1…「闇の中…」

 暗い闇の中で彼女は目を覚ます…
『…ここは…どこ…わたしは…だれ…』
 混濁した意識…彼女は一つずつ確かめるように考える…
『わたしは…そう…私は…きさらぎ…如月未緒…きらめき高校…そう…学校は明日…卒業式だったわ…ここは…うつ…頭がいたい…』
 思考が上手くまとまらない…何故だろうか?身体も動かない…いや…動けない…もう一度、思考をめぐらせる…そして思い出し始める…少しずつ…

*      *      *



 夕闇迫る帰り道…彼女…如月未緒はもの思いにふけながら帰り道を急ぐ…急な用事と、先生に頼まれた図書委員の仕事が予想以上に手間どり、このような時間に帰るはめになったのだ、本当なら下校の時に偶然を装って彼と一緒に帰る筈だったのに…未緒は、夜の帰り道で彼の事を考えながら家路の道を急ぐ…
 小さな頃に夢見た事がある…白馬の王子様の事を…だけど今は…予想していた王子様とはまるで違うのに、どうしてこんなにも好きになってしまったのだろうか?

 かっこいいというわけでもない…でも、彼はやさしい…

 洒落た言葉の一つをささやくわけでもない…でも、彼の言葉は心に奥底に染み込んでくる…

 去年の春、偶然の出会い…

 去年の夏、彼との初めてのデート…

 去年の秋、木の葉舞う公園でつないだ彼の手のぬくもり…

 去年の冬、クリスマスに渡したプレゼントを喜ぶ彼…

 今年の春、桜の花びらの中で寄り添った時に感じた彼の胸のこどう…

 今年の夏、初めての海…波が楽しく、潮風が嬉しく、はしゃぐ私を優しく見つめていた彼…

 その時に私は思った…彼となら、この先…長い時を一緒に歩いていく事が出来ると…

 伝説の木に下で、伝説の通り彼に告白をして、二人の時を過ごして行く事が出来ると…

 私は、思った…


 そんな事を考えながら歩いてる未緒の背後から車が一台近づいて来る、警笛が鳴らされ我に返った未緒が慌てて道の隅に身を寄せた。
 道幅はそんなに広くない未緒は一瞬ビクッとするが道の脇に身体を避けて車を行かせる、そんな未緒の横を車は結構な速度で通りすぎて行く、地味な色の大型のスポ―ツ・ワゴン・・・・窓はミラ―ガラスで中は見えない、その車は角を曲がり見えなくなる、未緒は車の巻き上げた砂埃に包まれ軽く咳き込む。
「ごほっ、ごほっ・・・危ないな…こんな狭い道でスピ―ドを出して…」
 身体に着いた埃を払いながら車が曲がった角を未緒も曲がる、曲った少し先の道路に先程の車が停まっていた。
(さっきの…車だ…)
そんな事を一瞬思う、何か嫌な予感が心の片隅を過ぎ去る、しかし結局、未緒は車を気にしないようにして横を通り過ぎる事にした。
車の横、スライド式のドアのあたりを通り過ぎようとした時、車のドアが突然開き男の野太い腕が未緒の身体に絡み付く、同時に口も覆われる、未緒は悲鳴すらあげる間もなく車中に引きずり込まれた、それは手慣れた作業のような、一瞬の出来事であった、まるで魔法のように未緒の姿が路上から消え去る、車のドアがピシャリと閉まり、未緒を飲みこんだ車がゆっくりと走り出す、まるで何もなかったように…後には未緒の靴が片方だけ路上に残されているだけであった。

*     *     *



『そうだ…車の中に連れ込まれ…何か薬をかがされて…意識がなくなって…』
 おぼろげだった未緒の意識が鮮明になり、はっきりとしていく…そして、自分の置かれている状態を把握しようと意識を集中せる…周りを見回す…暗くて何も見ることは出来ない…身体に力を入れてみる…身体は動かない…何か縛られているような感じがした…そして気がつく…素肌に床の冷たい感触が直に触れていることに…足…太股…腰…背中…肩…布越しではない、素肌に床の感触を感じている部分がある事に…
『何で…?』
 恐怖に似た感情がこみ上げて来る、何かされたような感触は肉体には感じない…しかし…未緒は思わず叫ぶような声を出す。
「いったい…なんなんですか!!」
 次の瞬間、未緒の声を合図にしたかのように暗闇が、白い光に満たされる…あまりの眩しさに未緒は顔を背けて、目を閉じる。
「うっ!」
「気がつきましたか?未緒さん?」
 男の声がした。
「誰!誰なんです?私を…どういう気なんですか!」
 声がしたほうに未緒は顔を向ける、眩しさのせいではっきりと見定めることは出来ないが、どうやら男が椅子に座ってこちらを見ているのを確認できた。
「想像した通りの綺麗な身体ですね?」
 男の言葉に未緒はハッとする、そして気がつく自分がどのような姿でいるかを…衣服は所々脱がされ引き剥かれている、捲り上げられているスカート、大きく胸元を押し広げられブラジャーを剥ぎ取られ剥き出しの乳房、その代わりとでも言うように上半身を、下半身を縄で複雑に縛られ、腕も後方に纏めて縛られていた。
(未緒は知りようが無かったが、その縛り方は専門家の手によるものであった)
「あなたは…いったい、どう言うことなんですか?」
 未緒は叫ぶように言いながら、身体を縮込ませて少しでも男の目から縛り上げられている乳房や素肌を隠そうとした。ただ結果的には、べつの部分…尻などを…男の目に曝しただけであった。
「そうですね…一言で言えば、気に入ったんですよ未緒さんのことがね…すべてがね」
 男はニコニコと笑みを見せながら言う…ビデオで見た映像…恋人と楽しげに微笑みながら歩いていた映像…男は壊したかった…その微笑を泣き叫ぶ表情に変えてやりたかった…湧きあがる邪な欲望を未緒の肉体に注ぎこんで遣りたかった…それは、ある意味で言えば一目惚れといっても過言では無い感情のうねりであった。
「未緒さん…私は、未緒さんのことが好きになったんですよ…」
 未緒には男の言っている意味がまるで理解できなかった…ただ…男の自分を見つめる瞳の中に尋常ではない狂気を見て取ることが出来た。
「なっ…なにを言ってるんですか!早く縄を解いてください、警察に言うますよ!」
 湧き上がる恐怖を気取られまいとするかのように、未緒は男に叫ぶように言う。
 男は、そんな未緒を相変わらず微笑を見せながら見ている…やがて、男は椅子の陰からリモコンのような物を取り出して操作する…部屋の隅に置かれていたテレビのスイッチが入り、繋げられていたビデオも同時に動き出す…男は顎でテレビを指して言う。
「面白いものを見せてあげますよ…めったに見れないものですよ…」
 男に促されるままに未緒はテレビの方を見る…テレビの画面には未緒が映し出された…

*     *     *



 数人の男が気を失ってる未緒をまるで荷物か何かのように抱えて部屋に入ってくる…どうやら、いま未緒がいる部屋らしい…ぐったりとしている未緒の制服を男達は手際良く剥いでいく…横たわる未緒に馬乗りになると、制服を捲りあげる、中央に小さな飾りリボンの着いている白いブラジャーが露になる…ブツン!とブラジャーが乱暴に引き千切られ、布切れに変化した。そして引き千切られたブラジャーの下から、こぶりだが形の良い乳房が露になる…その充分な軟らかさと弾力を秘めている剥き出しの乳房、その乳房に半ば埋もれている、小粒な薄いピンク色の乳首が恥ずかしげに両の乳房の上にあった。
 男の手が、下半身へと移動していく…スカートの縁に手がかかる、スカートが乱暴に引き剥がされ、ブラジャーと揃いの白い小さなリボンの着いたパンティーが露になる…ズルリ…パンティーが脱がされる、脱がされたパンティーが小さな布切れとなり、放り捨てられる、今まで布切れに隠されていた秘所が剥き出しになり、薄く淡い手入れの行き届いた恥毛が茂る股間が、テレビの画面いっぱいに映し出される。
 未緒の制服を脱がしている男達とは別の男が、電気カミソリを片手に未緒に近寄ってくる…電気カミソリのスイッチが入れられ、未緒の恥毛が茂る股間に押し当てられた。チリッ!チリッ!と電気カミソリは未緒の股間を剃り上げていく…少しして、電気カミソリが離された…男が、未緒の両足を抱えあげ大きく股を広げさす、まるで母親が小さな子供に小便をさせるかのような格好である。テレビ画面に、未緒の姿が大きく映し出され、大きく股間を剥き出しにしている未緒…奇妙な事に剥き出しにされている未緒の股間の恥毛は半分、ちょうど秘所の割目から右半分だけが剃りあげられ、左半分には淡い恥毛が残されていた。
「未緒さん?なかなか、芸術的でしょ?」
 椅子に座ったまま男が言う…半分だけ残された恥毛が、奇妙な…それでいて妖しいまでの淫靡さをかもし出す…やがて、半分だけ残されていた恥毛も、剃り上げられていく…後にはまるで赤ん坊のように、綺麗に股間を剃り上げられた未緒が映し出される、横たわる未緒の股間を男の手が大きく広げる、秘所を剥き出しにした股間がテレビの画面いっぱいに晒される…男の指先が未緒の口唇に指し込まれる、指先が未緒の口唇を嬲り唾液を絡みつかせる、未緒の唾液で濡れる指先が口唇から引き出され、未緒の秘所にあてがわれる…指先が秘所を嬲り始める…指先がゆっくりと秘所を弄る…
 肉襞を押し広げ、その奥に隠された美肉をカメラのレンズに曝け出させる、なにか内臓を思い起こさせる薄いピンク色の肉がヒクヒクと蠢き、嬲る指先の動きにあわせて粘液を滲み出させている…再びパンティーが着せられる、白いパンティーに濡れた染みが広がっていくのがわかった。
 画面に紐を持った男が現れ、未緒の身体に縄をかけていく…複雑な…それでいて奇妙に規則正しく紐が未緒の身体に纏わりつき戒めていく…剥き出しになった乳房…M字開脚にされた足…やがて完全に未緒を縛り上げた男は未緒を床に転がす…ビデオはそこで終わった。



「何を…何を考えてるんですか!この…変態!キチガイ!変質者!」
 自分の股間に視線を落とし、濡れた染みが広がるパンティーを見て取りテレビに映し出された事が真実であることを悟った未緒が縛られたまま叫ぶ。
「よく御分かりですね?私が、変態でキチガイで変質者であることが…でもね、一つかけていますよ?未緒さん…」
 ビクリッ!と…未緒が身体を震わせる。
「実は…私は、サディストなんですよ…とびきりのね…」
 ニィ〜と、男が笑う…その笑みを何に例えれば良いのであろうか?猫科の肉食獣が獲物の最後の瞬間に見せる慈愛に似てるかもしれない…大蛇が獲物を飲みこむ瞬間に見せる表情かもしれない…悪魔が地獄に落ちてきた罪人に見せつける最後の微笑みに似ているかもしれない…あるいは、それら全ての表情を含んだ笑みかもしれなかった。
「いや…もう…もう、やめてください…今だったら警察にも他の人にも、誰にも言いませんから…おねがい…」
 男が椅子から立ち上がり、縛られている未緒に近寄る。
「無駄ですよ…もう、貴方は誰にも喋れなくなるのですから」
 男の足が未緒を蹴飛ばす。ゴロンと未緒がその場の転がる。
「あうっ!」
 男が、着ている衣服を脱いで行く…
「最低限のマナーですからね…セックスの時には裸になるのはね…」
「いや…いやいや!助けて!助けて!誰かーー!」
 未緒の悲鳴が室内に響き渡る…しかし、その声に反応を示す者は誰もいない…凌辱が始まった…


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