3.撫子と化した少女、晶
『だったら、誓え、お前は、紅撫子村の女と成り、男に絶対服従すると。そうすれば、村の男達のチンポは、お前の物だ』
(鈴神楽様の小説「紅撫子の村」より引用)
晶(あきら)はひどく後悔した。
幼馴染みの健太との約束を破ってしまい、逆レイプまでしてしまったのだ。
健太を酷く傷つけてしまった。
(ごめんね…健太…!)
晶の目から涙が溢れる。
紅撫子村の女は、男に絶対服従する。そのために自我を崩壊させた女も数多くいる。
女には数々の制限を課せられてもあった。高校を卒業できないまま結婚させられるので、大学に進学できない。
仕事にも就けないので、男から暴力を受ける。
ある少年のSOSを受け取ったのは、隣村で父の診療所を手伝っている女医の美彩(みさ)だった。
その少年の名前は健太。晶とは、幼馴染で、男勝りでリーダー格の晶に唯一対抗できる少年であった。
健太はリーダー格の晶を失ったグループの男友達にこう宣言した。
「俺は、前の晶を取り戻す。だから、どうすればいいか一緒に考えてくれ!」
それは、村の掟に反することだった。見つかったら、罰を受けてしまう。
少年達は小屋の中で密会をした。その様子を晶は見ていた。
「だ、誰?」
眼鏡の少年、弘樹は驚いて振り返る。
「なんだ、晶か。びっくりさせるなよ」
健太はいち早く晶に気が付いた。
「ごめん…」
晶は泣きだしていた。
「晶…みんな、解散してくれ。俺は晶と話がある」
訳がわからないという表情の少年たちを残して、健太は晶と小屋を出た。
「健太…大丈夫?」
「俺は大丈夫だよ。…お前、いいのか?こんなところが見つかったら、怒鳴られるんだぞ」
健太も精神的にダメージを受けていた。だがそれを、晶に悟られるわけにはいかない。
晶は言葉を続ける。
「…いいの。村の男のチンポなんていらない。健太がいてくれたら…それでいい」
晶は男から何度もレイプされたのだ。晶は抵抗したくても、できなかった。
晶はそれでけがを負い、性行為自体がトラウマになってしまったのだ。
そのため、晶は健太に連れられてその隣村の病院で診察を受けることになった。
その後、晶と健太は紅撫子の村から出て、その隣村に避難することになった。
村は晶と健太を裏切り者として扱った。
村の人間でありながら、村の外に出た。
紅撫子の村では村を出る人が極端に少ない理由も、恐怖による支配からだった。
しかし、紅撫子の村での人権侵害はまだ続いている。
紅撫子の村はまだなくなっていない。
見方を変えれば、ありがたいと考える者もいるそうだが…。
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