その1


ここは、東京都内のいわずと知れた若者の多く集う街。昼夜を問わず、若い女性に声をかけまくっている男たちの姿がある。
その夜更けも近いころ、ほとんどその繁華街からはずれたような場所の暗い坂道をとぼとぼと歩いている若者の男がひとりいた。

増美「ちっきしょー。きょうはひとりも釣れない、悪い一日だったな。特にいちばん髪の毛が長かったあの子が、惜しかったな。」

その迫谷増美(さこたに・ますみ)が歩く先に、思わぬ人物が待ち構えていたのである。

増美「もしかすると、若い女の子が、あっ。」

背中いっぱいに長い黒髪を覆っていたが、両サイドの前髪をまず耳の上で黒いヘアゴムによってそれぞれくくり、後ろの髪といっしょに背中におろしていて、セーラー服を着ている少女の後ろ姿があった。髪の長さもまた地面にもうすぐ近づくぐらいの超ロングヘア少女だった。

増美「こんなところに、女の子が、よし、いちかばちかで。」

少女に増美は声をかけるため、その少女を追い越していたが、その相手は彼にとって思わぬ者だった。

増美「うわっ、お、おまえは雅耶…。」
雅耶「おほほほ。こんなところで会うなんてね。」

超ロングヘア少女の正体は、男ともと同じ中学で須田昌彦(前シリーズ参照)ら番長グループといっしょにブスだからみんな近づくなといじめていた相手の平野雅耶だったのだ。卒業してだいぶたっていたからもちろん、髪の毛がこんなに伸びていたことは知らなかった。

増美「お、おまえはこんなところで、しかもこんな夜になにをしてるんだ。まさか、だれかいい男がおまえのところに来るとでも思ったのか、おまえのいるところじゃないだろう。よいこならうちに帰りな。」
雅耶「わたし、もうよいこじゃないわ。悪い女になったの。悪魔とセックスもして子どもも生んだわ。人間の血が大好きな女の子よ。」
増美「うそつけ、おまえにその科白も姿も似合わないよ。生意気に髪の毛長くなんかしやがって。」
雅耶「まあ、どうやら、あなたもあの須田昌彦くんと同じように、長い髪の毛の女の子が好きだったようねえ。昼間からあなたのこと、ずっと見てたわ。長い髪の毛の子ばかりに声をかけていたから。」
増美「うるさい。おまえなんか、だれが相手にするか、ふん。」
雅耶「あら?べつにいいわよ。あんたみたいな男というより、女のくさったみたいなやつに好きになってもらってもうれしくなんかないから。」
増美「ブスのくせに、負け惜しみみたいな口きくんじゃねえ。ふん。」
雅耶「うふふふ、じゃあ、ブスの味を思い切り味あわせてあげる。」
増美「なんだよ、急に、あっ。」
雅耶「うふふふ。」

雅耶の目が光り、両サイドのヘアゴムでくくっていた前髪が舞い上がって左右から増美の首に巻きつきはじめたのであった。

増美「うわっ、く、苦しい、おまえはみんなに化け物みたいだと呼ばれてたよな、けれど…。」
雅耶「そうよ。本当の化け物よ、おもい知るがいいわ。」
増美「ああっ。」
雅耶「うふふふ。」

雅耶の前髪を分けていたヘアラインがかぱっと割れ出した。首を雅耶の髪の毛に巻かれた増美は、その髪の力によって持ち上げられてしかも逆さに宙になって割れている雅耶の頭へ吸い込まれようとしていた。

増美「助けてくれ、何をする気だ。」
雅耶「ほんとうは、わたしのことを好きなくせに。わたしに殺されれば本望でしょう。」
増美「やめろ、殺す気か、死にたくない。」
雅耶「うふふふ。そしたら、少しだけおまえにおいしい思いをさせてあげる。ただし、わたしの下僕になるのよ。」
増美「だ、だれがおまえの下僕になんか、ううっ。」

雅耶の、増美の首をしめつける力がより強くなって、増美は気を失ってしまった。落ちてくる増美を抱き上げて雅耶はすぐそばにあったラブホテルにまた連れ込んでいったのである。
雅耶は、悪魔によって宇宙に連れ去られていたが、その悪魔と一体化して世界を征服するために地上に戻っていたのであった。髪の毛もまたあれからより長く伸びていたのである。



増美「こ、ここは、あっ。」
雅耶「気がついたわね。」
増美「うわっ、いつのまに。」

増美が気絶している間に雅耶によってホテルに連れていかれ、その間に着ていた服や下着をすべて脱がされていたのであった。雅耶も裸になっていて、増美の首を両足ではさんでプロレス技のように増美の身体に乗っかって増美を動けなくしていたのである。

雅耶「わたしのここ、なめてみるとおいしいわよ。」
増美「だ、だれがおまえのそんな汚いところなんか、ううっ。」

光線を当てて、意志もないのに増美は雅耶の股間をなめさせられていた。

雅耶「ふふふふ、つぎはわたしのおっぱいをもむのよ。」
増美「どうして、手がひとりでに勝手に…。」
雅耶「ほら、ほら、べつに無理にやらせているわけでもないのに、けっこううれしがって強くもんでいるじゃない。」
増美「や、やめてくれ、もう、こんな女とやるよりは死んだほうがましだ。」
雅耶「あら、さっきは死にたくないと言ってたでしょ。」
増美「お、おれは…。」
雅耶「おまえの言いたいことはわかるわ。どうせなら、ほかの好きな女と自分が上位になってやりたいとか。だったら、その願いを叶えてもいいわよ。わたしはなんでもできる化け物だから。」
増美「いったい、どうしてそんなことができるように。」
雅耶「うふふふ。」

雅耶は、はがいじめにしていた増美の腕を離し、立ち上がって向きを変え、増美に後ろ姿を見せていた。背中からお尻を隠して毛先が床にも届きそうな長い黒髪の後ろ姿に、また増美はぼおーっとなってしまうのであった。毛先が床に近づいているということは、横たわっている増美の身体にも毛先がふれ、事実、増美の性器がぼっきしていた。

増美「うわっ!」
雅耶「くくくく。」

ぼっきした増美の性器に雅耶がかみついてフェラチオを始めた。前にかがみながら自慢の黒髪を外側に垂らして増美の顔から見えるようにお尻を現わしていた。増美が興奮して精液を出すと、雅耶のお尻からも反射的に白い精液がとびでて増美の顔を直撃してしまった。

増美「あ、ああ…、なんだ、うう…。」

増美の顔に落ちた雅耶の精液は、そのまま増美の顔じゅうにひろがって覆ってしまい、増美の首の後ろから頭のほうへも精液がひろがっていた。

雅耶「うふふふふ、おまえはわたしのおもい通りに動くのよ。」

雅耶が横になっていた増美の身体を手を引きながら身体を起こし、洗面台の前に立たせていた。

雅耶「ほら、自分がどんな姿に変わっていくかを、この目でたしかめてごらん。」
増美「うわっ、頭から、ああっ。」

精液の移った後頭部からは、増美の髪の毛が急に伸びて垂れ下がり、肩を覆うようになったかと思うとそのまま腰のほうまで伸び、前髪も胸のほうに垂れ下がったかと思うともう少しで性器に届くところまで伸びてそこで止まった。

増美「な、なんだ。こんな女みたいな髪の毛に。」
雅耶「ふふふふ。うれしいでしょう。髪の毛長い女の子にあこがれていたのは、自分もできたらその子みたいに髪の毛を長くしてみたいと思っていたからでしょう。女の子の姿になれたのだから、わたしに感謝することね。」
増美「おまえの精液がこんな髪の毛に…。」
雅耶「そうよ。ちょっと興奮しすぎて出しすぎてしまったかもしれないけど。ふふふふ、ちょっとととのえてあげる。」

雅耶がヘアブラシを持ち出して、呆然としている増美の背中にたって長く伸びたばかりの髪の毛をとき始めた。人を殺す呪いのヘアブラシによる魔力が増美の髪に乗り移ったが、以前の人食い髪のような機能はここでは入れられていなかった。とかした後、雅耶は増美の髪を二等分してひと束ずつ三つ編みを結い、毛先には自分の前髪をゆわえていた黒いヘアゴムを移して増美の髪にそれぞれゆわえていた。

雅耶「この髪の毛は血を吸うことのできる、毛先が針になって傷を相手につけることができるの。こうして三つ編みの束にした髪だとまた集中的に血をたくさん吸えるわ。そうすると相手も自分と同じようになるのよ。おまえは、黒井美佐の通っている女子高校に入ってその仲間をふやし、美佐を殺す、それがおまえの役目。いいわね。」
増美「はい。」

自分の三つ編みにされた姿にもぼーっとなってしまった増美は、どこかうつろになってすっかり雅耶に洗脳された下僕になったようである。





黒井美佐が転校した女子高校に、またひとりの転校生が紹介されていた。なお、学年は高校二年であるが、美佐は留年しているのでほかの生徒とみな一年歳が上である。

増美「迫谷増美と申します。宜しくお願いします。」

最近、ほとんど見られなくなったようなおとなしめのおちついた雰囲気のある女子生徒だと、美佐は思った。

美佐「まあ、二本の三つ編みをしてる子なんて、そういえばこのクラスにはいないわね。たしか、前の学校では平野雅耶さんがもっとちょっとちがった感じの三つ編みしてたけど、たしかツインテールで耳のところにもヘアゴムをいつもしていたし。でも、彼女のことを思い出すのはやめよう。」

その増美を実は雅耶があやつっていて、しかもその正体が男であり、また自分を狙っているということを美佐は夢にも思わなかったのである。



昼休み中の女子便所の一室に増美が入っていた。増美は背中におろしていたかたほうの三つ編みの髪を前にはらって、毛先にゆわえられたヘアゴムに向かって話していた。

増美「雅耶さま。とりあえず、正体を気づかれずにひとりの転校生として入ることができました。」
雅耶「ふふふふ。すぐに仲間をふやしなさい。ただし、失敗したらあなたの命はなくなるから、そのことは頭においていなさい。」
増美「わかりました。雅耶さま。」

増美が用足しも果たして一室から出ると、最上級の三年生らしい女子生徒がふたり立っていた。ひとりは背も高いロングヘアで、となりにいた生徒はセミロングだった。髪の長いほうは嶋岡京子といってこの学校の女番長であり、その子分格としてついてまわっているようなもうひとりの生徒は森原七絵といっていた。

京子「おまえ、転校生だな。そんな長い髪の毛してた目立つんだよ。まず、あたいたちにあいさつしなきゃな。」
七絵「そうだよ。わが番長より髪の毛を長くするなんて、生意気なこと、この学校では許されねえんだよ。」
増美「えっ?わたしは…。」
京子「ふん、もういちどその便所にはいりな。」

ふたりのスケバンにとうとう増美はまた便所の一室に入れられてしまった。七絵が制服のポケットからはさみをとりだした。

七絵「いい度胸だぜ。その髪の毛をこのはさみで…。」
増美「やめて、いたい。」

増美の三つ編みにしているかたほうの髪の毛を七絵がわしづかみにしてはさみを入れようとした瞬間、増美の表情が不気味に変わり出し、目が赤く光りはじめた。

七絵「な、なんだ、こいつ。」
京子「うっ。ああっ…。」

増美の三つ編みにしている双方の髪の毛が舞いあがりはじめ、七絵にわしづかみにされていた髪がその手首にまきついていた。このため、七絵も手をひろげて髪の毛から離れ、驚いてもうかたほうの手にあったはさみも落としてしまった。

七絵「きゃあ、もしかしてあんた、化け物…。」

増美の三つ編みの髪の毛が京子の首を目がけ、ついに京子の首に巻きついていた。

京子「く、苦しい、いたい。やめて…。ああっ。」

そばで呆然と見ていた七絵も、止めることもできなかった。京子の首から血が出ていてしかもその血が増美の髪の毛先に吸い込まれていた。そして、京子の表情もまたうつろになって変わりはじめた。

七絵「きゃあ、番長…。」

京子の髪の毛も舞い上がって今度は左右に分かれてまた七絵の首に巻きつくのであった。

京子「くくくく。」
七絵「い、いたい、やめて…。」
増美「うふふふ、髪の毛が長くないほうの子は、女の子のほうにまかせる。おれは自分の好みで長いほうの子ばかりをこうして下僕にする。ふふふふ。」

増美の正体は、雅耶が洗脳して女子生徒に化けさせた男だったのである。スカートをぬいで下着からぼっきした性器がはみでて、精液も流れ出ていた。
女子生徒たちの悲鳴が美佐に聞こえていた。

美佐「どこかしら、この階の便所だわ。」

美佐がその便所に向かってたどりついた時、すでに手遅れで、京子と七絵のふたりは増美と同じ雅耶の下僕である怪人と化していたのである。

美佐「ここだわ、あっ。」
京子「くくくく。」
七絵「くくくく。」

増美はまだ便所の一室に隠れてまた不気味な笑いを浮かべていた。

増美「うふふふ。美佐をさっそく襲うんだよ。」
美佐「あなたたちは…。」

あやつられた女子生徒たちに迫られた美佐は…。


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