方にきけばそんなのもあったと言われるようになるかもしれません。それより、楳図かずおさんのことなら知っているという若い方も多いと思います。事実、「まだらの少女」が映画となって実際に上映された映画館にも行ったのですが、意外と昔の原作を知っていると思われる世代の人が全くといっていいほどおらず、若い人ばかりだったので、結構古い原作でありながらいまの時代でも支持されていることを痛感したものであります。
これはその昔、当時のもうひとつの少女向け雑誌だった「少女フレンド」に楳図先生の恐怖作品が連載されていたもので、これに対抗して「マーガレット」で古賀先生の恐怖作品が出現していたものであります。両者とも構図が似ているから名前を変えて楳図先生が描いたのかとも思われたようですが、実際には少し違います。
それよりもまず、なぜ女の子向けにそんなこわい漫画があったのでしょうか。こうした恐怖ものについてはもちろん面白く読んでいた、いちばん楽しみだったという読者もいれば、反対に絶対にいやだという人もいて評価は両極端に分かれていました。そのため、たいていいちばん後ろのほうに入っていたと思います。結局、数年たって少女雑誌からはどうしても恐怖ものが苦手という人のために姿を消しましたが、のちには恐怖専門の漫画雑誌がぞくぞくと発行されるようになりました。これらが、ほとんど女性向けにできているのは、男性だって好きな人はいるだろうと思うのに、なぜ女性中心なのかというのが不思議だと思う人も多いかもしれません。
話を昔に戻せば、当時は男の子向けで「少年マガジン」や「少年サンデー」などもまだ発展途上期にあった頃で、漫画も手塚治虫や横山光輝、石森章太郎あるいはギャグの赤塚不二夫や藤子不二雄などまさに草分け期で楳図かずおももちろんそれらの人達との同じ立場に位置していました。おもに人気があったのはもちろん手塚治虫の「鉄腕アトム」や横山光輝の「鉄人28号」などであり、またウルトラマンのような怪獣もブームでした。ほかに「宇宙少年ソラン」「宇宙エース」「レインボー戦隊ロビン」「遊星仮面」など、それらは善対悪の戦いを中心としながらもある意味夢の世界でありました。しかし、それらはつねに主人公が男で、女の子が引き立て役の冒険ものが多かったという気がします。
もちろん「魔法使いサリー」や「ひみつのアッコちゃん」のような女の子が主人公の作品も人気がありましたが、さて、これらから見ても女の子の間に人気があったものは、そうした魔法もののような類、つまりは現実にはおこりえないような超常的現象のようなものに対する憧れも強かったのかもしれません。そこで、当時はほとんど男性がリードしていた男中心の社会。これをよしとしない、いわゆるフェミニスト的な立場で見ると、現実とは逆の世界が受けていたというようなことも言えます。のちにホラーと呼ばれた一連の作品は、当時はスリラーと呼ばれていました。
原点に戻って、最初に「少女フレンド」では楳図かずお先生の「ママがこわい」という作品が始まっています。これ、話の筋がよく見れば実は手塚治虫の「マグマ大使」によく似ているのです。つまり、「マグマ大使」では主人公の少年の母親が襲われて連れさられ、その人間モドキという偽物が送り込まれて少年を恐怖におとしいれます。「まだらの少女」も、主人公の母親が病院でへび女とすり替わるという、母親が実は妖怪であるという恐怖心を描いた作品で、これはたしかにこわいですね。実際に私も他のサイトでこのようなネタを使って発表したら、読んだ人がこわかったという感想をいただいたりしました。手前味噌ですが。
しかし、「ママがこわい」はまだ導入部だったようなもので、同じ方法は使わず、これの続きとしてさきほども映画化されたことで取り上げた「まだらの少女」が連載されました。これは特に主人公にとっては少し年上のいとこの女の子に悪魔がのりうつり、さらに少女にのりうつった悪魔が自分の両親や妹にも悪魔をのりうつらせる、これぞあやつりの原点というべきもので、主人公の少女を恐怖におとしいれていくというもので、この類はさらに「ねこ目の少女」「紅ぐも」と続く作品にも取り入れられて作者のひとつの世界が完成したものであります。そして、これらの作品を好んで読む者にとっては、ここまで来るとこわい思いをする主人公より、逆に襲う立場の悪役のほうに同化してみると面白いと思うようになってその点から受けていたとも思われます。そこは、女の子でもこんなことができてしまうというところから、当時の男の子向けで人気のあったものは善悪いずれも男ばかりだったところに、女の悪役もちょっと珍しく、しかも悪魔をのりうつらせるという形で子どもを悪役にさせたというところも奇抜なイメージがあったのかもしれません。
女の子はそうした見方でおもしろがっていた感がありますが、男の子にとってはまた違います。本来、女の子の漫画なんて男が読むものではないと思われたところへ、女の漫画にも面白いのがあるぞと言われて紹介されたのが実は楳図かずおや古賀新一のスリラーだったのであります。男の目から見ると、やはり最初はこわいというイメージがありましたが、なんとなく感じたのは上記したように女の子の悪役が珍しいと思ったこと、また気持ち悪いと思う反面、描かれている女性がみなけっこう美人だったり、特に自分の好みとする長い髪の毛の女の子が多く、事実「まだらの少女」などでも髪の毛が長い子のほうに悪魔がのりうつっています。男の子にとって長い髪の毛の女の子にはそうした悪魔的魅力が備わっているためにまさに自分の心を惑わせてしまう、実はいまもこの文章を書き出したらムスコが立ってしまったので思い出しても男をあやつってしまうへび少女のようなイメージがあります。もしかすると、自分のクラスにいた女の子で髪の毛が長い子はへび少女じゃないかと思ったりしました。へびは性欲の動物で、長い髪の毛、特に好みとしている三つ編みの髪は毛先がへびの顔にも見えたり
しました(笑)。
そうすると、ホラーが実はポルノなんじゃないかと思うようにもなりましたし。まあ、悪魔が女の子にのりうつったものといったら、洋画の「エクソシスト」が代表的で、あれを見て失神した女性が多かったのですが、私はなぜか興奮して下着を精液で濡らしながら映画館から帰宅していた記憶があります。実をいえば、私がそうして興奮するのは長い髪の毛の女の子を見た時にもよくあります。最近、見たことがなかった仮面ライダーの第69話「ギラーコオロギ」をビデオで借りてみると二本三つ編みの超長い小学生ぐらいと思われる女の子が怪人になる瞬間はほんとうに精液が出てその場で夢精をしたようにべとべとになってしまいました(笑)。これはしかも先に襲われて怪人化した男の子に子どもどうしでその三つ編みの女の子を襲わせているのがまた興奮させられてしまいました。この三つ編みの子もその近くにいた子どもたちは全員怪人になっているのでだれかを襲って怪人にしていると思うのですが、その場面がないのが残念なので、ひょっとしたら男の子を襲って怪人にした場面もあってカットされたと思われます。そっちのほうがいちばん萌えてくると思います(笑)。ほかに、杉戸光史
先生のへび女ものでへび少女になったツインテールで三つ編みの女の子が同級生の男の子をつかまえて仲間にしている場面にも興奮しましたが、男の子は気絶しただけで洗脳シーンまでないのが残念でした(笑)。
今回、モデルにしている古賀新一先生の作品も、ところどころでハアハアさせられました(笑)。今回の題材は「白へびの恐怖」ですが、それ以前に同じ「マーガレット」では最初に「白へび館」という作品を発表しています。この作品では二度クライマックスがありました。ひとつは、主人公の少女の妹がつかまってへび女がその妹に化けるために妹と同じ三つ編みおさげの髪形を結ったことです。キュートな髪形と恐ろしい気持ちの悪い目つきと牙のあるへび女の顔とのアンバランスに萌えて精液も出てしまいました(笑)。そして、もうひとつは主人公がそのへび女に背中からかみつかれてへび女になりかける場面です。このへび女もよく髪形を変えて最初はお嬢さまふうの前髪をまとめて後ろに長くおろした髪だったり、主人公を襲う時はポニー・テールになっていました。楳図かずおの「まだらの少女」でも、超長いポニーテールの髪をほどきながらへび女であることを現わす少女の場面がいちばん萌えて精液も出たほどですが、当時の男性漫画家でこのふたりは女の子の髪の毛に実にていねいに描いてそれが美少女が多く、また気持ち悪い顔との対比にもなっていたと思います。そういえば、腰ま
でのロングヘアをおろしているほか、三つ編みやポニーテール、三つ編みでないツインテールの少女も両者はよく描いています。「呪いのへび教室」でも、最初に描かれているキャラクターはどこにでもいそうな制服姿のロングヘアの少女が、だんだん表情を変えてへび少女である正体を現わしていく様子は、実際に援助交際などするいまの女学生にもいそうな姿をあらわしているようです。
そこで、上記の「白へび館」が、もし、主人公の女の子が男の子だったら…、男の立場ではそのほうがゾクゾクしてくるかもしれません。妹の姿をしたへび女に襲われかけたり、またキュートなポニーテールをしたへび女にかみつかれて下僕になりかけるのは、映画だったら長い髪の女の子が好きな男の子が立候補してくるかもしれませんね。
今回の「白へびの恐怖」も、原作は主人公ももちろん女の子、つきまとって襲うへび女ももちろん女です。しかし、これをたとえば襲うほうのへび女を男にしたら…、これは主人公にとってより女の子をこわい思いにさせるので、逆の設定にしています。この原作に登場するへび女も、素顔は究極の美少女で湖の前に長い黒髪をおろしてたたずんでいる姿などそそられましたが、水面には恐ろしい顔が映し出されているという場面、そして主人公の少女を残酷にもさるぐつわでしばっていたなどまさにSMではと思う場面があります。また主人公の少女にも化けたり、髪形を三つ編みのおさげに変えて少女の家族に侵入し、少女の顔に自分のうろこをかぶせてへび女のような姿にするなど、これももし映画にするなら、へび女の役は男を女装させてやらせてみたほうがいいかもしれません。
こういったところで、原作からみてポルノにしてしまうとは、などと怒りを買う恐れもあるかもしれませんが、際どい場面がもともと多かったような気がします。
そうしたところで、今回「へびいもうと」という題名にしてあるのでもちろん、へび女が妹という設定です。ここらが実はさきほどの楳図かずお先生と古賀新一先生とで対照的なところで、楳図先生は妹が主人公で悪魔にのりうつられるのが姉というパターンがほとんどです。ところが、古賀先生はこれが逆で姉が主人公で妹が悪役のパターンが多いです。そのあたりは分担していたようですが、その点もふまえながら今回の作品を構想したものであります。
主人公の少女が「えり子」という名前だったのですが、男の子でまた当時少女フレンドに連載されてこちらはホラーではありませんが、里中満智子先生の「絵里子」というタイトルで三つ編みの女の子だったのが好きなので、この字をあてました。同じ母音で無理があるかもしれませんが「絵里人(えりと)」としておきます。へび少女になった女の子は「まゆ子」という名前でしたので、「昌祐子(まゆこ)」とします。
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